第3回:分散するつながりをどう考えるか - 知的生産性研究所のナカシマコラム

コラボレーション オフィスの役割

2020年、「働く」を取り巻く環境や認識は大きく変化しました。この1年以上に及ぶパンデミック禍の中で、何を経験し学習できたのでしょうか。また、未来のためにどのようなことを考えていくべきなのでしょうか。「知的生産性研究所のナカシマコラム ~働くを前へ。働くを明日へ。(全5回)」では、それらの問いを、社会環境の変動と進化する働き方を30年あまり見つめてきた知的生産性研究所の所員の視点から紐解き、これからの働き方を皆さまと一緒に考えていきたいと思います。

ハイブリッドワークで失われたものは何でしょうか。
初期の宣言発令時から言及されている事ではありますが、他人と顔を合わせての物理的な接触機会、及び他人とのつながりは失われてしまったものの代表格ともいえると思います。

1つ前のコラムでは在宅勤務の研究(ニコラス・ブルームら,2015)を紹介し、ハイブリッドな働き方へ移行することのメリットや可能性を示しましたが、その研究では人が分散することに伴う他人との社会的な接触機会の低下による孤独感などから、あえて出社を選択する人も一定数存在したことも示されています。

単純な接触機会の低下に加え、対面での交流であれば、微妙な表情の変化や声色など豊富な情報を相手から得ることができるのに比べ、リモートではそれらの情報がはるかに少なくなってしまうことも、分散する中でのつながりを困難にしている要因かもしれません。
実際、2020年に知的生産性研究所で実施したWebアンケートからも、一部のワーカーたちは話の内容の微妙な部分の伝わりづらさや、相手の反応や感情の捉えづらさからリモート環境下での協働に難しさを感じていることがわかります。

知的生産性研究所:新時代のワークスタイル考察(2020.11調査)

つながりの中でも微弱なものや新しいつながりは、同じオフィスにいても形成することや維持していくことが困難であるにもかかわらず、分散してしまったともなれば、本来コラボレーションやイノベーションの種であると期待されるような部門の垣根を超えたつながりや、その形成機会の損失は避けられません。

だからといってワーカーたちを以前の勤務形態に戻すというのも難しく、せっかく起こった働き方の変化を失うことももったいないことのように思えます。
では、出社と在宅のいいとこ取りを狙ったハイブリッドな働き方の中でもつながりを作っていくためにはどうしたらいいのか。

この問いへ取り組んでいくためには、やはりワーカーたちがコラボレーションを試みる中で発生する障害を減らすことが1つの鍵になっていくのではないでしょうか。

ワーカーが他人とつながり、コラボレーションを生んでいくためにはそれ相応のコストが必要になります。例えば、少し他の部署の人と話をしたいために軽めの会議を設けるにしても、「相手に送る文面を考える」「スケジュール調整をする」「会議場所をおさえる」「実際に会議で話す内容を考える」など多くの事が必要になります。この段階で面倒な事が多い、手間がかかりすぎるなどと感じるとワーカーたちはコラボレーションすることに対し抵抗感を持ってしまいます。
この状況に対し、パンデミック以前でも働き方改革に取り組んできた企業では、誰が何をできるか知れるタレントマネジメントやマネージャーを中心とした発言しやすい組織づくりなど、ワーカーたちにとっての障害を取り除き、コラボレーションのコストを削減できるような取り組みが行われてきました。
これらのような取り組みは、チャットやWeb会議など新しいコミュニケーション手法により、他者との交流に物理的な制約がなくなると、さらに重要性や効果性を増していくのではないでしょうか。

デジタルな空間の発展も今後のワーカー同士のつながりを考える上で見逃せない要素です。
発展の最中にある分野ですが注目度は高く今後数年で発展が期待される分野であり、パンデミックの影響により失われた物理的な接触機会が、バーチャルな空間によって補完されていくような未来もあるかもしれません。
またリアルな空間においては、働き方が柔軟性を増したことを前提として、オフィスをコラボレーションのためのスタジオに見立てたDropboxの「Dropbox Studios」のような空間なども散見できるようになってきました。これは個人的な仕事は自宅で効率をあげつつ、オフィスは在宅で欠けていた人との出会いを可能にすることを基本的な考えとして作られており、ポストコロナやアフターコロナの働き方の先端事例となることが期待されています。

今後もワーカーや働き方を取り巻く価値観は変化していくかもしれませんが、ワーカー同士の交流を実行・活性化するためのツールとしてリアルやバーチャルな空間がさらに重要な役割を担っていく可能性は大いにあります。

経営側は今後も積極的なワーカー間のコラボレーションを望むのであれば、適正なサポートとなり得る組織づくりや空間、システムの提供へと投資していくべきではないでしょうか。
パンデミックにより何気ない会話が珍しくなってしまったワークスタイルの中で、ワーカー同士のつながりについて再考するべき時なのかもしれません。

著者
著者中島 崇博(株式会社内田洋行)
知的生産性研究所のコンサルタントとしてお客様の働き方改革プロジェクトを現場でご支援する傍ら、オフィスや働き方に関する文献調査、レポート作成などを担当している。携わった主なプロジェクトは、経営幹部意識改革プロジェクト(製造)、 働き方変革プロジェクト(サービス)、製造工場改革プロジェクト(製造)など。
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