多くのメリットがある一方で、事前の計画が不十分だと、期待した効果が得られないだけでなく、新たな問題を引き起こす可能性もあります。導入を成功させるためには、考えられる懸念点を洗い出し、あらかじめ対策を講じておくことが求められます。
企画を提案する際は、ポジティブな面だけでなく、以下のような考慮すべき点と解決策をセットで提示することで、経営層の納得感を得やすくなります。
| 考慮すべき課題 |
発生しうる具体的な問題 |
推奨される事前の対策 |
| コストの発生 |
導入費用や飲料の継続的な運用費用がかさむ |
予算の上限を設定し、外部サービス(置き菓子など)を活用する |
| 利用者の偏り |
特定の部署や個人のみが占有してしまう |
利用時間や対象者を明確にし、全社に向けた周知を徹底する |
| 音の問題 |
カフェでの笑い声や話し声が執務エリアに漏れる |
執務室との間に適切な距離や防音性のあるパーテーションを設ける |
| ルールの不在 |
ゴミの放置や長時間の居座りが発生する |
飲食の片付けや利用時間に関するシンプルな運用ルールを定める |
導入と運用にコストが発生する
オフィスカフェを作るためには、家具の購入や内装工事といった初期費用に加えて、コーヒー豆や軽食の補充、機器のメンテナンスなどのランニングコストが継続的に発生します。予算を確保せずに計画を進めると、途中で運用が滞る恐れがあります。
対策としては、自社に合った規模から小さくスタートすることが有効です。本格的なカフェカウンターを造作しなくても、既存の休憩スペースに高性能なコーヒーマシンを一台設置するだけで、立派なカフェコーナーとして機能し始めます。
また、飲料の一部を有料にしたり、オフィス向けの定期配送サービスを利用したりすることで、運用コストを一定に保つ工夫も必要となります。費用対効果を長期的な視点で評価することが大切です。
利用が一部の社員に偏る可能性がある
せっかく見栄えの良いオフィスカフェを作っても、特定の部署や一部の仲の良い社員だけが占有する「たまり場」になってしまうケースも考えられます。これでは、部門間の交流という本来の目的が果たせません。
この問題を回避するためには、設置する場所の選定が非常に重要となります。全社員が日常的に通る動線上や、エントランス付近など、誰もが公平にアクセスしやすいオープンな場所を選ぶべきです。
さらに、社内報やイントラネットで定期的にカフェの新しいメニューをお知らせしたり、経営層自らが積極的に利用する姿を見せたりすることで、全社的に足を運びやすい雰囲気を作り出すことが求められます。
私語や騒音が業務の妨げになりうる
カフェスペースでは自然と会話が弾むため、その笑い声や話し声が集中して作業をしている執務スペースに漏れてしまうことがあります。リフレッシュ空間が、他の社員のストレス原因になってしまっては本末転倒です。
空間設計の段階で、執務エリアとカフェエリアの間に物理的な距離を設けるか、書庫や背の高い植栽を配置して音を遮る工夫が必要です。また、吸音効果のあるパネルを壁や天井に設置することで、反響音を軽減することも有効となります。
コミュニケーションを促進したい場所と、静寂が求められる場所を明確にゾーニング(空間分け)することで、お互いが快適に過ごせる環境を整えることができます。
導入前に利用目的とルールを明確化する
新しい設備を導入する際、明確な目的や運用ルールがないと、徐々に使い方が乱れていく傾向があります。たとえば、飲みこぼしが放置されたり、一部の社員が一日中カフェスペースで仕事をして他の人が座れなくなったりする事態です。
導入前の段階で、「このカフェは何のために存在するのか」というコンセプトを全社員に共有することが不可欠です。あわせて、「利用後は自分で片付ける」「1回の利用は最大1時間まで」といったシンプルなルールを策定しておきます。
ただし、ルールを厳しくしすぎると利用のハードルが上がってしまうため注意が必要です。社員の自主性を尊重しつつ、みんなが気持ちよく使える最低限のマナーを啓蒙していく姿勢が望ましいと言えます。