第19回:プレゼンの準備に潜む「三つの罠」に気をつけろ 【澤円の連載コラム】

【澤円の連載コラム】働き方の再定義 ~なりたい自分になるためのヒント~
プレゼンが苦手 資料づくりのコツ プレゼンの核

いま、働き方が再定義されようとしています。テレワークから出社回帰、働く場も多様化し人とのかかわり方も変わっていくなか、自分らしく、よりハッピーに働くにはどうしたら良いのでしょうか?連載コラム「働き方の再定義 ~なりたい自分になるためのヒント~」では、株式会社圓窓 代表取締役 澤円(さわ まどか)さんと一緒に「はたらく」について考えていきます。

こんにちは、澤です。

前回は、プレゼンの準備についてお伝えしました。
今回は、準備段階で「こうなったらヤバい」という、ダークサイドのお話をしたいと思います。

前回の記事では、「デッサン思考」について書かせてもらいました。
1.聴衆を定義する
2.テーマを定める
3.データで裏づける

この3段階を意識することにより、精緻なプレゼンをデザインすることができるとお伝えしました。 いざ準備に取り掛かり、上記のことも意識しつつ進めていけば、うまくいくはず・・・なのですが、ここで気をつけないとならない罠がいくつかあります。
・完璧の罠
・構成の罠
・情報量の罠
こんな感じでしょうか。

「完璧の罠」とは、「とにかく準備を完璧にしよう」と思い過ぎてしまい、時間が足りなくなってしまうというパターンですね。
データは全て用意しよう、出典元の原文も全部頭に入れておこう、先輩、マネージャー、役員にもレビューしてもらおう・・・あらゆることを全部やらないとダメだ、と思い込み過ぎてしまうと、とにかく時間が足りなくなります。
時間が足りなくなると、それだけでプレッシャーが増してしまい、より一層抜け漏れが増えてしまったり、そもそも完成させることができなくなったりして、本末転倒なことになりかねません。
時間は増やせません。
完璧なものを作りたいと思う心は大事ですが、時間切れにならないように計算することがより一層大事だと心得ましょう。

次が「構成の罠」です。
ボクのような稼業ですと、ステージが用意されて60分なり90分なりを与えてもらって、その間は一人でプレゼンをするという「独演会モード」のパターンがほとんどです。
なので、構成は「自分の話すペース」で全体をデザインすることができます。
「ここで聴いている人たちの注意を引いて、ここで納得感を作って・・・」のような形で、流れを考えてスライドを作ることができます。
しかし、組織の中でプレゼンをするときや少人数でのプレゼンの場などでは、相手がちょいちょい割り込んでくる「対話モード」になることもあるのではないでしょうか。
ボクも、ラウンドテーブルスタイルでのプレゼンの時や、外国人が混じっているときなどは、途中で質問されたり、ちょっとした割り込みに対応したりする場面があります。
あまりにも構成をガチガチに固め過ぎてしまって、順序を変えるとわからなくなるような作りにしていると、途中の割り込みでペースがめちゃくちゃになる場合があります。
「あ、今の質問の内容はずっと後に出てくるんだよな〜・・・でもそこにいきなり話が飛ぶと意味が通じなくなるんだよな〜・・・」みたいな構成だと、非常に困ってしまうことがあります。
ということで、全体の構成は少し「緩め」にしておくことで、対応ができます。
数枚単位で意味が通るように単元化して、自由に行き来できるような構成にしておくと、急な割り込みが発生して順番を入れ替えてもプレゼンができる状態を作れます。

たとえば、セールスの提案プレゼン。
「現状分析 → 課題整理 → 解決策 → 事例 → 価格」という、非常に教科書的で美しい構成の提案資料を作ったとします。
プレゼンが始まって現状分析を話しているときに「まず事例が知りたい」と言われたとします。
その事例で書かれている内容が、現状分析で触れられた言葉を聴いていないとわからなかったりすると、飛ばして話をすることができません。
このように単元の順序による制約が強いと、その場で柔軟に語り口を変えるということができず、いい結果につながらない可能性が出てきます。
そこで、割り込みが入るかもしれない場面でのプレゼンを想定するなら、ある程度の独立性を持った小単元でまとめておくことをお勧めします。

最後に「情報量の罠」です。
これは、「完璧の罠」と「構成の罠」とも深く関わっています。
ボクの経験上、プレゼンの情報量は「多すぎる」ことが問題になるパターンがほとんどだと思っています。
「とにかく抜け漏れなく」と思い過ぎてしまって、全体で凄まじい情報量を持つプレゼンを作ってしまうのは、「完璧の罠」に引っ張られて「情報量の罠」にハマるパターンですね。
また、「スライド枚数を減らしてシンプルな構成に・・・」と思い過ぎて、一枚の情報量をめちゃくちゃ多くしてしまうのは、「構成の罠」の結果として「情報量の罠」へと落ちています。

人間が持って帰れる情報量には限りがあります。
そこで理解していただきたいのが、ボクが「プレゼンの核」と呼んでいる考え方です。
「プレゼンの核」とは、プレゼン内容を「持って帰って配れる情報量にまとめる」ことです。
持って帰ってくばれるというのは、「伝言ゲームを正しく行う」というイメージにしてください。
情報量を増やして納得してもらうのではなく、徹底的に言葉を磨いて「他の人に言える状態」を作ることが効果的です。

「生産性を高める」というテーマでプレゼンをするとします。
生産性を高めるためには、コミュニケーションのオーバーヘッドを減らすことが効果的です。
しかし、日本のビジネスシーンでは過剰に丁寧なメールのやり取りが発生したり、「ご挨拶」と称したほぼ無意味な対面ミーティングが設定されたりします。
これを冗長に説明するならば
「日本の商慣習において、ビジネスマナーを重んじるあまり、冗長なやり取りが発生したり、ビジネスに直結していない会議が行われたりしている。結果として、単位時間あたりの生産性が下がり、業績にも悪影響を与える」
となります。
これを、キャッチーにまとめると
「礼儀正しく時間を奪う」
とまとめることができます。
スライドに記載するのは、このフレーズだけにすると、すっきりとまとまります。

プレゼンの準備をしている時、ついつい作業に没頭していつの間にやら罠にしっかりはまっているかもしれません。
時々自分の立ち位置を確認して、素敵なプレゼン資料を作ってくださいね。

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[2026.3.3公開]

澤 円(さわ まどか) 氏
著者澤 円(さわ まどか)氏
株式会社圓窓 代表取締役
武蔵野大学 アントレプレナーシップ学部 専任教員(教授)
元・日本マイクロソフト株式会社業務執行役員。マイクロソフトテクノロジーセンターのセンター長を2020年8月まで務めた。DXやビジネスパーソンの生産性向上、サイバーセキュリティや組織マネジメントなど幅広い領域のアドバイザーやコンサルティングなどを行っている。複数の会社の顧問や大学教員、Voicyパーソナリティなどの肩書を持ち、「複業」のロールモデルとしても情報発信している。また、ファッションや美容、自動車などのインフルエンサーたちとも積極的に共創活動を行っている。

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