[セミナーレポート] 第124回 オフィス移転セミナー「これからの働き方ってなんだろう」

7月12日、第124回オフィス移転セミナーを開催いたしました。昨今のオフィス移転に関連するトレンドや課題について、三鬼商事株式会社・鯉川様、ヤマト インターナショナル株式会社・伊勢様、パワープレイス株式会社・山室様をお招きし、ご講演いただきました。セミナー終了後は、弊社の新川第2オフィスを見学する「働き方変革」実践体感ツアーもご好評をいただきました。

【Program1】知っておきたい賃貸オフィス市場の動向 ~ダイナミックに変化を遂げてきたオフィスの展望~

三鬼商事株式会社
常務取締役 鯉川英一 様

はじめに、不動産仲介大手の三鬼商事株式会社 常務取締役の鯉川英一さんより、賃貸オフィス市場の動向についてご講演いただきました。東京ビジネス地区(5区)の賃貸オフィスマーケットの最新動向、および新築ビルに移った企業の後に別の企業が移転する2次空室、3次空室の近況などご説明されました。

【Program2】70th Yamato “Change!” Project

創業70周年に向けて、若手社員を中心にチェンジプロジェクトを実施

ヤマト インターナショナル株式会社
経営戦略課 マネジャー 伊勢美朝子 様

今回、スペシャルイベントとして、クロコダイルなどでおなじみのアパレルメーカー、ヤマト インターナショナル株式会社の経営戦略課マネジャーの伊勢美朝子さんにご講演をいただきました。
同社が、「これからの働き方ってなんだろう」というテーマを考え始めたのは約4年前の2013年のこと。社長の「若手とコミュニケーションが取れる仕組みを作ってほしい」という依頼がスタートでした。実は当時、20代の若手社員の退社が連鎖反応のように立て続けに起こるという危険な状況だったと言います。
そこで実施したのが「10年後の会社はどうなっていたいか」をテーマにした、若手中心のプレゼン大会です。優勝チームは、(10年後よりも近い)70周年を迎える2017年に自分たちが戦えるチームであるためには、企業戦略とよりよい人材確保、社員のモチベーションアップが必要という観点からアンケート調査を実施。ダサイ!古い!知名度がない!と散々な意見ばかりだった企業イメージからの脱却、ただ食べるだけの場所となっている社員食堂の有効活用など、さまざまな改善点が浮き彫りとなりました。
「このプレゼンで出された人事評価、企業イメージ、社内環境の改善が、その後のチェンジプロジェクトの軸になりました」と伊勢さん。 大会後には、優勝チームを中心とした70周年の『チェンジ プロジェクト』を発足し、人材とESとチェンジ・ワーキングという3つの社内改善チームによって現状制度の改善、新たな制度の導入、オフィスの改装、ワークススタイルの変革を推進していきました。

まずは、自分たちでできる身の回りの断捨離を推進

まずは「予算がなくてもできる身の回りのことからはじめよう」と2014年の年末に「レッツ断捨離~身を美しくキャンペーン」と題した大掃除を実行。個人の荷物を半分に減らすことを目標に掲げるとともに、個々のゴミ箱を廃止して集中ゴミ箱を導入し、美観とともに偶発的なコミュニケーションの創出も狙いました。このキャンペーンは翌年も継続し、2016年の東京オフィス改装の前には、ほとんどの社員の個人の持ち物は段ボール箱1つに納まるまでになったと言います。
この成功について伊勢さんは、「ポップな名前をつけることで大掃除という面倒な作業のハードルを下げたこと、会社が昔から大事にしている『躾』に交わる言葉を副題に使用したことで、会社として取り組んでいるプロジェクトだとアピールできた」点を秘訣として挙げられました。

