グランパークタワー31F に東京本店を設置されて「未来の街・建物の姿を想像、新たな付加価値を創造」をコンセプトに掲げた長期ビジョン『HIBIYA 未来創造』の達成に向け、グリーンエンジニアリング企業を目指して取り組みを強化されている日比谷総合設備株式会社様。今回、その目標に向けての合言葉「話し合おう、変わるために。行動しよう、成長するために。」を実践する場にふさわしい、職場環境の構築のために、東京本店の全面リニューアルに着手されました。内田洋行はその実現のため ICT/AV を含む幅広い提案を行い、株式会社NTTファシリティーズ様 PM のもと、設計から家具・造作工事・ICT/AV、さらにリロケーション・廃棄に至るまで、一括でご支援させていただきました。
日比谷総合設備様が現在のビルに東京本店を設置されてから四半世紀超、部署の入れ替えなどは多少あったものの、ほぼ入居当時の設えを保ってこられました。そんな状況でコロナ禍に突入したことにより、さまざまな課題が浮き彫りになったといいます。旧来の島型の固定席だったため、部署の出社率の違いによって「密」と「ガラガラ」な島が混在し、スペースの有効利用ができませんでした。また、オンライン会議が一気に増えたものの、もともと会議室が取り合いの状態だったので、オンライン会議をするために在宅勤務をする人も少なくなかったそうです。
そこで、変化した働き方に合う、将来を見据えたオフィス整備の必要性が高まった日比谷総合設備様では、自分たちでオフィスをつくり上げようと、プロジェクトチームを立ち上げられました。体制は、東京本店の各部署から選出された「コアメンバー」7名と10名の「メンバー」の総勢17名のチームです。「このオフィスで働く各部署のメンバーが集まったことで、現場の声を吸い上げることができたと思います」とコアメンバーの根岸様。また、「すでにオフィス改革を経験した関西支店の社員がメンバーとして参加してくれたのも大きかったですね。実体験に基づいたアドバイスがとても貴重でした」と同じくメンバーの岩澤様も振り返られます。
プロジェクトメンバーは、今後、どのような働き方をすべきか、そのためにはどんなオフィスが必要かを議論。「リモートワークを活用した新たな働き方に対応しながら、センターオフィスとして face to face によるイノベーション効果や、ICT活用による機能的に充実した職務環境が得られる場」を目的に意見をまとめ、コンペを実施されました。
オフィスリニューアルにお声がけいただいた内田洋行は、「人と人、人と情報がつながり、未来へと進んでいくオフィス」をコンセプトとしてご提案をしました。具体的には、グループアドレスによるオープンな執務エリア内に、部門や人数を問わず、さまざまな目的で利用できるコミュニケーションパークとハイブリッド会議室を2部屋ずつ配置。さらに来客エリア側に、他拠点のメンバーやお客様ともつながれるコワーキングラウンジとライブラリースタジオも設けました。「関西支店のメンバーから、リフレッシュもできるフリースペースをつくったらコミュニケーションが生まれたという話もあったので、そんな場所はぜひつくりたいと思っていました。内田洋行さんのプランは、部門間横断も可能なアイデアで、さまざまな打ち合わせスペースも設けられていますし、ICTも今後の運用も考慮した提案でした」(根岸様)。プロジェクトチームと社員の投票により、UCHIDA がパートナーに選ばれました。
自席にしばられない働き方の実践にあたってのポイントの1つはペーパーレスの推進です。「私が所属する工事の部門ではペーパーレス化がすでに完了していましたが、まだだった部署は今回のリニューアルが取り組みを始める良いきっかけになりました。打ち合わせができる各所にモニターを設置したことで、さらにペーパーレス化が加速したと思います」と岩澤様。とはいえ、業務の関係上、仕様書など紙ベースのものも少なくはありません。「これまでは同じものがあちこちにありましたが、それが資料とともにライブラリーに集約できたのも良かったですね。以前は他部署に収納されている資料を見る際は断りが必要でしたが、今は好きな時にライブラリーに行って見ることができます」と、根岸様もペーパーレス化に伴う業務効率アップを実感されています。
加えて、内装に国産木材を用いたことで、カーボンニュートラルの意識づけにもなっているようです。
新オフィスが稼働して以降、「つながり」を感じるシーンは増えています。「以前は他部署の人に相談したくても所属外の島には行きづらさがありましたが、今は隣の席が空いていれば気軽に座って話せますし、一緒にコミュニケーションパークやコワーキングラウンジに移動して打ち合わせすることも可能。相談したい時にすぐに行動できるので仕事の効率もアップしているように思います」と岩澤様。今回のリニューアルが必要なコミュニケーションの醸成への証しにもなっています。
