生産性向上や従業員の満足度向上のためには、オフィス環境の改善が重要です。この記事は、自社オフィスの環境改善を検討している企業担当者に向けて、オフィス環境改善のメリットや方法を解説します。記事の後半では、企業の具体的な成功事例などを確認できます。自社における施策を構築する際に、参考にしてください。
オフィス環境の改善が重要視される理由について解説します。3つの理由を見ていきましょう。
居心地が悪いオフィスでは、従業員の業務効率が下がってしまいます。たとえば照明が暗いデスクでは、目の疲労が溜まりやすく集中力が続きません。また、従業員ごとのスペースが不十分な職場では、周囲に気をつかうことで能率が下がることもあるでしょう。高性能のパソコンや基幹システムと同じように重要なのが、オフィス環境の改善です。
オフィス内で共有する文書や道具が整理整頓されていないと、日々不便を感じるものです。探し物をしていると不便を感じるだけでなく、時間の無駄にもつながります。
こうしたオフィスの悪習慣のようなものは、収納設備とスペースを確保することで改善できます。小さな不満や無駄を解消するだけで従業員の仕事への意欲が改善し、工数削減にもつながります。
オフィスの空間作りは、コミュニケーションの質に影響します。たとえば、上司の席の位置を変えるだけでも、部下が声をかけやすい環境に変えられます。
また、自席を持たないフリーアドレス制を採用することで、普段接点のない従業員同士のコミュニケーションが生まれることもあるでしょう。コミュニケーションを活性化できれば、信頼構築の構築や業務の効率化につながります。
ここでは、オフィス環境を改善するメリットを、企業側からの視点で4つ紹介します。内容を順番に見ていきましょう。
オフィスワーカーの多くは、オフィス環境が業務効率に影響すると回答しています。業務効率が改善できれば、従業員一人ひとりが生み出す利益が多くなります。その結果、企業全体の生産性も向上するでしょう。また、快適なオフィス環境によって創造性が高まる効果も期待できます。
オフィス環境に起因するストレスは意外に多いものです。座り心地の悪い椅子や、遠回りしなければコピー機に行けないレイアウトなど、改めて考えると思い浮かぶこともあるでしょう。
ただでさえ、日々の仕事の質や量に負担を感じている従業員は少なくありません。オフィス環境の改善は、従業員のストレス軽減にもメリットがあります。
働きやすいオフィス環境がある企業では、従業員満足度が高いことが知られています。これには、仕事に対する余計なストレスがなくなり、業務がはかどることが関係しています。
会社の業績が伸びれば、給与や賞与などの待遇面も改善でき、従業員のモチベーションアップにつなげることが可能です。オフィス環境改善は、好循環を生み出す原動力になり得ます。
きれいでおしゃれなオフィスは、そこで働きたいと思う人を増やします。人出不足で悩む企業にとって、魅力的なオフィス環境作りは人材確保の一環になります。また、従業員が望む働き方を実現できるオフィス環境は、人材の定着にもつながるでしょう。
優秀な人材を確保しやすくするためにも、オフィス環境の改善は効果的です。
ここでは、オフィス環境を改善する方法を、設備やレイアウトなどの観点から解説します。
オフィス環境の設備で特に重要なのは、照明、空調・換気、防音の3つです。
照明
照明は作業効率に影響を与えます。そのため、デスク周りには集中しやすい昼光色の照明を選ぶのが一般的です。会議室には明るい雰囲気になりやすい昼白色、休憩室にはリラックスしやすい暖色系の電球色など、場所によって適切な照明を選びましょう。
空調・換気
オフィス内で息苦しさを感じることが多い場合、空調・換気が不十分であるかもしれません。人が集まるオフィス内では二酸化炭素がこもり、従業員の業務効率を下げることがあります。人の密度を減らしたり、空気の流れをよくしたりすることで改善できない場合は、空調・換気設備の更新が必要です。
防音
隣の人の作業音や周囲の声が気になり、業務に集中できない人は少なくありません。デスクの周りに壁を作って防音ができる、個別ブースの導入が効果的です。
従業員が安心して働ける環境を整えることも重要です。
レイアウト
避難経路の幅は、1.2m以上確保しておくことが推奨されています。
また、複合コピー機や大型金庫などの重い物は、人に向かって倒れる場所や、転倒して出入口を塞ぐ場所に置かないようにしましょう。オフィス中央に背の高い設備を置くことも、地震で被害が出やすく危険です。
家具・什器類
