東日本旅客鉄道株式会社
東京建設プロジェクトマネジメントオフィス 様オフィス移転 事例紹介

「鉄道林」の活用とABWの実現により、「究極の安全」の追求にふさわしい「変わらぬ価値と変わる価値」を体現したオフィスを創造

第36回日経ニューオフィス賞「ニューオフィス推進賞」受賞

業種:
陸運業(鉄道・バス)
入居人数:
執務室 約600名
面積:
共用エリア 約3,600 ㎡ / 執務エリア 約3,400 ㎡

東日本旅客鉄道株式会社様のインハウスエンジニア集団として、首都圏・上信越エリアの駅・鉄道施設の新設・大規模改良を担われている東京建設プロジェクトマネジメントオフィス様。グループ会社開発の新築ビルに移転するにあたって組織編成と働き方の変革を行い、それにふさわしいオフィス空間のあり方を追求されました。

内田洋行は、JR東日本様が所有する鉄道林を、ウチダグループ独自の木材調達システムを活用し、オフィスの什器に活用することを提案。コミュニケーションの活性化と効率性を重視した空間デザインとICT、そして映像を含むコンテンツの制作によって「究極の安全」への強い思いを継承した、温もりのある快適なオフィスを実現しました。

お客様の課題

  • 社内外や地域との活発なコミュニケーションを通じて、オープンイノベーションの創出および醸成、発想の柔軟性といった、新たな価値創造に寄与するオフィスの創造
  • 多様な働き方を可能にする仕掛けとともに、横断的で柔軟なチームで業務を推進できるオープンな空間づくり。
  • 働き方変革や技術革新など、経営環境の変化に対し柔軟に対応できる可変性

UCHIDAの支援

  • 気軽に「今、ちょっといいですか?」が言える回遊動線の執務室、またグループの他機関とも交流できる食堂やレセプションエリアで、社内外のコミュニケーションを後押し
  • ABW(Activity-based working)を推進する、多様なスタイルのゾーン、座席を用意。執務エリア内にはWooD INFILLによる多用途に使える空間も造作。
  • フリーアドレス対応の空間づくりで、組織変化にも柔軟に対応。食堂やレセプションエリアでも、移動やスタッキングがしやすい什器を多用。

ポイント紹介

独自の木材活用マネジメントを推進する内田洋行だからこその「鉄道林」の活用。日常的に目や手に触れる什器となって安全への思いを継承

新オフィスへの移転に際し、建築と総務部門のメンバーで移転プロジェクトチームを結成された東日本旅客鉄道株式会社 東京建設プロジェクトマネジメントオフィス様(以下、PMO様)。中堅・若手を中心とした所内各課室代表によるワーキングチームも立ち上げ、「働きやすく心豊かになるオフィスを構築し、業務のレベルアップ、存在価値の向上につなげる」ための議論を重ねられました。そして導き出されたコンセプトが、①新たな価値創造に寄与する空間、②多様な働き方を可能にする空間、③経営環境の変化への柔軟な対応を可能にする空間、の3つです。

コンペへの参加が決まった内田洋行はプロジェクトチームを結成し、そのコンセプトの具現化に注力。併せて、「究極の安全」を核に、未来の鉄道・駅・まちを創造する新たな価値を生み出すことが求められているPMO様のオフィスのテーマを、「変わらぬ価値と変わる価値」と捉えて熟考。そこで着目したのが、JR東日本様の「鉄道林」でした。雪や風を防ぐために枝が多い鉄道林は、節の多さ、サイズの不揃いさで材木には不向きとされがちですが、内田洋行の「タニチシステム *1」で調達し、集成材や三層パネルに加工すれば、立派に使えると判断。それを日常的に目や手に触れる什器に使用することで、「安全を守る」という意識を継承していただきたいという思いを込めてプレゼンに臨みました。

結果、「提案依頼書を良く汲み取っていただき、自由度が高い優れた提案だと感じました。木材活用に関しても実績を踏まえた具体的な提案で、社会的な意義を持ちつつ、豊かなオフィス空間ができそうだという印象を持ち、いちばんパートナーにふさわしいと思いました」(原 哉様)とご評価いただけました。 鉄道林に関しては、内田洋行でオリジナルの焼き印を作製し、それを所員の皆さんに刻印いただくイベントも実施。また、プロジェクトが進行する中、かつて東京駅丸の内駅舎復元工事で撤去され一部倉庫に保存されていた松杭の活用についてもご相談をいただき、ご対応させていただきました。