オフィスの移転・改装を終え、今後の成長のためのスタート地点に立てた

オフィスの移転は、まず大阪本社で実施。2016年8月に4つのビルに分散していた部署を、創業の地である物流倉庫の一部に集約し、課題となっていたコミュニケーションの欠如、効率性の低さを改善。東京本社は2017年5月末に改装が完了しました。
「移転・改装にあたっては、内田洋行のサポートを受けて、戦略マップを作成しました。会社が求めていること、自分たちのやりたいことを視覚的に整理したことで、今後の活動の道筋ができました。それによって導き出したコミュニケーション、コンパクト、コンフォートという3つのチェンジコンセプトはオフィス改革のコンセプトにもつながりました」(伊勢さん)
オフィスの移転・改装とともに、育児・介護休業制度の延長や拡充、出勤時間選択制やプラス1ホリデーキャンペーンの導入など、数々のチェンジにチャレンジしたヤマト インターナショナル様。70周年に向け、「セイルフォーチェンジ〜新しい価値を新しいつながり方で」という企業理念と新しいCIも確立されました。
「オフィスの改装はさまざまなワークスタイル変革を進めていく中の1つと捉えています。東西のリニューアルが終わり、当社がこれから成長するための準備がやっと整い、スタート地点に立ったと実感しています」と、大阪と東京という2つのオフィス改革を終わられた伊勢さんは語ります。
「これからの働き方って何だろうについて、企業が成長していくために社員ひとり一人が自分ごととして何ができるかをみんなで考えていくことなのではないかと考えています。私たちはプロジェクトを通して経営層からの要望を叶えるだけではなく、そこに社員の声を少しでも取り入れて参画意識を持ってもらうこと、そして変革の必要性、意味を理解してくれる社員を増やして会社全体で考えていくことを大切にしてきました。そうすることで、社員が自信と誇りを持って働ける環境が実現するのではないかと思っています」(伊勢さん)
移転・改装の先延ばし、個人ゴミ箱・袖机廃止への抵抗など、さまざまな壁をプロジェクトリーダーとして強い意思で乗り越えられた伊勢さんのお話は、当事者としての実感がこもっており、参考になることがたくさんありました。

【Program3】「変革」を促すオフィス構築手法のご紹介

働き方変革は仕掛け続けることが重要

パワープレイス株式会社
大阪デザイン部 シニアデザイナー 山室光弘

セミナーのプログラム3では、内田洋行グループでデザイン・設計を行っているパワープレイス株式会社の大阪デザイン部シニアデザイナー山室光弘が、働き方変革のオフィスづくりの事例発表を行いました。
同社が変革を促す重要ポイントとして位置づけているのは、以下の3つです。

今回は、このテーマに添って、当社が変革プロジェクトに関わった3つの事例を紹介しました。
「変える」に特化した例として挙げられたのは、当日に講演も行ってくださったヤマト インターナショナル様の大阪本社移転および東京本社リニューアルです。いかに意識・行動を変えていったか、その取り組みについてご紹介し、その結果生まれたオフィスの写真をご覧いただきました。移転初日にヤマト インターナショナルの盤若社長が言われた「今日一日で1年分の社員と会って話をしたよ」という言葉から、満足度の高さが伺えます。
続いて、「伝える」に関連してご紹介したのは、神戸マツダ様の本社リニューアル。プラン作成の依頼をいただいてから3か月で完成をさせるというタイトなスケジュールであったため、まずはリニューアルを断行。開所式にリニューアルのコンセプトを社長のメッセージとして直接社員に伝えるという形式を取った例です。まさにオフィスリニューアルの終わりが会社の働き方変革のはじまりとなったケースです。
そして、最後に「活かす」ための定着・検証の重要性について、内田洋行の自社での取り組みを例にご紹介しました。

「働き方変革」実践体感ツアー

セミナー講演のあとは、内田洋行が2012年から自社実践している「CHANGE WORKING」の現場をツアー形式でご案内しました。

内田洋行は今後も「働き方変革」など経営課題の解決を伴うオフィス移転をテーマとして、皆様のお役に立つセミナーを開催いたします。ぜひご参加ください。

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