オフィス移転にかかる費用の種類と目安|移転を計画する際の注意点も解説

オフィス移転 計画段階 費用

オフィス移転の費用、正しく見積もれていますか?
オフィスを移転する際には、大きく分けて4つの費用が発生します。 本記事では、移転にかかる費用の種類や相場、算出方法を解説します。
オフィス移転をスムーズに進めるには、事前準備が大切です。本記事をオフィス移転の事前準備にお役立てください。

コロナで加速した「働き方改革」を背景にオフィス移転やリニューアルを検討する企業が増えている

新型コロナウイルス感染症の拡大を機に、働き方改革が加速しています。安全でより働きやすい労働環境を目指して、オフィス移転やリニューアルを実施する企業が増えています。

たとえば、ミーティングコーナーや集中室などがあれば、柔軟で効率的な労働環境づくりに有効です。また、ICT基盤を整備すればWeb会議やテレワークにも対応しやすくなります。

オフィス移転やリニューアルには多額の費用がかかります。事前に費用の種類や目安を把握しておきましょう。
なお、オフィス移転の手順・ステップやプロジェクト管理については、以下の記事も参考にしてください
 オフィス移転のチェックリスト|手順・スケジュールや注意点についても解説

オフィス移転にかかる費用の種類

オフィス移転にかかる費用は、大きくわけて4つの項目に分類できます。

  • 1.新オフィスの構築にかかる費用
    新オフィスの不動産取得費用、内装工事費用、設備工事費用(防災・空調・ネットワーク・電気・電話など)
  • 2.現オフィスの退去にかかる費用
    現オフィスの原状回復工事費用など
  • 3.引越しにかかる費用
    運搬費、不用品廃棄費用など
  • 4.その他の諸費用
    引越しに伴い再作成が必要な役所への提出書類や、名刺などの作成にかかる費用など

移転の費用は、企業規模や地域、新オフィスの場所や広さ、季節などの条件によって変わります。社員数が多い企業の場合、ある程度の費用がかかることが予想されます。

ここからは、目安になる費用を具体的に解説します。

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オフィス移転の費用の目安と算出方法

オフィス移転にかかる費用の目安と算出方法を解説します。実際の費用は、必ず事前に見積もりを取りましょう。

新オフィスの不動産取得費用(賃貸借契約にかかる初期費用)

新オフィスを取得する場合は購入費用が必要になります。賃貸借契約の場合は下記の初期費用が発生します。なお、支払い額は契約内容によって異なります。以下の金額は目安として解説します。

敷金
家賃滞納や退去時の原状回復に備える預け金です。大手ビルでは家賃6~12か月、個人オーナーのビルでは家賃3~6か月が目安です。坪数で金額が決まる場合もあります。

礼金
オーナーに支払う慣例的なお金です。大手ビルではかからないことも多いです。個人オーナーの場合は、家賃1~2か月が目安です。

仲介手数料
物件探しを不動産会社に依頼するときの手数料です。家賃の半月分~1か月分が一般的な金額です。

火災保険料
賃貸オフィスの借り主には火災保険への加入が義務付けられています。目安は2年契約で2~3万円程度です。

前家賃
契約に含まれている場合に支払います。目安は家賃1~2カ月です。

保証委託金
保証会社を利用する際に発生します。賃料および共益費の半月~1か月分ほどが目安です。

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新オフィスの内装工事・設備工事費用

内装工事費用の目安は、一般的なオフィスで1坪5~20万円程度です。レイアウトやデザインにこだわりたい場合は、さらに費用が発生します。

電気・空調・防災などの設備工事費用は、1坪20~35万円程度が目安です。別途、レイアウトやデザインのプランニング費用として、1坪1~3万円程度の料金が発生する場合もあります。

什器等の購入費用(新調する場合)

オフィスの什器には、デスクや椅子、パーティション、デスク下に収納するワゴン、応接セット、カウンターなどが含まれます。什器を新調する場合の目安は、1人5~30万円程度です。

