テレワークとオフィスワークのハイブリッド時代に必要とされる評価制度とは?【社労士インタビュー vol.3】 [コラム]

テレワーク 評価

テレワークが定着する中、人事評価制度の見直しも必要になっています。能力主義、成果主義の特徴と、今求められる評価制度のあり方について、社会保険労務士の新井将司さんに聞きました。

同一労働同一賃金、残業時間の上限規制などの働き方改革を進める中で、評価制度改革が人事課題となっている企業も多いようです。テレワーク(リモートワーク)という新しい働き方が広がる中、場所や時間にとらわれない評価制度の見直しが急がれます。

本コラムは、都内を中心に上場企業から中小企業まで年間300社以上の相談実績がある汐留社会保険労務士法人の社会保険労務士/行政書士 新井将司さん、特定社会保険労務士 濵田まりえさんに、テレワーク時代に適した評価制度について、ポイントを聞きました。

(1)能力主義と成果主義 評価制度のこれまでと今後は?

評価制度を検証する前に、日本の企業における評価制度のスタンダードと今後の動きについて見ていきましょう。

これまでは能力主義が主流

日本の大企業では、幅広い能力を評価する能力主義をベースに、成績や職務レベルも加味した評価制度が主流です。中には、勤続年数や経験を考慮した年功序列型や職能型が色濃く残っている企業もあります。

能力主義では、作業適性や行動プロセスなどの「仕事ぶり」も評価対象になります。目で見て判断する要素も多く、オフィスに集まって働くスタイルに向いているといえるでしょう。

働き方改革とテレワークで成果主義に注目が集まるように

数年来、企業は働き方改革による生産性向上に取り組んできており、成果主義が注目されるようになりました。さらに、テレワークの広がりで「決まった場所で決まった時間に働く」ワークスタイルが崩れ始めています。社員の「仕事ぶり」が見えにくくなり、よりいっそう成果や結果を重視する傾向が強まっています。

現状、現行の人事評価の課題を把握しつつも、評価制度の改革については進んでいない企業が大半です。しかし、働き方改革への取り組みやテレワークなどの新しい働き方への対応は、重要性を増していくでしょう。

それでは、どのような評価制度を選択すべきなのでしょうか。まず、評価制度のベースとなる能力主義、成果主義の特徴についてご紹介します。

(2)能力主義と成果主義 それぞれの特徴

評価制度の見直しをする場合、能力主義と成果主義のどちらかをベースとすることが一般的です。能力主義と成果主義のそれぞれの特徴を見ていきましょう。

能力主義とは

能力主義では、「営業成績はよくないけれども、資料作りは秀でている」など、成果だけではなく社員それぞれの能力を幅広く評価することができます。長期的に社員を育成し、転勤や異動で職務が変わることもある日本の従来のメンバーシップ型雇用で使いやすいとされます。

テレワークでは、作業の進捗を把握したり、社員のパフォーマンスを見極めたりすることが難しい傾向があり、「能力主義ではテレワークの評価をやりづらいのでは」と懸念する声もあります。

しかし、「何を評価するか」を明確にし、評価基準を細かく設定してマネジメントすることで、能力主義による評価制度をテレワーク業務の評価に活用する企業も出てきています。

成果主義とは

成果主義は、クリエイティブ職や営業などの専門職を採用する、ジョブ型雇用で取り入れている企業が多く見られます。成果主義での評価は、スキルアップのモチベーションにもつながります。一方で、社員がスタンドプレーになりやすく、成果以外の能力が見落としがちになるというデメリットもあります。

成果主義というだけに、「成果」=売り上げ・ノルマなどに特化した評価制度と思われがちです。しかし、職種ごとに「何を成果とするか」を柔軟に変えていけば、バックヤード職でも活用できます。成果の定義は、必ずしも数値に落とし込む必要はなく、適正に明確化されていればよいのです。

(3)事例紹介:企業の人事評価見直しの動きは?

では、テレワーク導入に合わせて評価制度の改革に着手している企業は、どのような点を重視しているのでしょうか。実践例を見ていきましょう。

<事例1>成果主義に照準を合わせて改革
社員数1万人を超える大手IT企業では、テレワークの本格導入に合わせて全管理職を成果主義に移行しました。成績などを見ながら、順次社内全体に成果主義を導入していく予定です。

<事例2>成果主義から能力主義へ転換
ある大手不動産会社では、企業方針を「社員個人の成果達成」から「チームの成果達成」に転換し、それまでの成果主義から能力主義へと評価制度を180度変えました。これにより、成果だけにこだわってきた社員の多くは退職しましたが、少数精鋭のチーム制となった新しい組織で改革を続行しています。

<事例3>第3の評価制度導入で評価制度の穴を補う
能力主義、成果主義の他に、上司と部下が定期的に1対1のミーティングを重ねる1on1、上司だけでなく同僚や部下からの多面的な評価を受ける360度評価などの評価制度を取り入れているケースもあります。

一つの評価制度では補えない評価手法や評価対象を加えることで、より多方面から幅広く能力や人柄、経験や失敗までも評価することができます。

<事例4>能力主義でもテレワークに対応
能力主義はテレワークとは相性が悪いと言われますが、ある企業では、評価項目を変更し、能力主義のままでテレワークに対応しています。

労務管理ソフトなどを活用しながら、テレワークに合うようにカスタマイズしたのです。評価基準が明確になったことで、「能力主義ではテレワークで評価ができないのでは」との声もなくなりました。

<事例5>評価制度を1年ごとに見直し
評価制度の見直しには、長期的な視野が欠かせません。大手美容系の会社では、能力主義の中に成果や期待値を取り入れた独自の評価制度を試験的に採用。評価制度を1年ごとに見直しながら、3年スパンで評価のあり方を全面的に改革する方針で動いています。

企業のビジョンを明確にし、自社に合った評価制度を取り入れるべき

働き方改革やテレワークなど、働き方が大きく変化する中、現行の評価制度に課題を感じている企業は多くあります。ご紹介した事例の通り、成果主義から能力主義へと移行した会社もあれば、第3の評価制度を取り入れた会社、評価制度のマイナーチェンジだけで対応した会社など、動きは実にさまざまです。

まずは、人事部だけでなくトップや経営層が、「どんな会社でありたいか」を明確にすることが大切です。その上で、目標値を設定し、評価の行動基準を社員に示して、「会社が社員に対して求める行動、能力、姿勢」を明示するべきです。

企業としてのビジョンを明確にした上で、長期的な視野で自社に合った評価制度を柔軟に取り入れていきましょう。人事課題によっては、いくつかの人事評価を取り入れて試行錯誤し、カスタマイズしていくことも必要になります。

評価項目によっては、リモートで評価できること、リアルでしか判断できないことが出てきます。対面でモチベーションやキャリアパスについて話すなど、オフィスは社員のキャリア形成や企業の人事評価においても大切な場であり続けます。オフィスをうまく活用しながら、ニューノーマル時代に適した評価制度を見極めていきたいものです。

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