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働き方変革とテクノロジー

働き方変革とテクノロジーChange Working Forum 2018 セミナーレポート

内田洋行が2010年から毎年開催している働き方変革をテーマにしたイベント「Change Working Forum 2018」より、パネルディスカッション「働き方変革とテクノロジー」に関するセミナーレポートです。アクセンチュア株式会社の宇佐美潤祐氏、日本アイ・ビー・エム株式会社の石田秀樹氏、日本マイクロソフト株式会社の小柳津篤氏と、グローバルに展開されている企業でテクノロジーを駆使した働き方を推進されている皆様をパネラーにお迎えし、現在、そして未来のテクノロジー技術、それが働き方に与える影響をお話しいただきました。

パネラー&モデレーター

  • パネラー宇佐美 潤祐
    アクセンチュア株式会社
    戦略コンサルティング本部
    人材・組織変革プラクティス統括 マネジング・ディレクター
  • パネラー石田 秀樹
    日本アイ・ビー・工ム株式会社
    IBMサービス グローバルビジネスサービス事業本部 コグニティブ・プロセス・トランスフォーメーション事業 組織人財変革コンサルティングサービスパートナー
  • パネラー小柳津 篤
    日本マイクロソフト株式会社
    マイクロソフトテクノロジーセンター
    エグゼクティブアドバイザー
  • モデレーター平山 信彦
    株式会社内田洋行 執行役員
    知的生産性研究所 所長

テクノロジーは会社に影響を与える大きな外部要因

平山
まず、宇佐美さんにアクセンチュアが取り組んでいる独自の働き方改革「Project PRIDE」についてお聞きします。スタートのきっかけは採用問題だったそうですが、それがワークスタイル、コアバリュー、ビジネスマナーといったところに議論が深まっていった。そのプロセスを教えてください。
宇佐美
発端は採用改革(3 年前にデジタル・シフトのアクセルを踏もうとしている中、当時の働き方では欲しい人材に来てもらえない)だったのですが、要因構造の分析をする中で、これは単に採用の問題だけでなく、本格的に組織風土変革をやらないと変わらないとの結論になりました。アクセンチュアの過去の働き方・カルチャーを全否定するくらいの大きなマグニチュードでしたから、一部経営幹部から反発の声も出ましたが、トップ自らが変わり、本気で改革に挑んでいるということが伝わった、トップのリーダーシップが大きなモメンタムを生む原動力になったと思います。
平山
小柳津さんが説明してくださった「習慣化を経て実現する企業文化」の項目にも「リーダーシップ=トップの覚悟」という言葉がありましたね。
小柳津
そもそも、私が今日、お伝えしたかったのは、マイクロソフトが行っていることは、日本の会社がよくやっている現場の考案改善小集団のような改善活動の延長ではないということです。これは、あくまでも構造改革です。やり方を変えるというのは、ときには仕事をなくすということ。だから、トップが「総務部長よろしく頼んだよ!」というような話では、そもそもないんですね。ですから、社長の決意がしっかりと現れ、それが実行力として見えてこなければ構造を変えることはできないということだと思います。
平山
テクノロジーの側面で、チャットボット、あるいはRPA などのお話がありましたが、アクセンチュアの人事のチャットボット・Randy-san に対する社員の方からの評判はいかがですか?
宇佐美
まだ導入から1年経っていませんが、すごくありがたいですね。必要なデータがどこにあるかわからないというときに、スカイプでRandy-san を呼び出して質問をすると、すぐに欲しいデータを出してくれますから。人事への問い合わせの約半数、年間にして5万5,000時間の仕事をRandy-sanが削減しています。

「こうありたい」という思いがなければ変革は持続しない

平山
石田さんにはIBM Global C-suite Study の内容についてお聞きしたいのですが、「経営層の課題認識の変革」の調査で、自社に最も影響を与える外部要因として、2006年ぐらいからテクノロジーが上位に上がっていますね。
石田
今までのシステムやテクノロジーは、バックオフィス中心に考えられたものです。すると、投資対効果はマイナスからゼロにしかならない。それが、フロントのシステムになるとゼロからプラスになります。システムが日の当たるところ、よりお客様に近くなってきたことで、単なる自動化、効率化のためのツールではなく、フロント業務を担うようになってきたことが一番大きいのではないかと思います。
平山
私がクライアントとディスカッションする中で、課題解決は得意でも、ありたい姿を議論することには慣れていないと感じることがあります。ありたい姿を描くためには、どうすればいいと思いますか。
石田
リスクフリーな環境を整備することが大事だと思います。「なんでもいっていいよ」と。恥ずかしいとか、こんなことをいったらみんなに変な目で見られるかもと思って黙っていたのでは、対案や大胆な施策は出てこないと思います。それを少し紐解く環境が必要でしょう。よく「失敗を恐れずにやれ」といいますが、失敗を失敗で終わらせてはダメで、失敗から何かを学び、次に生かすという一連のサイクルを回すことが不可欠です。そのためには、フィードバックがものすごく重要になってきます。ミドルマネジメント層が、今の事業をやりながらも、将来のために新しい試みをやってもいいよと若手にいえる環境整備、個々のフィードバックするスキルを上げることが、不可欠であると考えます。
 実は、個人的には「こうありたい」という想いがないと持続しないと思っています。何回失敗しても、ダイエットにチャレンジするのは「格好よくなりたい」や「きれいになりたい」など、その人が“なりたい姿” があるからですよね。企業の構造改革でも、自分は、「これをやりたい」ということがあれば、動機づけされるのではないでしょうか。“想い” について社員一人ひとりが考える機会を十分に会社が提供していけば、「働き方改革」の取り組みは、持続性が担保されるのではないでしょうか。

