新FITEC様が誕生したのは2017年10月。旧本社が置かれていた目黒区内のオフィスをそのまま利用してのスタートでした。しかし、そこは2011年の東日本大震災を受けての防災対策として、急遽、あつらえた拠点だったため執務室も手狭で会議室が不足しているなど、さまざまな課題がありました。
塩澤様(FITEC株式会社):さらに大きな開発プロジェクトが複数立ち上がっていて、数十人単位で従業員が増えるといった状況で、今のままでは収容しきれないということがありました。また、これからの働き方を考えるには、設備も整っていない。そこで新会社になったのを契機に移転という話が持ち上がりました。
まずは、約360人の従業員がしっかりとした仕事ができる物件探しに着手。
須山様(FITEC株式会社):部署や業務ごとに6部屋に分かれていましたので、コミュニケーション、効率化などの面でも問題がありました。よって、広いフロアであることが第一条件でした。
物件探しと並行して、田中副社長をチーム長に据え、須山様、塩澤様、井上様の3人体制の事務局、各部署から選定した10人のメンバーによる移転プロジェクトチームも設置。さまざまな条件に合った2フロアで868坪の物件が見つかった11月上旬に正式にキックオフとなりました。
物件探しと並行して、オフィス見学をいろいろされたというプロジェクトチーム。ウチダが担当させていただいた富士通グループ様のオフィスも見学されたそうです。
そうしたオフィスで見聞きしたことも参考にして、入札に向けての提案依頼書(RFP)を作成。それに記した「移転目的」「コンセプト」は以下の通りです。
【主な移転目的とコンセプト(抜粋)】
●2017年10月に誕生した、富士通グループの新IT会社にふさわしい新オフィスを構築する
●働きがいのある、働きやすい、仕事が楽しくなるようなワークプレイスを構築する
●ワークスタイルの変革により、社員の生産性/創造性とモチベーションの向上を図る
●有能な人材を獲得、継続雇用できるようにする
●社員のモチベーションが向上する
こうした条件のもと、数社に提案を依頼しましたが、最大のネックになったのはスケジュール。提案書提出締め切りは12月28日、コンペは1月5日。そこまでタイトにせざるを得なかったのは、移転日が5月中と決定しており、この時点で半年を切っているからでした。
須山様:単なる移転であれば、それでもなんとかなると思っていましたが、今回の移転はワークスタイルの変革にまで踏み込んだもの。コンペ参加業者からは「あと数ヶ月あれば」という声もありました。
塩澤様:その中で、「やれます」と自信を持って答えてくれたのはウチダさんだけでした。いつまでに何を決める、といった決定に関してのスケジュールをきちんと見える化して提示してくれた。これは頼もしかったですね。
ウチダは受注が決まるとまず、トップインタビューを実施しました。経営者の会社に対する思い、実現したいこと、期待していることなどを多角的にお聞きして、
・安全第一(防災&セキュリティ対策)
・リクルート効果
・フラットなコミュニケーション
・総合力の創出
といったキーワードを抽出しました。
板垣:加えて、この時に副社長が「社員に考えさせるオフィスにしたい」とおっしゃいました。毎日、何も考えずに自分の席に座っているが、まずはその時点から考えるしくみをオフィスに取り込みたいと言われたことが、とても印象的でした。
その後、社員をターゲットにしたワークショップを開催。トップインタビューで出てきた経営者の考え方や方向性、メッセージを自分の言葉に置き換えて理解し、チームで共有した上で、自分たちの将来像「ありたい姿」を創造するセッションと、想像した「ありたい姿」が達成されているシーンを想定するワークストーリー作成のセッションと2回開催。あわせて従業員全員を対象にしたアンケート調査も実施しました。
そうして導き出されたスローガンが「Breeze Office~風通しのいい居心地のいいオフィス~」です。
次に、ウチダは「ありたい姿」のステージとなるワークスペースのデザインを提案。役員会などでのご意見もいただきながら、修正を加えてプランを詰めていきました。
塩澤様:もともとのデザインもよく考えられたものでしたが、さまざまな意見や要望を組み入れつつ、スローガンからブレないようにコンセンサスを取って、最終的によいプランに仕上げてくださいました。私がこだわったのは、窓際に打ち合わせスペースを置くことと、多目的ルームを設けること。そして、フリーアドレスにすることです。
フリーアドレスにより、執務室の机の配置をウィンドミル(風車)型にすることが可能になり、動線がジグザグになる変化のあるオフィスが誕生しました。
また、すぐに気軽に打ち合わせができるコーナーのほか、バーコーナーを備えた多目的ルーム、収容人数やテーブル、イスが異なる大小さまざまな会議室など、業務やミーティングの内容に合わせて最適な場を選べるバリエーションができました。