*1 タニチシステム(木材活用マネジメント)とは、木材流通システムの最適化を通じて地場産業の活性化や人と人の絆の再構築を目指す取り組みです。

空間・ICT・コンテンツなどウチダグループのリソースを集結したことで、JR東日本様のビジョンを感じていただけるレセプションエリアを実現

今回、内田洋行がご支援させていただいたのは4フロア。その1つ、3階は、PMO様とともに同じビルに入居される2つの機関とも共有されるレセプションエリアです。エントランスからつながるヒストリーチューブ、ライブラリー、事故展~事故から学ぶ室~、東京駅模型、グラフィックアート、オープンイノベーションと、複数の機能が配置される上、3組織の顔となるエリアだけに、最後の最後まで提案・議論が重ねられました。

そして実現したのが、不動の「JR」のロゴと、そこに投影されるCG映像で「変わらぬ価値と変わる価値」を表現したエントランス。空間デザインとICTの構築、コンテンツ制作という内田洋行のリソースを生かした提案です。また、事故展でも、「伝えるよりも伝わる」を念頭に、展示の内容を再編集。音と映像、そして自分ごととして受け止めやすいキャッチーな言葉で、安全への意識をより強く訴求する展示を実現しました。

加えて、「ただいまと帰宅してドアを開ける、そんな日常の幸せは“究極の安全”の追求で守られている」ということを表現したグラフィックアートもご提案。PMO様の組織編成と大切にしていることをご紹介するフロアなので、社外の方々にこの会社の人と一緒に働きたいと思っていただき、社員の皆さんのモチベーションも高められる場づくりを念頭にご提案に努めました。

「鉄道林利用や事故展(グラフィックアート含む)など、社員だけでは想像もつかないような斬新なアイディアを発信していただいたお陰で、独自性のあるオフィスになったと思います」(三田 歩 様)

3機関共有の場として、ソロワークや社内外の人とのミーティング、さらに講堂としても使用可能なフレキシブルな空間を創造

エントランスのある3階から、インナー階段で1フロア降りるとカフェテリア(65席)と社員食堂(323席)が広がります。ここも同じビルに入居する3機関の共有スペースです。

カフェテリアの一部の床は一段下げたラウンジピットにし、お客様との打ち合わせにも使用できるホテルのラウンジ的な高級感のあるものに。さらに壁面に沿って小上がりを設けました。その壁にはプロジェクター投影用のスクリーンを設置しているので、ここをステージに活用することもできます。続く、食堂で目を引くのは、鉄道林の大テーブルやベンチ。汚れてもメンテナンスがしやすいよう、ウレタン塗装を施しました。また、テーブル、イスの多くは、講堂として使用する際などに移動・コンパクトな収納が可能なスタッキングタイプ。元に戻すときのために、床には目印のピンもつけています。

カフェ&食堂には2つのスライディングウォールが設置されており、用途に合わせて部屋を区切って使用できます。1部屋にして使う際に、折りたたんだスライディングウォールをしまうスペースも確保。また、食堂のパントリーの導線(ラインとマーク)は、足元よりも見えやすい天井に描くなど、表面的なデザインだけではなく、使いやすさを意識したご提案をさせていただきました。さらに防災備蓄計画についても、効率的で有効な収納方法をご提示しています。「一人での休憩から、ソロワーク、ミーティング、数百人での大会議と、とても用途の広いエリアになりました。先だっても中高生を招いての当社の取り組みをご紹介する企画をこの場所で行い好評でした」(尾﨑 希美 様)

業務内容に応じて、フレキシブルに選択できる多様な執務席を用意。リチャージエリアやコミュニティエリアが組織をつなぐ「のりしろ空間」として機能

移転前は島型配置の固定席だった執務室も、今回の移転に合わせて実施した組織改革とマッチしたフリーアドレスを採用されました。「社員同士のコミュニケーションを活性化させるため、単なるインテリアデザインではない“建築的な空間構成(ゾーニング、動線、視線、空間分節など)”の実現のため、検討を重ねていただきました」(石橋 誠 様)

求めるのは、プロジェクトに合わせ、組織横断の柔軟なチーム編成での働き方を可能にする空間。そこで内田洋行は、2フロアをインナー階段で行き来できる特性を活かし、階段口にグリーンで癒しを得られ、ちょっとした立ち話も可能なサブリチャージエリアを設置。その上で、各フロアとも窓際も通れる回遊動線にして、移動がしやすい空間としました。執務エリアは離着席しやすい4人テーブルをメインに、窓に面したカウンター席、ボックス席、ブース席など、多彩なスタイルを用意。クイックミーティングもできるスペースを適切に設けています。壁全面に投影も可能なホワイトボードにしたコミュニティエリアは、ブレストやプレゼンなど、シチュエーションに応じて多目的に使用できる場所。その隣には、鉄道林を用いたWooD INFILLを設置。ゆるやかに囲まれた空間で、作業やミーティングを行うことができます。「組織や業務に合わせた柔軟な働き方が推進できていると感じています。使用者がそれぞれの仕事にあった空間にカスタマイズできるようなツールが増えると、さらにおもしろいでしょうね」(近藤 樹理 様)

