第14回:生成AI、どう使えばいいの問題 【澤円の連載コラム】

【澤円の連載コラム】働き方の再定義 ~なりたい自分になるためのヒント~
生成AIとの付き合い方 まずはやってみる

いま、働き方が再定義されようとしています。テレワークから出社回帰、働く場も多様化し人とのかかわり方も変わっていくなか、自分らしく、よりハッピーに働くにはどうしたら良いのでしょうか?連載コラム「働き方の再定義 ~なりたい自分になるためのヒント~」では、株式会社圓窓 代表取締役 澤円(さわ まどか)さんと一緒に「はたらく」について考えていきます。

こんにちは、澤です。

生成AIの話題が出ない日はありませんね。
多くの経営者が生成AIに全振りすることを表明していますし、ビジネスだけではなく教育の現場でも「生成AIありき」で考え直すことが強く求められています。
そんな状況であることはわかっているけれど、実は使い方がよくわからないという方も多いのではないでしょうか。
「とりあえず、ChatGPTのアプリは入れてみたけど、何を聞けばいいのかわからないし、セキュリティも心配だし・・・」
そんな風に考えている方もいらっしゃいますよね。
今回は、ボクの体験談も紹介しつつ、「いまさらきけない」生成AIとの付き合い方についてお伝えしてみましょう。

ボクは1993年に文系大学卒業後にプログラマになるという、当時としては変わったキャリアを選択しました。
まだインターネットが世の中に登場する前のことでしたし、パソコンを所有している人もごく少数だった時代です。
「よくわからんけど他の人とは違うキャリアを選ぼう」って思ってプログラマになってはみたものの、とにかく用語もさっぱりわからず、最初の2年は苦労だらけでした。
ボクが社会人3年目に入った1995年にWindows95がリリースされ、一気にインターネットの世界が人類に解放されました。
これはボクにとって最高のチャンスでした。
なにせ、全世界が初心者になったんですからね。
もちろん、インターネットそのものを作り出す側だった「つよつよエンジニア」や、最初からある程度の技術的な背景が分かっているIT界隈の人はいました。
しかし、そんな人たちもあらゆるビジネスがアップデートされた「インターネット時代」は知らないのです。
なんなら、IT業界の人間にも「インターネットがビジネスの基盤になることはない、せいぜい趣味の世界でとどまる」なんて言ってる人もいました。 あの人元気かな~・・・(遠い目)

さて、ボクは何をしたかというと、当時としてはかなりハイスペックなパソコンをローンで購入しました。
(最初に買ったパソコンは当時通販専門で販売していた「Gateway2000」という会社のものでした。懐かしい!)
そして何をしたかというと・・・夜な夜なネットサーフィンです!(笑)
とにかくいろーんなサイトを見て回りました。
手あたり次第、のべつ幕なし、むやみやたらにいろんなサイトを見て回りました。
日本語のサイトはまだそれほど多くなかったので、英語のサイトも辞書片手に見て回ったりしましたね。
SNSなんてまだ存在しない時代でしたが、その前身ともいえる「ニフティサーブ」というパソコン通信サービスを毎日眺めて、時々コメントもしてみたりしました。
また、ニフティサーブ内の「売ります・買います」のフォーラムで、中古の電子ピアノを購入したこともあります。
メルカリのようなサービスもなく、いろいろ手探りで交渉した記憶があります。
さて、こんな感じでやってたことは「いまならだれもが既存サービスでできること」です。
パソコンやスマホで、アプリ経由でできることばかり。
でも、当時はそのような環境がまだ整っていない中、あれこれ試行錯誤をしながら楽しんでいました。
結果として何を得ることができたかと言えば、ポンコツエンジニアだったボクが「なんとなくネットに詳しい人」というタグが付いて、「教わる側(というより足を引っ張る側)」から、「教える側」に回ったのです。
まだ、世の中に情報がそれほど整っていないときこそ、とにかく試してみるのが大事、というのがボクの持論です。