根岸様は「ここはこういう使い方をする、といった型にはめ過ぎなかったことが良かった」と語られます。可動式の什器を多用したことで、コミュニケーションパークもコワーキングラウンジ&ライブラリースタジオも使い方が自在。広いテーブルに広げた大判の紙図面とモニターの3D 映像を見比べながら行った根岸様主催の研修もとても好評だったそうです。「うれしいのは多くの人がそんな様子を興味深く見ていること。みんな、あそこをどう使おうかといろいろ考えている感じなので、これから機能や仕掛けをフル活用したおもしろい使い方が生まれるのではないかと期待しています」と、おふたりとも、コミュニケーションの向上を感じていらっしゃるご様子です。多様なコミュニケーションやチームワークの場、集中を高めるスペース、臨場感を持ってつながれるハイブリッド会議、立地と高層階ならではの眺望を生かしたリフレッシュスペースなど、多様な要素を詰め込んだオフィス。その完成によって、「今日はあそこで打ち合わせがしたいから会社に行く」など、明確な目的を持って働く場を選択できるようになったことが大きな収穫だとお話しくださいました。
さまざまな世代が働くオフィスで、しかも他拠点の現場から足を運ぶ社員もいるのでプロジェクトチームとして「行き過ぎない」ことに気を配っていました。内田洋行さんのプランはそのあたりの調整も絶妙でした。木材やグリーン、眺望を楽しめる席など、以前にはなかった癒し空間の効果も高く、心地よく働ける環境が実現できたとうれしく思っています。
日比谷総合設備株式会社
都市設備本部 サポートセンター 主任 岩澤 様(左)
私は、コアメンバーの1人として、ICTツール関連を担当しました。予算などの制約で最終的にプレゼン時よりグレードダウンしたところもありますが、全体像や今後の展開も考えて再提案してくださるなど、とても良い対応でした。中でも情報共有が簡単にできる ClickShare はオススメ。会議前後の準備や片付けが簡単になったと好評です。
日比谷総合設備株式会社
エンジニアリングサービス統括本部 管理部BIM 推進室 主任 根岸 様(右)
今回のプロジェクトでは、施主様でもある日比谷総合設備様と、PM をご担当くださったNTTファリシテーズ様はじめ、たくさんのNTTグループの方々のご協力をいただきました。そして、UCHIDA も持てる力を結集して懸命にご支援をさせていただくことができました。 今後も日比谷総合設備様のオフィス環境の構築をサポートさせていただく予定です。引き続き、よろしくお願いいたします。
株式会社内田洋行
オフィスエンタープライズ事業部 出口 裕二(左)
RFPの段階から、ICTを活用した働き方の変化に対応出来るオフィスを目指すこと、を全面的に押し出されており、プロジェクト参加の際に非常に緊張したのをよく覚えております。ICT設備設計のお打合せや実機でのご検証など、プロジェクト全体を通して皆様との議論や熱心な姿勢から、大変多くを学ばせていただきました。これからも日比谷総合設備様の先進的な働き方のサポートができればと思っております。
株式会社内田洋行
エンタープライズエンジニアリング事業部 松岡 皓平(右)
コミュニケーションの活性化という普遍的な課題にデザインとICTの両面からがっぷり四つで取り組んだプロジェクトとなりました。デザインの面からは、人や情報が交わる場所をジャンクション(=結節点)として明確に作っていくことで、使う人が用途に合わせて空間を使い分けやすくなるように心掛けました。コンペで選定いただきプロジェクトが始まってからは、PM のNTTファシリティーズ様との連携のもとプロジェクトメンバーの方々の熱意に負けまいと何とか完成までこぎつけることができました。今後、あの空間を使い倒していただき、日比谷総合設備様の中でどのような繋がりが生まれていくのか、楽しみにしております。
パワープレイス株式会社
オフィスデザインセンター デザイナー 近藤 怜
日本電信電話公社の事業遂行への全面協力を目的に、1966 年に創立された日比谷総合設備株式会社様。以来、空気調和設備、給排水衛生設備、電気設備、情報通信設備の4分野を業務の核に、NTTグループの設備関連業務で培った品質、信頼のもと、総合エンジニアリングサービス企業として設備業界をリードしています。近年ではアライアンスを活用した省エネ・CO2削減といった、脱炭素社会の実現に向けた事業展開、さらにグリーンエンジニアリング企業を目指した取り組みも推進されています。
日比谷総合設備株式会社 企業サイト※記事内容や役職等は取材当時のものです。(2024年7月取材)