家具・什器類は地震による転倒を防止するために固定します。棚を上下に重ねる場合は連結して落下しないようにしましょう。ガラス部分に飛散防止フィルムを貼っておくことも大切です。
ここでは、オフィススペースを見直す方法を3つ解説します。
コミュニケーションを促す
休憩室の充実や、気軽に集まれるようなカフェスペース、ソファブースを設けることは垣根を越えたコミュニケーションを促せます。
仕事に集中できるようにする
個人のデスクとは別に、自由に利用できる個人用スペースを設けているオフィスもあります。周囲が比較的静かで視線が遮られている場所に設置することが特徴です。
ゆとりを感じさせる
空間にゆとりを持たせたり観葉植物を配置したりするなどは、従業員のストレスを減らす効果があります。スペースが限られる場合でも、レイアウトの工夫でゆとりを感じさせられます。
オフィス環境のレイアウトを見直す際には、コンセプトが何であるのか、明確にしておく必要があります。
たとえば、チームワークが重要なクリエイティブな職場では、フリーアドレスがよく用いられます。一方、タスクの区別が明確な場合は、自席での業務に集中しやすいレイアウトがよいでしょう。
オフィス家具で最も重要なのは、デスクとチェアです。機能性とデザイン性のバランスを取って決めましょう。
デスクは業務に必要なスペースを見積もっておきます。たとえば、参照する文書が多い場合は、それなりの広さが必要です。また、長時間のデスクワークがメインの職種では、細かなアジャスト機能が付いたチェアの導入が向いています。
一方、デスクとチェアはオフィス環境の全体の雰囲気を決める家具でもあります。遊び心を感じさせるカラーやスタイリッシュなデザインなど、目指す職場の雰囲気になる家具を選びましょう。
オフィス環境を改善するために重要なポイントを解説します。以下2つの内容を見ていきましょう。
従業員の意見を反映させることは、オフィス環境改善を成功させる重要なポイントです。アンケートを実施して意見を収集しましょう。また、オフィス環境改善のメンバーを決めてミーティングを開くことや、全体で話し合う機会を設けることが重要です。
担当者は、直接、従業員の声を聞くのもよいでしょう。たとえば、仮眠スペースが必要だという意見や、高性能のコーヒーメーカーを置いてほしいという要望など、少数派の意見も聞けます。
同じような業種・職種のオフィスを見学して、よいところを取り入れる方法もあります。近年では、オフィス環境が重視されており、技術交流のように、働く環境も業界全体で改善しようとする動きが活発です。
もちろん、競合他社というケースも多く、現実的にむずかしい面もあるでしょう。ノウハウを持つ業者のコンサルティングを受けるのもよい方法です。
ここでは企業の成功事例として、ナブテスコ株式会社様とリコーリース株式会社様のケースを紹介します。
流体・空圧制御技術を持つナブテスコ株式会社様では、従業員のコミュニケーション不足が課題でした。人員増とともにミーティングスペースが足りず、多くの従業員のストレスとなっていました。
そこで、フレキシブルな座席レイアウトに変更し、固定席の無駄なスペースを削減しました。削減したスペースを目的別の会議室に割り振ることで、生産性が高まり創造性も発揮されるようになりました。
同社では、動線・視線が集まるエリアをワークスペース兼クイックミーティングスペースとして利用しています。
リコー製品のリース・割賦事業と金融サービス事業を展開している、リコーリース株式会社様は、営業・業務間の連携強化が課題でした。顧客へのアクセスや採用活動の効率化のために、都心への移転を決断した際に直面したのはスペースの狭さでした。
この課題について、同社では大通りや並木道に例えた「コモン・アベニュー」を採用しました。これは、個人の集中席やファミレス席、ハイテーブルなど、業務や打ち合わせに応じて選べる自由度の高いエリアを設ける仕組みです。
フリーアドレス制も導入するなど、最適な働き場所を選べるようになったことで、社員のロイヤリティが向上しました。
また、営業の主要部署近くに応接スペースやリフレッシュスペースなどを設けて、偶然の出会いの誘発と効率的な移動を両立しています。
オフィス環境の改善は生産性向上や従業員満足度向上など、多くのメリットがあります。従業員の意見を取り入れ、他社の事例も参考にしながら、自社に最適なオフィス環境を構築しましょう。
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