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リポート~変革の現場から

リポート~変革の現場からChange Working Forum 2017 セミナーレポート

内田洋行が2010年から毎年開催している働き方変革をテーマにしたイベント「Change Working Forum 2017」より、パネルディスカッション「再考、あらためて生産性を考える」に関するセミナーレポートです。
働き方変革や風土変革、新しい企業理念の浸透においては、社員の理解と共感を熟成して、全員を巻き込んでいかなければうまく進みません。このパネルディスカッションでは、まさに現場の最前線でプロジェクトを推進されている3人の方にご登壇いただき、いかにして社員の参画を得てムーブメントを起こされたのか、それぞれのご体験を語っていただきました。

パネラー&モデレーター

  • パネラー宮地 加根子
    ウシオ電機株式会社
    法務部
  • パネラー廣兼 一真
    株式会社JERA
    グローバル推進室
  • パネラー山本 健太郎
    株式会社NTTデータウェーブ
    システム開発事業部
  • モデレーター平山 信彦
    株式会社内田洋行 執行役員
    知的生産性研究所 所長

働き方変革で強まった仲間意識が業務のコラボにも影響

平山
働き方変革でも、ビジョンの創出や浸透でも、どのように社員全員 が自分ごととして取り組んでいくかが推進のポイントになると思います。最初に、「これはうまくいきそうだ」と いう手応えを感じた部分を教えてください。
山本
「Vision 推進活動」という枠組みができたこと自体にも手応えを感じましたが、大きかったのは ビジョンの発表後、社員にアンケート調査をしたときです。7割以上の回答があり、さらに「ビジョンを実現する ためにどんな行動をしてみたいか」という自由記述の問いにも多くの社員が 記入してくれた。そのときに、ビジョンを示したことがきっかけとなって、社員の考え方が変わってきていることを実感しました。
平山
私たちは、NTTデータウェーブさんのプロジェクトについては途中 からお手伝いに入らせていただいたのですが、その時点ですでにボトムアップで素晴らしいビジョンをつくられていました。それをトップのオーソライズをしっかり取って進められていることに大変驚いたのですが、どのようになさったのですか?
山本
ビジョンをつくりたいという有志が集まったとき、まずは経営企画部 を通して経営層にスタートのOKをもらいました。その後も、途中経過を報 告しつつ、今こんなところで悩んでいます、アイデアをください、とトップ も巻き込んで進めました。結果、最終的にできたビジョンに対しても理解を 得ることができたと思います。
平山
プロジェクトにとって、ものすごくいい応援団となるインフルエン サーの役割を経営層の方が担ってくださったということですね。
廣兼
私は、新しい企業理念を会社の個人のパソコンの壁紙にしている人が複数出てきたことに驚 きました。小さな一歩ですが、そこまで共感してくれる人がいて、やってよかったと思いました。大きな動きで は、会社のシステムに企業理念が組み込まれ始めたという点です。たとえば人事部が行っている1年の目標評価に も、「あなたの行動は企業理念の何に紐づいていますか?」「私は企業理念のこの項目の実現に貢献できました」 というように使われています。
平山
企業理念浸透のために行われた「グローバルカフェ」は社員の方々の評判がとてもよかったですが、何が参 加者の共感を生んだと思われますか?
廣兼
アンケートの自由記述の中で最も多かったのは、経営層の思いを理解できたというコメントでした。経営層が企業理念について熱く語る姿を生で 見る機会が今まではほとんどありませんでしたから、そのこと自体に変化を 感じてもらえたのだと思います。小さなことでも共感を得るにはとても大事なんだとよくわかりました。
宮地
私が手応えを感じたのは、ディスカッションをする土台ができたことです。それまでは物事 が年功序列や前例で決まることが多かったのですが、今では新しいことに挑戦する際は、経験や役職を問わず集 まってディスカッションをすることが当たり前の風景になってきました。もう一つはセクショナリズムが小さく なってきたということです。かつては仕事を依頼したくても部署が違うと上司を通さないといけないという雰囲気 がありました。それが今では、担当者ベースでできるようになりました。
平山
その要因はどこにあったとお考えですか?
宮地
移転前は3フロアに分かれていた執務室が、ワンフロアのフリーアド レスになったことで距離が近くなりました。また、働き方変革をやろうとい う仲間意識がすごく高くなっているので、それに付随して業務も一緒にがん ばろうという気持ちになっているのではないかと感じています。

