株式会社アイシン 様オフィス新設 事例紹介

新工場で新しい自分たちの価値を創り出すために、ABWの導入でコミュニケーションを活性化して「人のチカラを最大限引き出す」オフィスを実現

第38回日経ニューオフィス賞「中部ニューオフィス推進賞」受賞

業種:
輸送用機器
入居人数:
約120名
面積:
オフィス:約850 ㎡
食堂:約580 ㎡

株式会社アイシン様が、操業60年超と老朽化した安城工場を交通・物流の面で利便性が高い工場団地に新築移転し、生産性・職場環境の向上をめざす計画を立てられたのは2019年。2020年度初頭にはワーキンググループを発足し活動をスタートされました。当初、急ピッチで建設がスタートする予定でしたが、コロナ禍の影響で足踏み状態に。その間に、コロナ禍によって大きく変化した価値観や働き方などを踏まえてさらに議論を重ね、2024年5月に移転開設完了という長期的なプロジェクトとなりました。
建屋は3層で、1階に生産ライン、2階はロッカー、休憩室など、3階にショールームとオフィス、食堂を集結した配置です。内田洋行はオフィスと食堂の空間設計および什器、ICTの提案・調達を担当。ワーキンググループの皆様の思いを具現化するために、しっかり伴走させていただきました。

お客様の課題

  • 主体的に行動ができるオフィスにして、コミュニケーションを活性化したい。
  • すぐに集まって打ち合わせができる場所を設けたい。
  • 緊張を解いてリラックスできる場もほしい。

UCHIDAの支援

  • フリーアドレス・ABWの導入をサポートし、その効果を発揮する空間を構築。
  • 立ち話やクイックミーティングから、しっかり議論ができる場まで、多様な打ち合わせスペースを要所に設置。
  • 執務室とは異なるテイストのリラックスエリア、多用途に使える食堂を実現。

ポイント紹介

ワーキンググループ発足からわずか1週間で新工場オフィスのテーマを決定。
その基軸があったから、ぶれることなく長期間プロジェクトをやり遂げられた

安城工場の移転が決定した際、当時の工場長が語られたのは「新しい工場のオフィスは、これからの時代を担う若い人たちにつくってほしい」という思いでした。そこで、各部門から若手を募り、「工場の移転に関われる経験は一生にそうそうないこと。他部署の人と一緒に取り組むいい機会だとも思って」と、自ら手を挙げられた佐部利嘉人様をリーダーとした6名のワーキンググループが結成されました。

メンバーが最初に取り組んだのは「新オフィスのありたい姿」の検討。会社や社会を取り巻く環境を踏まえ、新工場で自分たちが目指すべきことは何か、そのためにオフィスには何が必要かを突き詰めて考え、「人の力を最大限引き出すオフィス」という新工場オフィスのテーマを導き出されました。実はこのコンセプトが生まれたのは、ワーキンググループ発足からわずか1週間後。「それだけ濃い1週間でした。この早い段階で、かっちりテーマを確定できたので、軸がぶれずに最後まで方針を通せたと思います」と佐部利様。メンバーの壁谷ひとみ様も「最初は、ドラマみたいなおしゃれなオフィスがいいといった夢をみていましたが、テーマが決まったことで見た目だけではなく、自分たちが仕事をするための機能として必要なものは何かという観点で考えることができるようになりました」と語られます。

その後、コロナの感染拡大で建設が延期になりましたがワーキンググループはその間に詳細を詰め、精度をさらにアップ。緊急事態宣言を受けて在宅勤務やオンラインミーティングが一般的になったことが、当初から目指していたフリーアドレスによるABWの働き方へシフトする後押しにもなりました。「各島に固定電話が絶対に必要というのがフリーアドレス化を阻む最大かつ最後までのネックでしたが、teams導入で各自が電話番号を持つようになったことから自然にクリアになりました」(壁谷様)。

BIMの積極的な活用により、設計空間を3Dイメージで確認するとともに、
什器の配置、色使いや照明のシミュレーションを行って、最適なオフィスを追求

プロジェクトの再開後、オフィス構築のパートナーに選んでいただいた内田洋行は、ワーキンググループの皆様がつくり上げた新オフィスのイメージの具現化に努めました。オフィスの中央エリアに複合機などを集約した、人が自然に集まるマグネットスポットを設け、それに面してミーティングスペースを設置。フリーアドレスを実現した執務室のデスクエリアは、ふとした時に視線が合いやすいように、デスクを縦横交互に配置したうえで、要所にすぐに集まって打ち合わせができるミーティングスペースも確保しました。さらに、気分を変えてワークやミーティングができるリラックスエリアも構築。こうして、コミュニケーションの活性化をすすめる一方で、壁面に沿ってアイシン様内製の集中ブースを設置して没頭できる場を設けるなど、業務に合わせて場所を選ぶことで生産性を向上できるオフィスを実現しました。

こうした検討の際に活用したのが、DX化を推進されているアイシン様の意向を受けての建設・建築用モデリング「BIM」です。内田洋行は工場の設計建築を行ったアイシン開発株式会社様と連携し、建物の図面にさまざまなモジュールを組み込んでPC上で3Dのシミュレーションを実施。執務室内の中央エリアとデスクエリアで照明の輝度を変えるといったアイデアをBIMでリアルに再現することで、そのイメージや効果を全員に共有しながら進めることができました。「リアルな3D化によって、この幅はもう少し広いほうがいいね、や、この什器がここにあると狭く感じるね、など、事前に検討できてすごくよかったです」と壁谷様。佐部利様も「BIMデータとVRの組み合わせで実際に歩いて見える景色が再現できたのでイメージが湧きましたし、上層部への説明時にも説得力が増しました」とBIM採用を評価されています。

