企業の成長に欠かせない「従業員エンゲージメント」。社員の働きがいや組織への愛着が高まれば、生産性向上や離職率の低下を導く可能性が高まります。しかし、具体的にどう向上させるべきか悩む企業も多いのではないでしょうか?
本記事では、オフィス移転・リニューアルを通じたエンゲージメント強化のステップや、導入メリット、効果的な施策を詳しく解説します。さらに、成功事例も紹介し、実践しやすいポイントをお伝えします。従業員の定着率を高め、企業の競争力を向上させる方法を見ていきましょう。
従業員エンゲージメントとは、企業と従業員が互いに目指す方向性を理解し合い、相互に信頼や愛着を持って関わろうとする状態のことです。これは「モチベーション」や「従業員満足度」にとどまらず、従業員自身が組織のビジョンや価値観に深く共感しながら、自発的に業務や組織の発展に貢献しようとする姿勢までを含みます。
働き方の多様化が進むなか、リモートワークやハイブリッドワークといった新たな勤務形態が普及し、従業員同士の接点やコミュニケーションが希薄になりがちです。その結果、組織と従業員の結びつきは以前よりも薄れやすいです。こうした状況を踏まえ、従業員エンゲージメントをいかに維持・向上させていくかは、多くの企業にとって急務です。今や人事施策の位置づけにとどまらず、企業価値を左右する重要な経営要素として捉えられるようになっています。
企業が掲げる目標を従業員がどのように理解し、個々の働きがいと結びつけているかによって、日々の業務や意思決定の精度が変化するだけでなく、組織全体の雰囲気も大きく影響を受けます。さらに、外部からの評価や投資家の視点でも、従業員が自社に強いコミットメントを持っているかどうかが「人的資本」という観点で評価される時代です。
実際にエンゲージメントが高い組織は離職率が低く、人材育成がスムーズになるほか、顧客へのサービス品質向上にもつながるといわれています。今後は人材不足がさらに深刻化する見込みがあるため、優秀な人材を確保し、長期にわたって活躍してもらうためにも、従業員エンゲージメントの向上は企業規模を問わず必須の取り組みとなっているといえるでしょう。
従業員エンゲージメント向上のメリットは以下のとおりです。
上記のメリットを以下で詳しく解説します。
組織のビジョンに共感する従業員は、自ら考えて行動する主体性が高まり、チーム全体の生産性を押し上げます。自分の役割が会社の目標と結びついていると感じることで、改善提案や新しい取り組みが自然に生まれ、結果として業績向上につながる可能性があります。実際にエンゲージメント施策を進めた企業では、残業時間の削減と売上成長を同時に実現した例もあります。
従業員が職場に愛着を持つと長期的に働こうとする意識が強まり、離職率の抑制につながります。経験やノウハウが社内に蓄積されることで教育コストも削減され、安定した職場環境が形成されます。また、定着率の高い企業ほど従業員が自然に職場の魅力を発信し、優秀な人材からの応募が増える好循環が生まれます。
エンゲージメントの高い従業員は、顧客対応にも誇りと責任感を持って臨みます。日々のサービスの質が企業のブランドイメージをつくるため、従業員の意識がそのまま顧客満足度に反映されます。こうした積み重ねがリピーターや良質な口コミを生み、結果的にブランド価値を高めていくのです。

従業員エンゲージメントを高める具体的施策は以下が挙げられます。
上記の施策を適切に実行することで、従業員エンゲージメントを高められます。
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キャリアパスや評価制度が不透明だと、努力が正当に評価されずモチベーションが下がります。明確な評価基準と柔軟な目標設定を導入することで、従業員は自分の成長を実感しやすくなり、エンゲージメント向上につながります。
上司と部下だけでなく、部署を超えた交流や情報共有がエンゲージメントを高めます。オンライン会議が普及した今でも1on1やオフサイトミーティング、社内SNSの活用など、気軽に意見交換できる仕組みを整えることが効果的です。
ワークライフバランスを支える制度に加え、オフィスレイアウトやリモート環境の最適化も重要です。フリーアドレスやコラボレーションスペースの導入など、働き方に合った空間づくりが従業員の集中力と協働を高めます。
理念を“掲げるだけ”ではなく、リーダーが自らの言葉で発信し、行動に落とし込むことが大切です。研修や社内イベントで理念を共有することで、従業員が自社の方向性を自分ごととして捉えやすくなります。
継続的に学べる環境は、成長実感と企業への信頼を生み出します。オンライン学習や社内勉強会を通じて知識共有を促進し、「自分の成長が会社の力になる」という意識を醸成しましょう。
また、スキルアップに対してサポートを惜しまない企業姿勢があると、「会社に大事にされている」という意識が高まり、それがひいては組織全体の活力につながります。
これまで紹介したような制度・環境・コミュニケーションの整備は、従業員エンゲージメントを高めるための重要な基盤です。
そして、それらをさらに発展させる手段のひとつがオフィスの「移転・リニューアル」です。
オフィス移転やリニューアルは大規模なプロジェクトですが、正しく進めることで組織文化を見直し、エンゲージメントの向上を目指す大きなチャンスとなり得ます。一方で、「移転」「リニューアル」そのものを目的化してしまうと本来の課題解決からずれてしまうこともあります。
エンゲージメントを高めるための最適な手段は、組織の成熟度や働き方の方向性によって異なります。たとえば、オフィス空間が社員交流の拠点として機能していない場合には移転が効果的ですが、すでにリモートワーク文化が根づいている企業では、制度やコミュニケーション施策の見直しなど、別のアプローチが適しているケースもあります。したがって、あらゆる企業に当てはまるわけではないため、組織の文化や要件に合った施策を慎重に見極めることが大切です。