「生き残る」という緊張感ある思いもありたい姿の1つ

平山
小柳津さん、マイクロソフトにとってのありたい姿はどういうものですか
小柳津
マイクロソフト社員のありたい姿の一番身近な感情は、会社が生き残るにはどうすればよいか、自分自身が生き残るにはどうすればよいか。そんな圧倒的な危機意識みたいなものが根強くあるんですね。世の中の人の多くは、マイクロソフトは楽しくもうけていると思っていらっしゃるかと思うのですが、そんなに簡単な話ではないんです。グローバルハイテクは、変化と競争がむちゃくちゃ激しい世界です。なので、生き残りたいというのも、1つのありたい姿として捉えてよいと思います。危機意識は、物事を突き動かす原動力になり得ますからね。
平山
すごくリアリティを感じるお話ですね。しかし、今は業績がよいけれど、3 年後、5 年後はどうかといった不安感は、一般的に経営側が持つものですよね。それを健全な危機感として、社員とどのように共有できているのでしょうか。
小柳津
私はマイクロソフトに 23 年も勤めていますが、ポジションが毎年保証されているわけではありません。危機感よりも緊張感という言葉の方が適切ですね。緊張感の中で仕事をしているベースラインは、おそらく、私が昔いた日本企業より何倍も高いですよ。一方で、仕事のやり方、責任の所在などは、非常に定義づけされていて、選択肢が明らかになっているなど、すごく主体的に物事を考えられる環境、チャレンジできる環境が整っている。ですから緊張感を、どうやってしくみとして持続させるかが、組織マネジメント上の非常に重要なスパイスだと思います。ただし、セーフティネットは必要。それがあってのことです。

働き方変革では、トップのスタンス本気度が試される

平山
構造改革が中途半端になっている企業が多くあります。これはどうしてだと思いますか?
小柳津
いくつか要因がありますが、そもそも、経営者が今日みたいな話を経営革新テーマとして考えるのか、人事部長よろしくみたいに、もっと粒度の細かいタスクとして捉えるかで、全然違いますよね。つまり、BPR か BPO か、生産改革か M&A かと考えるのと同じ粒度感でワークスタイル変革を捉えているかどうかだと思います。
平山
この辺りは、他のパネラーの皆さんはどうお感じですか。
宇佐美
経営トップのスタンスがかなり大きく影響すると思いますね。アクセンチュアの場合も社長がリーダーシップを発揮し人事制度をどんどん変えたり、長時間労働社員のリストを経営会議で俎上に載せるなど、さまざまな形でコミットしました。いかにトップが本気度を伝えるかという点は肝になると感じました。
石田
弊社は、職種も幅広く、IBM 東京基礎研究所(IBM Research-Tokyo)という研究所もあるので、職種によって働き方が全然違います。従いまして、マネジメントには方向性をしっかり示してもらい、あとは自分たちである程度考えていくというスタイルになっています。IBM Corporation では、今年で創立から 107 年経ちますが、創業時から続いている事業がほとんどありません。自分たちで仕事をつくっていく、もしくは、お客様に受け入れられる自分たちのバリューは何なのかを考えて、仕事を再定義しています。「今、そして今後、自分たちはどうあるべきか」を考えていけるような環境が少しでもあったら自分たちで仕事自体を変えられるのではないでしょうか。
平山
変革を中途半端なところで竜頭蛇尾で終わらせないために、経営の役割が重要であること。ミドルマネジメントも含めて、どのように進めていくかが大切ですね。

