テレワークでのマネジメント、解決のカギは「適度な距離感」【社労士インタビュー vol.2】 [コラム]

テレワーク 管理 コミュニケーション ハラスメント

テレワークという働き方が広がるにつれ、テレワークによるコミュニケーションやマネジメントのメリット・デメリットが明らかになっています。社会保険労務士の新井将司さんに、課題と管理職がとるべき対応を聞きました。

テレワークによるコミュニケーションやマネジメントのメリット・デメリットが明らかになっています。テレワークでは、上司は部下にどのように接し、マネジメントをすればいいのでしょうか。

都内を中心に上場企業から中小企業まで年間300社以上の相談実績がある汐留社会保険労務士法人の社会保険労務士/行政書士 新井将司さん、特定社会保険労務士 濵田まりえさんにお話をうかがいました。

(1)テレワーク下の管理の現状・課題

テレワークのメリットの一つは、ネット環境さえあれば、いつでもどこでも仕事ができる便利さです。一方で、細かな表情や全体の雰囲気がわかりにくく、情報不足や誤解を生みやすくなります。企業の管理職からも、次のような点がマネジメント上のデメリットとして挙がっています。

・コミュニケーションが不足する
オフィスでは、仕事の進捗状況をその場で部下に確認したり、指示を出したり、仕事の合間に部下と雑談したりすることができます。しかし、テレワークでは実際に顔を合わせることができないため、ちょっとした雑談や情報共有がしにくくなります。

・過干渉気味になる
反対に、過干渉になる例も見られます。ある会社では、使っている労務管理システムがテレワークに合わず、テレワーク前よりも部下が上司に報告する事項が増えたそうです。またある会社では、テレワークになってから上司が指示を出す頻度が増えました。このようなケースでは、部下に強いプレッシャーや負荷がかかることが想像できます。

・個々の意識・生活の乱れに関与しにくい
テレワーク向きの社員もいれば、テレワークに向いていない社員もいます。気分転換が上手で、自律的に仕事を進めることができる社員なら、テレワーク向きでしょう。一方で、ずっと家にいることが性に合わず、心身に不調をきたした、食生活や生活のリズムに乱れが出てきたというケースもあります。

テレワークに対する向き・不向きによる格差は、新入社員において特に深刻です。2020年はコロナ禍の影響で入社式もなく、出社日数も数えるほどという会社も多くあります。そんな中で、学生時代の気分が抜けきれないままの社員もいれば、社会人へと意識を切り替えて意欲的に働いている社員もいます。両者の間の実力差が広がってマネジメントがやりにくいと、悩む会社も少なくありません。

テレワークによって、仕事で落ちこぼれてしまったり、健康を害してしまったりする社員をどのようにフォローするかも、会社や管理職にとって課題になっています。

(2)パワハラ防止法の施行でテレワーク下のハラスメント対策も急務に

2020年6月に通称「パワハラ防止法」(正式名称「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」)が施行され、大企業ではハラスメント防止対策が義務づけられました。そんな中、オンライン中や遠隔作業中にセクハラ・パワハラを受けるリモハラ(リモートハラスメント)にも注目が集まっています。リモハラは、テレハラ(テレワークハラスメント)とも呼ばれています。リモハラはどのような条件で起こりやすいのでしょうか。

リモハラは、上司と部下が、家族や友達のようなフラットな関係を築いているケースよりも、上下関係のはっきりしているケースで起こりやすいようです。オンライン会議で私生活部分が見えやすくなることで家族や趣味の話になることは多いものですが、プライベートな話題はリモハラのきっかけになりやすいため、注意が必要です。上司側は軽い冗談や話題づくりのつもりでも、相手にとっては不快に感じられ、「ハラスメント」に該当してしまうパターンもよくあります。

(3)管理不全やハラスメントを防ぐ対策・実践例

コミュニケーションや管理のすれ違いは、社員の士気の低下などを招きかねないため、早急に改善策をとりましょう。特にリモハラでは、社内で意識調査を行い、実態を把握してから適切な対策を行いたいものです。

では、どのような対策が考えられるのでしょうか。他の会社の実践例も交えて見てみましょう。

<対策1>適度な距離を保って、部下をマネジメントする
ある会社では、マネージャーが、新入社員に毎朝5分間電話をかけることにしたそうです。聞き取るのは、「今日の作業予定」「困っていること」の2点。そして金曜日には、1週間の振り返りをうながします。放任でもなく干渉しすぎでもない、絶妙な距離感を保ちながら、日々の目標設定と、週末での作業の見直しを部下自身に行ってもらうことが奏功しています。

<対策2>労務管理システムの最適化
使っている労務管理システムがテレワークに合っていないと、管理不全となることがあります。テレワークに合った管理システムやグループウエア(情報共有ツール)を使って、ToDoの見える化や報告業務のスリム化を行うことが必要です。

<対策3>オンライン上で疑似オフィス空間を作る
オンライン上でオフィスのような空間をつくり、オフィスの雰囲気に近づけるという取り組み例もあります。 ある会社では、WEB会議ツールを部署単位で常時つないでおき、互いの作業状況がわかるようにしました。ちょっとした質問や雑談なども、オンライン上で気軽に行えるのもメリットです。また、上司はオフィスにいるときのように部下の仕事ぶりを把握できます。

<対策4>部下に権限を委譲する
管理する部分を減らす、つまり部下に権限を委譲して、自律をうながすというやり方も増えています。ただ、ビジョンを示さずに丸投げで委譲するだけでは、失敗しやすいよう。会社の上層部が委譲に積極的で、なおかつ委譲後のビジョンを明確に社員に示すことができるかが、成否の分かれ目になります。

<対策5>オフィスならではのマネジメントを取り入れる
出社時には、リモートではできないマネジメントを取り入れます。例えば、部下と話をする機会をつくる、部下の体調を観察するなどです。オフィスに栄養バランスのとれた冷凍食品を常備し、バランスを崩しがちなリモートワーク生活に配慮した福利厚生策を実施している会社もあります。

<対策6>何がハラスメントにあたるのかを認識する
何がハラスメントにあたるのかを、管理職や会社はしっかりと認識しておくことが大切です。また、上司と部下間でのハラスメントの起きやすさは、前述のようにオフィスでのリアル・コミュニケーションの積み重ねに左右されます。常日頃からオフィスで関係性を築くこともポイントです。

コミュニケーション・管理ではオフィスも徹底活用を

テレワークで、これまでの管理・コミュニケーションに変化が出てきました。変化に対応している企業も多いですが、苦戦している会社もあります。会社側がどれだけ企業意識を変え、管理システムなどを変えることができるかがカギとなります。
パワハラ対策が大企業に義務づけられたこともあり、上司としてのコミュニケーション方法の是非が問われてくるようになりました。テレワークでの接し方にも注意が必要です。部下とFace to Faceのコミュニケーションをとり、信頼関係を築くことも重視したいものです。 テレワークに適性がある社員ばかりではありません。そんな社員をサポートする場としても、オフィスを活用していきましょう。

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