レイアウトで昼食時の混雑動線を解消するとともに、
現場と管理部門をつなぐコミュニケーションの場として、
食事以外にも活用できる多機能な食堂を実現

旧食堂の課題は、動線が混雑して、充実した休憩時間を提供できないことでした。これに対し、各配膳口を通路に対して斜めに設置し上部にサイネージでメニューを示すことで、入口からの視認性をアップ。さらに縦横のわかりやすい通路設計を行い、一方通行を推奨することによって、スムーズな配膳・下膳を可能にしました。また、ソロ、ペア、グループのそれぞれで、ゆっくり食事できる時、時間がない時というように人数や滞在時間に合わせて場所が選べるゾーニングを実施。外の景色を見ながら過ごせるハイカウンター席や互いの顔を見ながら食事や会話がしやすいテーブル席、囲われ感があって落ち着くファミレス席など、多様な席を用意して、思い思いのスタイルで充実した休憩時間が過ごせる場となっています。

インテリアは、北欧的な設えで「日本のデンマーク」と呼ばれる安城市らしさを表現。壁面にはデンマークの街並みや、安城七夕まつりをモチーフにした装飾も配しています。また、旧工場の解体時に開催したお絵描きイベントで子どもたちが描いた絵や、新工場お披露目会でつくったブロック玩具の作品も取り入れ、家族や地域とのつながり、過去と未来への流れも感じられる場になっています。

食堂は、昼食時以外は、ワークやミーティングにも使用されており、全体会議やイベント時の会場としても重宝しています。また、災害時には近隣住民の方も受け入れての防災拠点として活用することも見据えており、ベッドにもなる大きなベンチ席などに防災備蓄品を収納。平時にはテレビや社内情報の伝達に用いるサイネージで、最新の災害情報を入手することもできます。

将来の増産、事業拡大に向けて拡張エリアも確保している安城工場。工場の成長が地域の発展につながるということが、社員の方々のモチベーションにつながっているようにお見受けしました。

第38回日経ニューオフィス賞「中部ニューオフィス推進賞」受賞

受賞オフィス紹介「アイシン 安城工場」

ご担当者様の声

ご担当者様の声

さまざまな他社の事例を直に見て関係者のご意見を伺うということがコロナ禍で叶わなかった中、内田洋行さんの豊富な実績に裏付けされた提案やアドバイス、また働き方改革、空間デザイン、什器、ICTに至るまでのトータルな支援が、とても心強かったです。何を相談してもレスポンス早く、期待以上の内容を返していただけたおかげで、思い描いていたオフィスが実現できました。

株式会社アイシン
グループ生産本部 安城工場 品質管理室 グループ長 佐部利 嘉人 様 (右)

旧オフィスでは部署ごとに島で固まっていて、ほかの部署の島に入る度に緊張していました(笑)が、今は渾然一体という感じで、違う部署の人が隣り合って座っていたり、何かちょっとしたことがあると、他部署の人にも「今、ちょっといい?」と声をかけてミーティングをしている姿が日常的になりました。私自身、他の部署の働き方を見て刺激を受けています。

株式会社アイシン
グループ生産本部 安城工場 工場管理室 企画・安全管理グループ 壁谷 ひとみ 様 (左)

担当営業・デザイナーの声

この度のビッグプロジェクトに関わることで、私自身も成長することが出来たと感じています。華美ではなく、機能的で洗練されたデザインのオフィス・食堂は、工場で働く皆様の思いが詰まった素敵な空間になっています。皆様が生き生きと働いておられる姿を拝見し、大変嬉しく思います。日々の改善活動は、空間を更に進化させていこうという気持ちを強く感じるとともに、大変参考になるものばかりです。今後もアイシン様のプロジェクトに関わることができますことを願っております。

株式会社内田洋行
オフィスエンタープライズ事業部 長木 正幸

私がアイシン様を初めて担当させていただいたのは、刈谷にある建物の一角のリニューアルでした。そこから西尾工場の食堂リニューアルや厚生棟新築等を経て、遂には新たに土地を購入されての新築移転である本案件と、回を重ねるごとに関係性が深まっていることをとてもうれしく思っています。また、前回の西尾工場でも用いたBIMの活用範囲をさらに広げられたことも良い経験となりました。このオフィス、食堂、工場で、人のチカラを最大限に引き出されることで、アイシン様がますます発展されることを願っています。

パワープレイス株式会社
西日本デザインセンター 大阪デザイン部 室長 飯倉 健自

お客様について

株式会社アイシン

1965年の創立以来、自動車システムのグローバルサプライヤーとして成長されているアイシン様ですが、安城工場はガスヒートポンプ(GHP)や家庭用燃料電池(エネファーム)といった、エネルギー関連の製造を行う、特徴のある工場です。年間の見学者が1200人を超えることもあり、「見(魅)せる工場」として、建物にもさまざまな工夫が施されました。室内温度上昇を抑制する遮熱シートや画像センサーを用いた照明制御システムなど、CO2削減の新アイテムも導入し、カーボンニュートラル実現にも大きく貢献。今後も環境・社会問題の解決に向けた技術開発、製品製造に注力されます。

株式会社アイシン 企業サイト

※記事内容や役職等は取材当時のものです。(2025年7月取材)

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