ワークアクティビティは効率化だけでなく協働の促進にも効果的

平山
それでは、ここからはテクノロジーの側面に入っていきたいと思います。まず、具体的なところでワークアクティビティについてお話しください。
小柳津
簡単にいいますと、社員は何をしているのか、ということです。マイクロソフトの社員は、今、完全ペーパーレス業務で、すべて自社のクラウドの中で、仕事が閉じている状態なので、社員がやっていることは、相当なレベルまでつまびらかになっているというのが、今の状況です。
平山
具体的には?
小柳津
まずやっているのが My Analytics というサービスです。これによって、毎週、あなたは先週こんな働き方をしましたというレポートがメールで届きます。それだけですが、毎週、ファクトとエビデンスを見せられると、なんのソリューションも提供されていないのに自分の中で PDCA が回り始める。これが、最初に起きた大きな変化です。この次に、Workplace Analytics を使います。これは、個人にではなく、組織、チーム、プロジェクト単位で、どういう時間の使い方やコミュニケーションをしていたかを解析するサービスです。かつてはワークアクティビティの記録はものすごい時間と負荷がかかりましたが、今のシステムは違います。仕事をしているだけで、情報がクラウド上に集められ、AI という視点で、それが解析・分析される。これが技術によるイノベーションだと思います。このワークアクティビティと社内のデータセットが結合して、さまざまなアドバイスをしてくれるような時代が、もうそこまできています。
平山
ありがとうございます。アクセンチュアでは、それをどういうふうに活用しようとしているのですか?
宇佐美
Workplace Analytics を使うことによって、無駄に過ごしてしまった時間が可視化され、効率化を加速することができます。さらに、付加価値を生み出す根源になるような、例えばコラボレーションにどれだけ時間を使ったかも明らかになります。それらをかみ合わせて、よりイノベーションを生み出す環境をつくろうとしています。
平山
石田さんにコグニティブ・ビジネスについてお聞きします。そのプラットホームとしてのWatson は、一見やさしく親切な感じがするのですが、一方将来、AI を使いこなす人たちとAI に使われる人たちに分かれるのではという話もよく聞きます。例えば意思決定の場にAI が入ってくる状況は近いのでしょうか?
石田
3 年前はできていなかったことが、現在はできるようになっています。意思決定の場面でのAI 活用も例外ではありません。ただし、それを具現化するのは、簡単ではありません……。AI を活用した意思決定プロセスを実装する場合、次のことに最低限対応する必要があります。まず、一人ひとりの役員が、意思決定の場面において、何をどのように思考し、どのようなデータを用いて、どうやって意思決定を導き出すのかを全部可視化しなくてはいけません。加えて、役員会議での議事録、過去の発言録といったものも全部、丁寧にインプットし、Watson に学習させる必要があります。そうすれば、かなりのレベルの意思決定支援ができると思います。

ワークアクティビティは効率化だけでなく協働の促進にも効果的

平山
AI テクノロジーは、そこまできている。そういう中でわれわれ人間は、どのような働き方の変容を迫られるのか。あるいはどういう働き方に自分をアダプトしていくと、楽しく働けるのかということについてお一人ずつお話を伺って、今日のまとめにしたいと思います。
小柳津
私は「リード ザ セルフ」といういい方をしていますが、自分は何をしたいかは人としての根源だと思います。それが根っこにあれば、AI とどう付き合っていくかも自ずと見えてくると思います。どんなスキルを自分は身につけていかなくてはいけないのか、ということですね。労働力不足が、大きな背景としてあります。日本人は『鉄腕アトム』や『ドラえもん』などの影響で、ロボットに親しみを持ちやすい。うまく使ったらすごいパワーになる、頼もしい存在とどうやって付き合っていくのかという中で、自分の思いや志をしっかり持つのが大事なのではないかと個人的には思っています。ぜひ、そういうことを自問自答していただきたいですね。
石田
よく Watson って何ができるんですかという問い合わせをいただきますが、AI は、データがないと何もできません。 かつ、未来の予測はできません、現時点では……。過去のデータがよりどころになっているので、将来、何が価値を生み出すかなどを想像することもできません。ですから、ぜひ、皆さんは、将来を、未来を描くことに注力していただきたいと思います。将来を描くことは、決して難しいものではないと思っています。一人ではなく、複数の人と「協創」することを推奨します。社内に限らず、外部の人たちの知恵、胸を借りるという選択肢も大いにあると考えています。自身の凝り固まった思考を柔らかく、そして、飛躍させるために、オープン・イノベーションを活用していただきたいと思います。
小柳津
今日は短い時間でしたが、いろいろなテーマが出てきたと思います。個人的にいっちゃいますけれど、いずれそうなります。 なるんだったら退路を断たれたと思って、早めに練習した方がいいです。これが私のメッセージです。
平山
覚悟を決めて取りかかるということですね。AI が持つことができない志をしっかり持って、変革を進めていくことが大切だと思います。どうもありがとうございました。

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