ネットワーク機器・電話機・複合機等の移設・設置費用

ネックワーク機器や電話機、複合機などの移設・設置にかかる一般的な目安は、1坪5~15万円程度です。電気・電話・LAN工事に1人あたり5~8万円程度、OAフロアの敷設工事には1坪2~5万円程度がかかる例もあります。

たとえばLAN工事では「1ポート2.5~4万円×設置ポート数」といった計算式で料金が決まる場合もあるなど、業者や条件による差が大きい点に注意しましょう。新オフィスにICT(情報通信技術)の基盤を整備する場合は、システム構築費用がかかります。

現オフィスの賃料

現オフィスの賃料は、契約解除日まで支払う義務があります。移転が解除日の前に完了した場合も賃料は発生します。通常、現オフィスの賃料は「移転費用」として計上しません。しかし移転が解除日以降にずれ込むと、賃料を請求される可能性があるので注意しましょう。新旧オフィスの賃料の支払いが重ならない移転計画が理想です。

現オフィスのオーナーには退去日の6か月前には解約を通知するのが一般的です。通知の時期は賃貸借契約時に決まるため、早めに契約書をチェックしておきましょう。

原状回復費用

賃貸物件の借り主には、退去時に借りた時点と同じ状態に戻す原状回復が義務付けられています。住宅用物件では経年劣化の原状回復は借り主の義務ではありませんが、オフィスの場合は契約で負担分を決めるのが一般的です。

原状回復費用の目安は1坪6~8万円程度、大型ビルでは1坪10~12万円程度です。空調設備を個別に工事した場合などでは、1坪20万円程度の費用がかかる例もあります。入居時に敷金を支払っている場合は原状回復費用と相殺されます。

引越し費用(運搬費)

引越し費用(運搬費)の目安は、1人あたり2~5万円程度です。年度末や秋口など引越しの繁忙期に料金が上がる場合があります。引越し費用は、階段や通路の幅、エレベーターの有無、クレーン作業の要不要、組立家具の有無、重量物の数などによって変わります。特に複合機は非常に重く扱いが難しいです。移設は専門家に依頼しましょう。

現金や美術品、有価証券などは紛失や破損時の賠償金が高額になるおそれがあり、引越し業者に依頼できない場合があります。引越しを業者に依頼する際には、必ず見積もりを取りましょう。

社員で引越しをすればコスト削減ができますが、ビルの共用部などに傷をつけると高額の賠償金を請求される可能性があるため、おすすめできません。

不用品廃棄にかかる費用

不要になった什器のうち産業廃棄物に該当するものは、産業廃棄物処理業の許可を持つ業者に運搬・廃棄を依頼します。費用の目安は、2トン車1台分で7~8万円程度、4トン車1台分で12~15万円程度です。予想以上に費用がかかる場合もあるため、注意しましょう。

一方、法律で定められたリサイクルの対象物は、リユース業者に有償で買い取ってもらえる可能性があります。主な品目は下記の通りです。

・大型家電:エアコン、洗濯機、冷蔵庫、テレビ、パソコン
・小型家電:電話、FAX、携帯電話、デジタルカメラ
・その他:産業廃棄物に該当する金属くず、廃プラスチック類、ガラス・陶磁器くず

特にパソコンや機密書類の廃棄では、情報漏えいを防ぐための対策が欠かせません。

その他諸費用

オフィス移転では、ここまで取り上げてきた項目以外にも、さまざまな費用が発生します。たとえば、住所が記載された名刺やパンフレット、会社案内、封筒などの印刷物は作成し直すことになります。移転先のビル、フロアへの入場に使用するIDカード・セキュリティカードも必要です。費用の目安は1人あたり1~2万円程度です。

法務局、税務署、都道府県税事務所、社会保険事務所、年金事務所、消防署などの関係機関で住所変更の手続きを済ませる必要もあります。司法書士に手続きを依頼する場合の目安は、10万~20万円程度です。計画に漏れがあると想定外の費用がかかるため、予備費を見込んでおくと安心です。