社歴が長い人ほど抜け出しにくい社員の温度感への戸惑い

平山
次に、これは難しかった、今でも苦労しているといったところをお聞きしたいのですが。
山本
手前味噌ですが、良いビジョンができて、みんなの共感も得られました。なので、これを目標に一気に社員の行動が変わるだろう、変革が加速す るだろう、と思っていたんですけど、その考えはやはり甘くて……。気持ちが変わっても行動まで変えるのはなか なか大変なことだと実感しています。行動を変えるための仕掛けづくりが次の大きな課題だと思います。
平山
自ら積極的に参画していこうというレベルの共感醸成は本当に難しい ですね。プロジェクトメンバーの思いの濃さをどう周りに伝えていくか。頭 で理解していても、本当に腹落ちしていなければ人は動きませんから。
山本
まさにその通りだと思います。濃い人間に対して、あまりの濃さに「つ いていけない!」と感じてしまう人も結構いるんですよね。温度感の違いが 見えない壁になる。たとえば、冷めた人の熱量を上げようと仕掛けると、 物足りないと感じる人が出る。逆に熱い人たち向けの活動をしていると、 ちょっと入り込めないね、という人も出てきました。そこで、その人の共感 度や認知度に合わせたアクションを意識して行うようにしました。温度感に 合わせて伝えることで、満遍なく全体的に共感のレベルが上がっていくのではないかと思います。
平山
温度感別の対応が、とても大事なポイントということですね。
廣兼
当社の場合はM&Aプロセス中という特殊な状況のため、新たな部門 の統合により企業理念に触れたことがない人がどんどん入ってくるという点が、認識している課題としていちばん大きなことです。
平山
二つの文化をどう融合し一体化していくかですね。私たちはPMI (Post Merger Integration)の場合、1+1が2になる、あるいはどちらが 勝つか負けるかではなく全く新しいものを共通の目標として両者が歩み寄る ことによってインテグレーションをしていくことが成功の秘訣だと考えてい ますが、JERAさんはまさにそれを実践されています。しかし、それに対 して、「とは言っても……」という抵抗感を持つ人はいませんでしたか?
廣兼
前の会社の社歴が長い人ほどそこから抜けにくいというのは実際に感じているところです。 20代、30代のほうが、新しいゴールに向かって進んでいこうという気持ちが強いと認識しています。
平山
ベテランに影響を与えるぐらいの元気な風土を若い世代の方々がどのようにつくっていくかがポイントですね。
宮地
私たちでも、これまで働きかけが弱かったミドルマネジメント層とい かに相互理解をしていくかが課題になっています。会社を動かす本丸とも いえるミドルマネジメント層としっかり協業できるようになってこそ、こんな働き方変革ができましたと胸を張って言えると思っています。
平山
ウシオ電機さんの取り組みで印象的だったのは、各分科会に事業部長 クラスの方が参加されていることです。その方々がインフルエンサーとしてものすごい影響力を持って活動されていますよね。
宮地
分科会発足時は若手中心で議論をしていたのですが、施策を実行す るのは社内で誰の了解を取って進めればいいのかということが壁になってし まいました。それを打開しようと、途中からアドバイザーとして事業部長に 入ってもらうことにしました。施策に至ったプロセスもすべて見てくれてい るので承認も得られやすいですし、アドバイザーとなった執行役員が自分で 動いていろいろなところに根回しをしてくれることもあります。こうした行 動に分科会のメンバーも励まされ、またがんばろうという気になっています。