「いや、だから、何すればいいかが分からないんだってば!」という人もいますよね。
あるいは「ChatGPTに訊いても、思った答えを返してくれないんだよ!」って怒ってる人もいるかもしれませんね。
そんな人にいくつかのアドバイスを。
生成AIは、今までのITツールとは全く別物と思って付き合いましょう。
そして、とにかく「会話によって答えを引き出す相手」と考えてやり取りしてください。
つまり、「正しいコマンドを使って正しい答えを引き出す」のではなく、「あれこれやり取りしている中で、自分の考えをまとめていく」というアプローチの方がハードルが低いでしょう。
そして、人間にとっては無茶な依頼も、生成AIには朝飯前のものばかりです。(生成AIはごはん食べないけど)
例えば、あなたは化粧品の商社に勤めている社員で、新規事業に関するアイディアを考えなくてはならないとしましょう。
生成AIにアイディアを出してもらうときの質問文(これを「プロンプト」といいます)は、まず下記のようなものを思いつきますよね。
「私は化粧品の商社につとめています。新規事業のアイディアを考えてください」
ここに一工夫加えます。
「私は化粧品の商社につとめています。新規事業のアイディアを100個考えてください」
このように、人間なら嫌がられるような「膨大な量の依頼をする相手」としては、生成AIは最高のパートナーです。
ちなみに、このプロンプトに対して、ChatGPTは10個ずつカテゴリに分けて1分とかからず提案してくれました。

ChatGPTによる回答の画面キャプチャ

何か依頼するなら100個単位。
これを覚えておくだけでも使い方はだいぶん変わってきます。
もちろん100個がすべて高品質な回答であるとは限りません。
ただ、人間が100個出したらはるかに時間がかかるし、だんだん考えるのに疲れてきて30個くらいは同じようなアイディアになってしまいそうです(笑)

100個の中から、経営陣向けにプレゼンするのに適しているものを選んでもらうこともできます。

ChatGPTによる回答の画面キャプチャ_2

さらに
「AI肌診断と定期配送サービスを実装しているブランドは?」
「ARメイク試着アプリをすでに出しているブランドは?」
こんな風に質問を重ねていきます。
ポイントになるのは、AIから出てきた文言をそのまま受け取るというよりも、思考のきっかけを得ていると思うことです。
生成AIは、相談相手として扱うのが一番。
そして、とにかくマメに問いかけることを習慣化する。
これに尽きるかなと思います。
プラットフォームごとに、ちょっと特性はあります。
ボクは同じ問いをGeminiとClaudeにも投げています。
ちょっとずつ回答が違うことを体験しておくのも、後々生きるかなと思っています。

ボクがネット黎明期にやっていたネットサーフィンにあたるのが、このようなやり取りだと思っています。
まずはここからスタートで十分です。
いろんなサービスが整ってきたときに、「ある程度さわった経験がある」というのが大きな武器になる可能性はかなり高いと思ってます。
正しいプロンプトの書き方を調べるより、思ったことをとにかく投げてみる。
そして、AIとの対話に慣れておく。
今はこれが一番大事なんじゃないかなと思っています。
そして、できれば課金しましょう!
やっぱり、課金して得られる体験はレベルが違います。
ボクも、インターネット時代の幕開けと同時にパソコンを買ったことがキャリアの明暗を分けたと思っています。
最上レベルでなくてもOKです。
自己投資と思える人が、結局はあとで得をします。
まだ、生成AIは黎明期。
あれこれ考えず、まず始めましょう!

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[2025.9.2公開]

澤 円(さわ まどか) 氏
著者澤 円(さわ まどか)氏
株式会社圓窓 代表取締役
武蔵野大学 アントレプレナーシップ学部 専任教員(教授)
元・日本マイクロソフト株式会社業務執行役員。マイクロソフトテクノロジーセンターのセンター長を2020年8月まで務めた。DXやビジネスパーソンの生産性向上、サイバーセキュリティや組織マネジメントなど幅広い領域のアドバイザーやコンサルティングなどを行っている。複数の会社の顧問や大学教員、Voicyパーソナリティなどの肩書を持ち、「複業」のロールモデルとしても情報発信している。また、ファッションや美容、自動車などのインフルエンサーたちとも積極的に共創活動を行っている。

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