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オフィス移転を検討する際の注意点

ここからは、オフィス移転を検討する際に知っておきたい5つの注意点を解説します。

計画的な準備が必要

オフィス移転は一大プロジェクトです。一般的に数千万円単位の費用がかかり、企業の規模が大きいほど費用も上がります。現オフィスの状態や新オフィスで何をしたいのかによっても、費用の額は異なります。事前に明確な移転プランを立てて必要な費用を洗い出し、予算とすり合わせておきましょう。

オフィス移転では各所の工事や作業が発生し、オーナーへの解約通知や業者との交渉も求められます。そのため、引越し前後は通常通りの業務ができなくなる可能性もあります。

費用や管理負担を減らしたい場合は、オフィス移転をワンストップで一任できるサービスの利用がおすすめです。移転がスムーズに進むうえに、社員は本来の業務に専念できます。

移転後のオフィス運営にかかる費用にも注意

前段でも触れましたが、オフィス移転後も書類やIDカード類の再作成、通勤費の変更、定期券の精算などに費用がかかります。使える什器などは移転後も再利用するなど、移転費用を少しでも節約しましょう。使えない什器もすぐには廃棄せずに、リユース業者を利用して売却すればコスト削減に役立ちます。

新・現オフィスの広さや社員数を正確に把握しておく

オフィス移転の費用は、新旧オフィスの広さや社員の人数をもとに算出します。事前に正確な情報を把握しておきましょう。移転にどの程度のコストがかかるのかを知りたい場合は、専門家に相談するとよいでしょう。

新オフィスの広さは十分か確認する

オフィスに必要な面積は、1人(1席)あたり2~3坪といわれています。ただし、業務内容によっても必要な広さは異なります。テレワークの導入などで出社する社員が減る場合は、小さめのオフィスを借りてもよいでしょう。一方、「将来的に社員を増やす予定がある」「ソーシャルディスタンスを確保したい」という場合は広めのオフィスが必要です。

「償却費」の扱いについて理解しておく

償却費とは、敷金のうち退去時に返還しない旨を賃貸借契約で定めたお金のことです。敷金は原則、退去時に返還されますが、償却費として設定された部分は戻ってきません。大手ビルでは通常設定されませんが、個人オーナーのビルでは設定されるケースもあります。なお、ここで解説している償却費は、固定資産の減価償却費とは別のものとなります。

オフィス移転のよくある質問

オフィス移転でお客様から寄せられる代表的なご質問は下記のとおりです。

・オフィス移転を検討するにあたって、何から始めれば良いかわからない
・オフィス移転について経営層への答申に必要な資料を作成したい
・オフィス移転に必要な費用を算出したい

オフィス移転に関するマスタースケジュールやコストの検討を行い、適正なオフィス移転かを判断することが必要です。 内田洋行では、オフィス移転に必要な概算費用や、いつまでにどのようなことを行う必要があるのか、移転先ビルの評価や、候補ビルを想定したイメージパース作成、現状オフィスの分析と世間値との対比、移転した場合の投資対効果算出資料など、経営判断に必要な情報を提供いたします。

*経営の意思決定をご支援いたします
・オフィスコスト簡易診断プログラム
・移転シミュレーションサービス

まとめ

オフィス移転には高額な費用がかかり、管理項目も多いです。移転の成功には、正確な概算額の把握と綿密な計画が欠かせません。

ウチダのオフィス移転・リニューアルは、オフィス移転の計画立案から実施までをワンストップで支援するサービスを提供しています。大規模移転に強く、ICTやAVの実績も豊富です。「他社の事例紹介」をはじめ、「オフィス移転お役立ちコラム」や「オフィス移転マニュアル」などのコンテンツもぜひご一読ください。


[2023.10.10更新/2022.05.26公開]


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