ミッションの裏側にある大きな使命をストーリーで共有

平山
皆さん、アーリーアダプターをしっかり巻き込みながらプロジェクト を遂行されています。共感醸成、つまり社員の理解や共感をつくるために工夫された点を教えてください。
廣兼
ミッション、ビジョン、バリューをつくって浸透させていく最初の段階 で、運河をつくっている労働者を主人公にした物語をつくって伝えました。 労働者に、どんな仕事をしているのかを聞くと、ある人は石を積んでいると 言い、ある人は運河をつくっていると言い、ある人は運河の下流にいる人た ちを運搬で幸せにするために運河をつくっていると言う。自分たちの行動の 裏にどんなミッションがあるかというのを物語でわかりやすくしたということです。
平山
ストーリーにして伝えるのは、考えるきっかけづくりにとてもよい手法ですね。
山本
共感、納得を醸成するには、『なぜそうなったのか?』という点を共有 することが重要だと思っています。きれいにまとまったアウトプットだけで はなく、私たちが悩んでいる状況も含めて見えるように活動しました。たと えば、作成中の資料、ラフ紙などを共有のサーバに上げるなど。それで腹落 ち感が生まれたと思います。また、会議の際にはフリースペースや会議室の ドアをオープンにして議論するなど、興味があればいつでも参加してほしいということを態度でも示しました。
平山
経営理念、企業理念はクローズされたところでつくられ、いきなりリ リースされることもありますが、逆ですね。これはポイントだなと改めて私 も気づきました。これからの経営では透明性が求められる。オープン・ザ・ ドア ポリシーはものすごく重要だと思います。
宮地
先ほども少し触れましたが、私どもでは施策実行をするための分科会 を4つつくっています。分科会は若手中心で50人ほどいて、そのメンバーが アーリーアダプターという位置づけとなり、結果、全社員の2割程度が働き 方変革に本気になっていると言えます。その上で、働き方変革の理解者を もっと増やそう、巻き込み力を増やしていこうという目的で、半期ごとにメ ンバーの入れ替えをしています。ただ、メンバーが変わると、新メンバー の合意形成を再びしなければならないという戻りが発生している。その点が課題として残っています。

考えることをブレーキにせず、まずは行動を。悪ければ修正すればいい

平山
プロジェクトの推進に合わせて、新たな課題が出てきますね。それ も踏まえて、PMOとして今後取り組んでいきたいことを教えてください。 宮地 分科会メンバーのモチベーションの維持にフォーカスしたいと思って います。そのための施策として、業務評価の目標設定のテーマに働き方変革 活動を入れてもいいということにしました。それによって各自のモチベー ションもアップしますし、評価をつけることで結果のフィードバックもあ る。これがいい循環になって進んでいけたらと思っています。
宮地
分科会メンバーのモチベーションの維持にフォーカスしたいと思っています。そのための施策として、業務評価の目標設定のテーマに働き方変革活動を入れてもいいということにしました。それによって各自のモチベーションもアップしますし、評価をつけることで結果のフィードバックもある。これがいい循環になって進んでいけたらと思っています。
廣兼
すべてを常に事務局がやらなくてはいけないという状況から脱却した いと考えています。アーリーアダプターの人たちにも、たとえばイベント など、いいなと思ったことをどんどん取り入れて自発的に行ってほしい。さ らに、喫緊の課題と思っているのがレコグニションのしくみづくりです。企 業理念が実現したところでなんら報われないという環境ではインセンティブ は働かないでしょう。そこで、理念を実現した仕事に対してはなんらかの形 できちんと表彰する取り組みを考えているところです。
山本
やりたいことはいろいろありますが、まずは行動することだと考えて います。頭で考えるのも大事ですが、考えることがブレーキになってはいけ ない。とにかく行動して、ダメだったら修正しながら進むというスタイルで どんどんドライブしていきたいなと思います。

PMOに特別な技能はいらない。必要なのは「変えよう」という思いのみ

平山
最後に、働き方変革に取り組んでいる方、これから取り組もうとお考 えの方に、メッセージをお願いします。山本 ビジョンをつくるという初めて の体験で、右往左往し、つくってはダメ、を繰り返しました。でも、だから こそ愛着があり、自信を持ってみんなと共有できるものができたと思ってい ます。皆さんも悩んだり、モヤモヤしたりすることもあると思います。そう いうときこそ、本気になって、腹を割って議論していただきたいと思います。
山本
ビジョンをつくるという初めての体験で、右往左往し、つくってはダメ、を繰り返しました。でも、だからこそ愛着があり、自信を持ってみんなと共有できるものができたと思っています。皆さんも悩んだり、モヤモヤしたりすることもあると思います。そういうときこそ、本気になって、腹を割って議論していただきたいと思います。
廣兼
事務局が嫌々やっていたのでは、誰もついてきません。だから楽し んでやっていますという雰囲気、姿勢はちゃんと見せることが必要だと思い ます。ただ、自分たちが熱すぎると近づきがたい空気になって、流行り言葉 で言えば意識高い系に見られてしまう。温度感を探りながら、楽しいけれ ど大変なんですよ、力を貸してくださいと人を巻き込む雰囲気をつくっていくのも大切だと思っています。
宮地
皆さんにお伝えしたいことは、働き方変革に特別な技能は必要ないと いうことです。私は肩書きもないですし、家に帰れば二人の男の子の母親で す。それでもこんな舞台に立たせていただけました。これが、まさしく何も 必要ないということの証しです。また、意識変革の可能性は無限だという こと。変化を身近に見られることがPMOの醍醐味だと思っています。しかも、リスクはほとんどない活動です。 PMOをやってみたいなと思っている方は、ぜひ一歩踏み出してやっていただければと思います。
平山
短い時間でしたが、現場感、シズル感あふれる、リアルな実態をお聞 かせいただきありがとうございました。本日のお話がヒントになって、今後、取り組まれているプロジェクトの 推進力の一つになれば大変嬉しく思います。

