第4回:柔軟な働き方のためのアップデート - 知的生産性研究所のナカシマコラム

ハイブリッドワーク マネジメント

2020年、「働く」を取り巻く環境や認識は大きく変化しました。この1年以上に及ぶパンデミック禍の中で、何を経験し学習できたのでしょうか。また、未来のためにどのようなことを考えていくべきなのでしょうか。「知的生産性研究所のナカシマコラム ~働くを前へ。働くを明日へ。(全5回)」では、それらの問いを、社会環境の変動と進化する働き方を30年あまり見つめてきた知的生産性研究所の所員の視点から紐解き、これからの働き方を皆さまと一緒に考えていきたいと思います。

マネージャー、特に現場に近いミドルマネージャーの意識のアップデート、これはいつの時代でも求められてきたことです。もちろんパンデミックによる影響を受けた現在も例外ではありません。

知的生産性研究所では、働く環境の変化と合わせて行動や意識の変革をすることの重要性を謳ってきました。これはオンサイトを前提としたオフィス環境整備を主とした考え方でしたが、ワーカーたちの働き方に対する認識の違いや職種、本人の状況などにより、一律とはいえない働き方・働く場の変化が起こった現在のハイブリッドワークにおいても同様の事が言えるかと思います。
もしもマネジメントが変化できないままでいると、これら不平等性をさらに冗長させる原因となったり、ワーカーたちの不満を募らせることになる、などといった問題を発生させてしまう恐れがあります。柔軟性の確保とともにワーカーがいきいきと働ける企業になるためには、各組織に適したアップデートが求められるでしょう。

そこで、ハイブリッドワーカーの意識変化という観点からこのことを考えてみたいと思います。

働き方変革を支える2つの変革

まず、ワーカーの意識変化には何が起こったのか。1回目のコラムでご紹介した通り、多くのワーカーに「自宅でも仕事はできる」という意識が芽生えました。この考えがさらに浸透すると、ワーカーは自宅も活用してハイブリッドに働けることを自身の人生においても価値のあるものだと感じ、給与によるインセンティブと同等の価値のあるものだという認識を持つワーカーも発生し始めます。
実際、ビッグテックでは給料と引き換えてでもリモートで働く権利を重要視する動きがあったり、2020~2021年にかけてアメリカで大規模に実施されたアンケート調査でも週2-3回のリモートワークを、5%程度の昇給と同等もしくはそれ以上の価値があると感じているワーカーが半数以上で、さらに15%以上の昇給の価値があると感じているワーカーも2割近く存在するというようなデータが示されています。
日本とは雇用形態や給与水準、土地の規模感も違うため、ここまで大きな認識の変化が発生しているとは限りませんが、少なくとも人生を豊かにする可能性があることは大きく注目を集めており、ライフスタイルやステージに合わせ働く場所を自由に選びたいワーカーは今後ますます多数派になっていくかもしれません。

また、ワーカーの働く場の選び方の意識にも変化、そして問題が発生することが考えられます。2回目のコラムでご紹介した通り、ハイブリッドな働き方をする中では、ワーカー自身が意思を持ち自律的に場所を選択していくことが重要です。この考え方をワーカーが持つこと自体は良いことなのですが、一方で何故かつてパンデミック以前のリモートワークが珍しいものであったかという観点から考えると懸念が浮上します。
実はリモートワークが起こす問題として、昇進する可能性の低下が挙げられます。これは業務中のプロセスが見えづらいが故にマネージャーが評価すべき人を見落としてしまうといったことから起こる問題なのですが、この問題が噴出してしまうと、本来評価されるべき優秀なワーカーが適切に評価されない不安から出社を選択することが発生してしまいます。その結果、リモートワークで働くワーカーにはパフォーマンスが低かったり意欲のあまり高くないワーカーばかりが残ってしまい、結果的にリモートワークが生産性を低下させているように見えてしまったり、ワーカーの執務場所を選択する判断軸が業務内容や場所の好みのような本来的なものではなく、能力依存や意欲の有無からのものになってしまう恐れがあります。
働きやすさを向上させるための変革を進める必要がある中で、この問題によりワーカーの自律性や働く意欲に悪影響を与えることや、整備された制度・環境全体の後戻りが発生することは避けたいところです。

これらの意識変化や問題を1つ1つ見てみると、柔軟性の利用可否、人生のプランも含めた広義なキャリアプラン、そして成果や能力に対する評価の納得感、などの要素における透明性や公平性が必要であるように思えます。ワーカーの仕事に対する意識や価値観の複雑化が進んだからこそ、様々な場所で働くハイブリッドワーカーへの環境面や心理面への公平なサポート、オンサイトとデジタルツールそれぞれのメリットを活用しての健全なコミュニケーションと相互の信頼関係の構築がますます求められるでしょう。
上記のような世界観を実現し、ハイブリッドワークを機能させていくためには企業規模での全体最適だけでなく、組織やチーム単位での個別最適も意識していく必要があります。
特に感情面でのサポートや相互の信頼関係構築などによる、ハイブリッドワーカーたちの心理的な公平性を提供・維持していくことは現場のリーダーの役割を担うミドルマネージャーだからこそ積極的に取り組んでいけるものであり、時代変化に合わせたマネジメントを再考していくポイントとなるのではないでしょうか。

著者
著者中島 崇博(株式会社内田洋行)
知的生産性研究所のコンサルタントとしてお客様の働き方改革プロジェクトを現場でご支援する傍ら、オフィスや働き方に関する文献調査、レポート作成などを担当している。携わった主なプロジェクトは、経営幹部意識改革プロジェクト(製造)、 働き方変革プロジェクト(サービス)、製造工場改革プロジェクト(製造)など。
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