「エンゲージメントを高めたい」という明確な目標があるなら、まずは社員の意見を吸い上げ、全社的に共有するプロセスを設けることが有効です。そうした対話を通じて、組織の現状や理想の姿を明確にし、自社に最も効果的なアプローチを選び取ることがエンゲージメント向上への確かな一歩になります。
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まずはアンケートやヒアリングによって、現行のオフィスに潜む課題を具体的に洗い出すことが欠かせません。離職率や採用状況といった客観的データとも照らし合わせながら、どの程度までエンゲージメントを引き上げたいのか目標を明確に設定します。社員からは、普段感じている不便や「こんな設備があれば役立ちそう」といったアイデアが多く挙がるはずです。
現状と目標が見えてきたら、企業ビジョンと合致するオフィスコンセプトを固めます。たとえば「部署間のコラボレーションを促進したい」のか、「静かに作業できる場所を増やして生産性を高めたい」のかによって、レイアウトの方向性は大きく変わるでしょう。オフィスデザインや施工の専門家と連携すると、動線や設備仕様などの細部を詰めやすくなるため、より具体的な設計が可能になります。
レイアウトの案が固まったら、施工や移転の手配に取りかかります。大がかりな工事や引越しが伴う場合は、スケジュールとコストの管理が複雑になりがちなので、プロジェクトマネジメント体制を整えることが重要です。同時に、社員への周知を徹底し、進捗状況を随時共有することで、新オフィスに対する期待感を高めながら円滑に移行を進められます。
新しいオフィスでの運用が始まってからも、気を抜かずにフィードバックを収集し、改善を継続する姿勢が大切です。実際に使い始めてみると、「想定よりも使い勝手が悪い」「もっと別のエリアを強化したい」といった声が上がる場合があります。こうした意見をこまめに吸い上げ、小さな調整や追加の設備導入を続けることで、エンゲージメントを高いレベルで維持する環境を長く保てるでしょう。
たとえば、日本無線株式会社(JRC)様では、リニューアル後に「JRC Style Book」を作成しました。「ルールよりもスタイル」という考えのもと、各部門から選出された「スタイリスト」が主体となってオフィス運用に携わり、社員自らが新しい働き方やオフィスの使い方をアップデートし続けています。
Web会議での音量問題を“注意メッセージを貼る”という簡単なアイデアで改善したり、ハンディ掃除機の導入で自然と「気づいた人が掃除する」文化が生まれたりと、小さな工夫の積み重ねが組織の変化につながっています。
このように、「完成したら終わり」ではなく、社員が主体的に関わり続けることが、エンゲージメントを維持・発展させる鍵です。
運用開始後の取り組み次第で、オフィスはさらに成長し、企業文化の象徴としての価値を高めていくことができます。

オフィス環境の改善が功を奏した企業の中には、社員の声をこまめに拾いながら空間を設計し、結果としてエンゲージメントを実際に高めた例があります。たとえば、メールやチャットだけでは解決しにくかった問題について話し合う専用エリアを増設し、コミュニケーションの質とスピードを改善したケースなどが挙げられます。また、計画の初期段階から社員の意見を採り入れたことで、完成後のオフィスに愛着を感じる社員が増え、離職率の低下やチームワークの強化につながったケースも多いです。
ただし、これらはあくまで「企業の状況や運用の仕方がうまく噛み合った場合」の成功例です。実際には、リニューアル後になかなか新オフィスに馴染めず、「前より不便になった」と不満が出たり、想定外のコストやスケジュール超過に直面したりするケースもあります。成果を出すには、導入前の準備や導入後のフォローアップを徹底し、企業ごとの課題に柔軟に対応する姿勢が欠かせません。
大規模なオフィス移転やリニューアルは、レイアウトや設備の変更にとどまらず、組織のコミュニケーション設計や運用方法まで幅広く検討する必要があります。こうした取り組みを、すべて社内だけで行うのが難しい場合は、オフィスデザインやワークスタイル改革の専門家に依頼するのも有効な手段です。経験豊富なプロであれば、限られた予算やタイトなスケジュールのなかでも最大限の効果を狙う計画を提示できるだけでなく、社内では気づきにくい問題点を洗い出し、成功率を高めるサポートをしてくれるでしょう。
専門家を選ぶ際には、設計から施工、アフターサービスまでワンストップで対応している企業が良いのか、それともデザインやプロジェクト管理に特化している企業が自社のニーズに合うのかを慎重に見極めることが重要です。また、建築士やインテリアコーディネーターの在籍状況に加え、離職率や従業員満足度といったデータをどの程度公開しているかも、パートナー選びの際に見逃せない判断材料となります。
オフィスづくりを通じて「問題解決」と「目的達成」の両立を目指すなら、ぜひ内田洋行にご相談ください。将来の経営ビジョンを見据えたオフィスづくりを、経営層から従業員までが満足できる形で実現します。貴社のビジョン浸透に寄り添いながら、移転・リニューアルの成功に伴走するパートナーとしてサポートいたします。
企業が持続的に成長し、激しい市場競争を勝ち抜いていくためには、従業員エンゲージメントの向上が欠かせません。従業員が自分の仕事にやりがいを感じ、組織のビジョンに共感して主体的に行動できる環境を整えることは、人材の定着率向上や業績アップの鍵となります。
組織全体で目指す方向性を共有しながら、一人ひとりが自身の成長を感じられる場所を用意することで、チームとしての結束力と企業としての競争力がともに高まっていきます。こうした取り組みを継続的に実践することで、従業員エンゲージメントはさらに強固なものとなり、企業の未来を明るく照らす大きな力へと育っていくはずです。
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