第5回:「働く」の転換期 - 知的生産性研究所のナカシマコラム

未来のワークスタイル 未来のワークプレイス

2020年、「働く」を取り巻く環境や認識は大きく変化しました。この2年以上に及ぶパンデミック禍の中で、何を経験し学習できたのでしょうか。また、未来のためにどのようなことを考えていくべきなのでしょうか。「知的生産性研究所のナカシマコラム ~働くを前へ。働くを明日へ。(全5回)」では、それらの問いを、社会環境の変動と進化する働き方を30年あまり見つめてきた知的生産性研究所の所員の視点から紐解き、これからの働き方を皆さまと一緒に考えていきたいと思います。

2010年代、働き方改革がバズワードになり、多くの企業で働き方改革のために様々な施策やオフィスのリニューアルが実施されました。そしてパンデミックをきっかけに2020年からここまで、急速なテレワークの普及によって分散して働くワークスタイルの浸透が進みました。それでは今後の2020年代はどのような働き方の変化を迎えていくのか。本コラムも今回で最終回ということで、これまでの4回のコラムを踏まえつつ、少しだけ未来のワークスタイルやワークプレイスについて考えてみたいと思います。

1回目のコラムでも触れた通り、様々な場所を活用する働き方は多くのワーカーに受け入れられており、不可逆性の高さから考えると今後もベースになっていく働き方かと思います。仮にハイブリッドワークの制度整備が着実に進んだとすれば、分散に適合を進めたワーカーはより分散を、逆に集合することに改めて価値を感じたワーカーは集合を選択していくような働き方に収斂していくことでしょう。そして集合や分散という要素だけでなく、自身のライフプランとキャリアプランを天秤にかけ、やりがいや生きがいを自らの手で選択していくワーカーもさらに増えていくことも考えられます。ワーカーの属性が職種や役職だけで切り取れない多義性を持ったものになっていく未来もあるでしょう。
ワークスタイルやワーカーがこのような変容を見せる際には、2回目のコラムで触れましたが、ワーカーたちの自律的な選択を支援すること、そして提供できるオフィス空間の機能を取捨選択していくことが経営側には求められます。

最近では耳にする機会は減りましたが、オフィス不要論という論争があったように、オフィスの役割や必要性にはまだまだ議論の余地があります。集合と分散という働き方を考えると、オフィスは集合の場であるとも考えられます。しかし、集合して何かを成し遂げること自体には必ずしもリアルな場が必要なわけではありません。デジタルに適合した世代では、リアルで会ったことが無くとも友人関係や恋人関係を築き、同時に同じ映画を見る、ゲームなどを通じてペアやチームで何かを成し遂げる、といったように、デジタルの場を利用しての人間関係の構築や共同での作業をすることが現時点でも成立しています。

それではリアルなオフィス空間は何のために存在するべき場所なのでしょうか。3回目のコラムで少し触れたように、センターオフィスに求められる役割の1つとして企業や組織に所属するワーカー同士のつながりの形成に最適な場であるということは言えます。一方で、上記のようなデジタル空間の発展やポテンシャルを考えると、これだけでは物足りないようにも感じます。
オンサイトであることの意義を考えるためデジタルが未だ踏み込めていない要素を考えてみると、組織を支える精神的な側面や肌で感じられるような緊張感や臨場感は、未だリアルな場に優位性のある要素になると思います。
リアルな場の価値を考える好例として、チームスポーツにおけるスタジアムが挙げられます。スタジアムという場はそのクラブの文化や歴史・哲学を象徴するような場所であり、まさに試合や応援による臨場感や緊張感をプレイヤー・サポーターの双方が感じることができる場です。また、練習や試合を通じてクラブのレジェンドやベテランから次の世代へとメンタリティが継承される場でもあり、文化や哲学が醸成されていくような側面も持っています。

オフィスという場においても見習える要素は多く、企業の歴史や文化の継承、業務上の商談やミーティングにおけるライブ感・臨場感や緊張感はリアルな場だからこそ味わえるものです。ワーカー同士のつながりの形成を促す場という役割だけでなく、形成されたチームや組織にとってセンターオフィスがホームスタジアムのような役割を果たし、チームを精神的な側面から支え強靭な組織をつくりあげていくこと、それらがハイブリッドな働き方の先を考える上で1つの目指すべき方向であり物理的なオフィス空間をつくる意義になるのではないでしょうか。

このようにハイブリッドワークの変容とともに、働く場所の1つであるオフィスの役割を明確にして、場の価値を最大化することは企業サイドの重要なミッションになるでしょう。
経営側がいずれの方向性を目指すにせよ、多くのワーカーや企業が転換期を迎えています。
ライフやキャリアの充実により今後さらに複雑化するワーカーの要望や期待に応えていくためにも、今の分散への適応の先にある新しい柔軟な働き方を創り出していくことが必要になると思います。全5回にわたる本コラムがその思考の一助となり、個人や組織がさらにいきいきと働けるような未来がくることを願っております。

著者
著者中島 崇博(株式会社内田洋行)
知的生産性研究所のコンサルタントとしてお客様の働き方改革プロジェクトを現場でご支援する傍ら、オフィスや働き方に関する文献調査、レポート作成などを担当している。携わった主なプロジェクトは、経営幹部意識改革プロジェクト(製造)、 働き方変革プロジェクト(サービス)、製造工場改革プロジェクト(製造)など。
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