須山様:選べる自由があると人間はワクワク度が増すという話を聞いたことがあります。そんなワクワクするオフィスにしたいということが望みでした。窓際の打ち合わせコーナーはオープンコーナーと呼んでいますが、そこで一人で仕事をしても構わない。できるだけ多くの選択肢があるようにしたいというのが、私のこだわりでした。
3月上旬から調達を始め、プランが完全にアップした3月20日からB(ビル躯体)工事、その2週間後にはC(室内)工事を開始しました。
規模の大きさはもとより、さまざまなICTの導入、会議室ごとに異なるテイストにした什器、そして工事期間の短縮化により、プロジェクトマネジャー(PM)の業務は煩雑を極めるものとなりました。
須山様:またコスト管理もしっかりしてくださった。コストパフォーマンスがとても高いオフィスになったと思います。
工事は滞りなく進み、5月中旬の移転も無事に終了。しかし、ウチダの支援はこれで終わりではありません。
塩澤様:ウチダさんは短期間の中で、これからの働き方を考えるワークショップも開催してくれ、「箱」としては、とてもいいものができたと思っています。しかし、本当の意味での働き方変革という視点で見るとオフィスの外、在宅勤務やサテライトオフィスの利用も組み込んだ取り組みを推進していかなければならないですから。その一歩として、価値のあるオフィスになったことは間違いないと思います。
板垣:リクルート効果についても、学生の反応がとてもよくなったとうかがっています。従業員の方々がワクワクしてイキイキ働ける場となるよう、ウチダは今後も定期的にアンケート調査を行い、改善すべき点は修正するなど、サポートを続けてまいります。今後ともよろしくお願いいたします。
構想段階からずっとパース図を見ていましたが、完成した姿の明るさ、きれいさは想像以上でした。カラーコーディネートも素材感もとてもいいですね。以前はデスクの上も下も荷物であふれている人がいましたが、現在は、フリーアドレス効果もあり、きれいに片付いています。防災対策の面でもとてもいいと思います。(須山様)
ウチダさんの提案、マネジメントのおかげでいいオフィスができました。社長からも「使いやすいオフィスだ」という評価があり、グループ会社の人たちの評判も上々です。オフィスの移転は完了しましたが、働き方変革についてはこれからです。社内で組織される予定の分科会でしっかり詰めて、より良い環境を作ってもらえればいいなと考えています。(塩澤様)
新しいオフィスのコンセプトを念頭に置き、「ありたい姿」からオフィスに必要な機能をプロセスを踏みながら一つ一つこだわりを持ってFITEC様と一緒に決めてまいりました。
特に自席に向かって仕事をするというスタイルから社員一人ひとりが考えオフィスをその日の業務に合わせてを使いこなす、ということにとてもこだわりが強くどのようなオフィスがいいのかというのはとても考えました。
その分完成後に社員の方々が使われている姿を見てとてもうれしく思います。
新しいオフィスを使われる社員の働き方が変わっていくと共に今後の働き方の変化に応じてこのオフィスが進化していくこと期待し、また引き続きお手伝いができればと思っております。
移転が決定してから完了まで半年足らずのタイトなスケジュールの中で、「ワークスタイルの変革」にも同時に取り組みました。アンケートやワークショップといった手法を用いて、今まで自席に向かって仕事をしていたスタイルから、社員自らが考え行動し、その日の業務に合わせて席を選んで働くスタイルへと変えていくことができました。
途中、悩む事も色々とありましたが、事務局の皆様と一丸となってプロジェクトのゴールに向かい、最後は社員皆様の想いが込められた活き活きと働ける空間が出来上がったと思います。
短期間ながらスムーズにオフィス移転が進行したのは、「これを、この日までに決めていただきたい」というお願いをきっちり守ってくださったからこそです。これからも、FITEC様の働き方変革をサポートさせていただきます。
FITECは、四半世紀以上におよぶシステム開発の経験を通じて、ものづくりを生業とする企業の業務ノウハウと、それに必要なICTの知見を蓄積してきました。現在は、国内外100以上の子会社を持つ古河電工グループのICT戦略を担っています。そのなかで、グループ企業に求められるICTのあり方や、セキュリティなどについても、十分なノウハウを蓄積しています。さらに、システムの構築のみならず、企業の発展に応じた改善、保守・運用を常に考え実践することで、最適なICTのライフサイクルを実現しています。
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