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イノベーションを生み出す組織をつくる

イノベーションを生み出す組織をつくるChange Working Forum 2019 セミナーレポート

内田洋行が2010年から毎年開催している働き方変革をテーマにしたイベント「Change Working Forum 2019」より、パネルディスカッション「イノベーションを生み出す組織をつくる」に関するセミナーレポートです。昨年に引き続き、株式会社アイ・ティ・アール取締役の舘野真人氏、『月刊総務』編集長の豊田健一氏、『Works』編集長の石原直子氏をお迎えし、「イノベーションを生み出す組織をつくる」をテーマに、IT、総務、人事とそれぞれの専門分野での気づきをディスカッションしていただきました。

パネラー&モデレーター

  • パネラー舘野 真人
    株式会社アイ・ティ・アール取締役 シニア・アナリスト
  • パネラー豊田 健一
    ウィズワークス株式会社取締役
    『月刊総務』編集長兼事業部長
  • パネラー石原 直子
    リクルートワークス研究所人事研究センター長 『Works』編集長
  • モデレーター平山 信彦
    株式会社内田洋行 執行役員
    知的生産性研究所 所長

※所属、肩書は開催当時のものになります。

誰もが安心して発言でき良いことをほめ合える風土に

平山
今回は、イノベーションを起こす組織づくりにおいて、経営、ミドル、社員、それぞれの役割は何かをサブテーマにしています。まず、一社員には、どのような働き方、意識が求められると思いますか
石原
イノベーションは新結合から生まれますから、まず異なる知識の出会いがなくてはなりません。 新しい何かを提供する義務がすべての社員に課せられ、一人ひとりの役割が、かつてなく重要になってくるでしょう。しかし、それには若いメンバーでも物怖じせずに自分の知っていることを話せる環境・風土であることが大前提としてなくてはならないと思います。
舘野
現場レベルでやれることは、良い行動をきちんとほめることですね。メールで「お前すごいよ」というのは大変ですが、ソーシャルで「いいね」ボタンを押すことは簡単にできます。貴重な発言をした人に共感を示したうえで、「その話ならあの人に聞いてごらん」ですとか、「このやり方が参考になるよ」といったコミュニケーションを現場レベルでつくっていく。こうした一歩が、イノベーションにつながることもあると思います。コミュニケーションがうまくいっている会社に共通しているのは、マネジャーなどがチームメンバーのすべての意見に目をとおして、感謝をしっかり伝えているということです
平山
「そんなこといちいち口に出さなくてもわかるだろう」とか、「照れくさい」とか、昔の暗黙知の世界を引きずって、感謝の気持ちを表明しないようなことがあってはダメですね。
石原
人事の世界ではここ2年ほど、人事考課で等級分けするのはもうやめましょうという話が盛り上がっていて、外資系企業を中心にノーレイティングにした会社が増えています。そして新しく導入されているのが、リアルタイムフィードバックです。マネジャーはそのトレーニングを受けるのですが、基本は感謝を伝えること。「ありがとう」をいいましょうから始まっています。
平山
部長さんたち、いわゆるミドルマネジャーの役割がますます重要になっていますね。

ミドルは多様な動きトップは強いリーダーシップが必要

石原
今、ミドルマネジャーは、かつてなく複雑な役割が増えて、とても大変になっていると思います。私自身もビジネスをなんとかしたいという思いと、メンバーを成長させたいという思いの間で、ものすごく悩みます。メンバーが育てば、そのメンバーがビジネスゴールを達成してくれるようになるので、基本的に二つは同じことなのですが、実際にはなかなか。とにかく、マネジャーの仕事はメンバーに向き合うことで、そのときにちゃんと感謝を伝え、なんでも話せる環境をつくることが大事だと思って、試行錯誤しながらやっています。
舘野
ITの観点では、データに基づく意思決定をこれまで以上に重視しなければいけない時代になったと思います。今後、いろいろなところにアナリティクスの技術が入ってきて、AIで解決策まで提案するようなしくみも充実してくるでしょう。その際に、判断ができる素養がないと、マネジャーとしての存在意義が薄らぐでしょうね。
平山
役割に対して支援がものすごく不足していて、マネジャー自身が疲弊しているとも感じますね。
豊田
社内でできることには限界があると思います。実は優秀な総務部は、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)を導入しているところが多いんです。テクノロジーやBPOの導入で、業務を効率化させることはとても重要だと思います。そうしてつくった時間で、マネジャーは外に出て、動向や最新技術に触れ、ベンチマーク先を見つけるなど、外との接点づくりを率先して行うことが大切です。それによって、刺激を受けたり、新しいものが導入できたりして、結果、組織を変えることができるのだと思います。
平山
経営者には、何が求められると思いますか
豊田
やはり大事なのは思いで、その思いをいかに伝えるかですね。経営理念やビジョンをしっかり刷り込んだうえで、この方向にいくぞと大きな絵を示すことが大切になります。
舘野
経営者にしかできないだろうということが二つあります。ひとつは、情報における組織の壁を壊すこと。すべての情報は共有物で、社員の誰もが使えるようにするというメッセージを出す。すべてをオープンにすることにはよしあしもありますが、これを変えられるのは経営者しかいません。もうひとつは、テクノロジーを使っての透明性の確保これからの企業経営は、クリアであることが必須で、すでに一部ではリアルタイムの情報を見せることで信頼を得るというやり方が始まっています。

働き方の多様性により新たなリスクも表出

平山
最後に、それぞれの視点からメッセージをお願いします。
豊田
あえて守りの総務の視点で、警鐘を鳴らします。従来の防災対策はオフィスが主体でしたが、働く場が多様化すると守るにも限界があるので、社員に防災能力を身につけさせるといったことも考えなくてはなりません。このように、働き方改革で多様性が進んだ裏側で、新たなリスクも増えています。そのあたりの対策の実施も総務の大事な使命だと思います。
舘野
メールだけで完結していた時代のルールと、ソーシャルやテレワークが当たり前の時代のルールは当然違うので、テクノロジーを導入する際は、ルールのアップデートを一緒にしてください。また、ノートパソコンを全員に支給したものの、会議室にスクリーンがないとか、Web会議のツールはあるがマイクやスピーカーがないというのでは、意味がありません。そこも意識していただきたいですね。
石原
イノベーションを生む働き方は何かというと、基本的には自律ということですよね。働く一人ひとりが自分自身で目標を決めて実行するのもひとつのリーダーシップ。リーダーシップがすべての人に求められる時代になったということです。人事の教育もそれに沿わせていかなければならないと思います。
平山
皆さん、本日はありがとうございました。

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