事例1 ウシオ電機株式会社様 働き方変革の推進

プロジェクトの発足背景
入居ビルの取り壊し計画を受け、本社移転が決定 単なるオフィス移転ではなく、ワークスタイルそのものを変革し、 移転オフィスはそれを実現する場として準備する
チェンジドライバー
➀既存製品・市場が成熟している今、既存事業の競争力・基盤の 強化とともに、新技術・新事業を開発・開拓し、将来の事業の 柱として成長させなければならない
➁新事業を創出する(世界に通用する)イノベーティブな組織に するためには、新しいことにチャレンジし、一人ひとりが能力 を発揮できる組織風土をつくらなければならない
働き方変革の推移

プロジェクトのポイント

  • 戦略マップに対するアイデアの追加を行うエバンジェリストセッションを実施。結果、プロジェクトメンバーから出ていた約1,000のアイデアに700のアイデアを追記
  • 取り組みテーマごとに分科会を発足。移転前は7つの分科会を設置。移転後はテーマを絞って集約し4分科会に。各分科会には事業部長クラスも参加
  • タイミングごとに働き方変革に関する意識調査(KPI)を実施

事例2 株式会社JERA様 新しい企業理念の浸透

プロジェクトの発足背景
2015 年に東京電力と中部電力が50:50 の出資をし合って設立し たジョイントベンチャー統合プロセスは、効果が高くかつ進めや すいところから段階的に進行中
チェンジドライバー
➀両電力会社が持っていたマインド、企業文化とはまったく別の 企業理念をつくることを設立時点から目指していた
➁海外との結びつきが強い部門が統合されていることから、グロー バルに戦っていける会社になることが必要
企業理念浸透のステップ
Why →なぜ企業理念が必要か? 経営層より「DNA セッション」を実施
企業理念は全社戦略の上位概念であることを説明 What→企業理念実現のために何を行うべきか? JERA Global Session を実施
広く若手~経営幹部が参加し、具体的な打ち手を議論 How →どのように企業理念実現を進めるか? JERA Global Session にて生まれた提案項目の実現
(例:企業理念体現案件の表彰)

プロジェクトのポイント

  • 戦略マップに対するアイデアの追加を行うエバンジェリストセッションを実施。結果、プロジェクトメンバーから出ていた約1,000のアイデアに700のアイデアを追記
  • 取り組みテーマごとに分科会を発足。移転前は7つの分科会を設置。移転後はテーマを絞って集約し4分科会に。各分科会には事業部長クラスも参加
  • タイミングごとに働き方変革に関する意識調査(KPI)を実施

事例3 株式会社NTTデータウェーブ様 ビジョンの策定と実現に向けた取り組み

プロジェクトの発足背景
創業から13 年を迎え、売上の伸び悩み、外販拡大のリソース不足、 経営と現場の距離感、取引先からの声、先行きへの不安感など、 さまざまな課題が山積み
チェンジドライバー
➀経営からのトップダウンだけでは課題を自分ごととして捉える ことが難しく「やらされ仕事」になりがち
➁与えられる仕事・課題をこなしていくことももちろん重要。た だ、それだけではなく、自分たちの未来を自ら考え、仕事を通 して充実した幸せな毎日を過ごすために、「我々が10 年後にあ りたい姿」=「Vision2025」を宣言することにした
ビジョン策定の推移

プロジェクトのポイント

  • ボトムアップでの変革。自分たちが10年後どうありたいかをビジョンとして描くプロジェクト
  • 部署の異なる20代~ 30代の有志23人が中心になって活動
  • 共感、納得を醸成するために、「なぜそうなったのか?」という点の共有を重視し、検討途中の資料を共通サーバに上げる、会議室のドアは閉めないなど、オープン・ザ・ドア ポリシーで活動
  • 役職を問わず、社長も参加してのワークショップを実施
  • 経営企画部のサポートを受け、経営層にも進行状況を報告しながら遂行
  • ビジョン策定後、実現に向けた取り組みに行き詰まり感が生じてきたが、2年先のワークシーンを定義し、施策を実施する方向で活動を再加速

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