「リモートワークが普及した世の中ですが、オフィスには、行けば人に会える、おもしろいことやチャンス、自分の知識を深められるものや情報にリアルに触れられる。そして自宅や他のどの場所よりも仕事がしやすく生産性があがる。そんな確かな価値が求められていると思います。現在、出社率が高いのは、そうした要素を備えられたからではないかと考えています」(原 哉 様)

第36回日経ニューオフィス賞「ニューオフィス推進賞」受賞

近畿ニューオフィス推進賞

移転プロジェクトの過程を記録したショートムービー

JR東日本が所有する鉄道林の保守管理で生じる伐採木をパワープレイス独自の木材調達監理(タニチシステム)により調達。JR東日本の建設プロジェクトの安全な推進を使命とするJR東日本 東京建設プロジェクトマネジメントオフィスの新築移転に際し、オフィス什器に活用し、鉄道林に込められた安全に対する強い想いを継承した、温もりを感じられる快適な執務空間を実現しました。この動画はその過程を記録したショートムービーです。(製作:パワープレイス株式会社)

ご担当者様の声

ご担当者様の声

奇をてらうことなく本質を捉えたプロポーザル提案が非常に印象的で、自分達が理想とする空間を一緒に創り作りたいと思いました。設計が始まってからは、共にスタディを繰返す日々が続きましたが、ハード・ソフトの総合力、プロジェクトメンバーのチームワークが素晴らしかったです。「動きながら働く」空間を創出したことで、社員同士のコミュニケーションの機会が増えたと感じています。パートナーとして一緒に取り組んでいただいたことに感謝しています。

東日本旅客鉄道株式会社 東京建設プロジェクトマネジメントオフィス
プロジェクト推進建築Ⅱユニット(東海道・横浜駅開発)
マネージャー 石橋 誠 様

定例会議は半日に及ぶことが常でしたが、都度、スケッチやミュージック付きシーケンスなど、魅力的な資料、プレゼンをいただき楽しい時間でした。タイトなスケジュールな中、さまざまな要望に対応していただけ、最後までこちらの要求に応えてくださいました。おかげで、これからの新しい未来を創造して行く、私たちの魅力あふれるオフィスを実現することができたと思います。関係者の皆さんへの感謝の気持ちでいっぱいです。

東日本旅客鉄道株式会社 東京建設プロジェクトマネジメントオフィス
駅まちづくりユニット(建築計画) 現:上信越ユニット(設備)長野
副長 原 哉 様

私はプロジェクト終盤からの参加でしたが、引っ越しに向けスケジュールがタイトになっていく中でも、柔軟に対応いただいたことは感謝のひとことに尽きます。執務席の近くにあるいわゆる“余白”のスペースは使い勝手がよく、モニターにつないで数人でひとつの画面を見ながら議論する機会が増えました。それに伴って、紙資料を用意しての打合せが格段に減り、効率的かつ環境にやさしい働き方になったと感じています。

東日本旅客鉄道株式会社 東京建設プロジェクトマネジメントオフィス
駅まちづくりユニット(建築計画)
チーフ 近藤 樹理 様

通常の執務、集中作業、Web会議、クイックミーティングなど、あらゆる働き方に対応したスペースがまとまった執務室になったので、働き方に合わせて席を変える方が多い印象です。今回のプロジェクトを通し、どんな働き方・オフィスにしたいかコンセプトを明確にし、そこに立ち返りながら進めることの重要性を感じました。今後、活発なコミュニケーションを促進し、社員の働きがいも向上できるオフィスに成長させていきたいです。

東日本旅客鉄道株式会社 東京建設プロジェクトマネジメントオフィス
企画戦略ユニット 企画戦略・DX(企画)
三田 歩 様

視察にいらした方の多くが、一目で「ワーッ!」と反応されます。それは、単に新しくてきれいなだけでなく、これまでの当社のオフィスにはないコンセプトやデザインが散りばめられていることへの感動だと捉えています。あとはそれをいかに使いこなしていくか。自然に狙い通りの使い方になっているゾーンもありますが、運用する総務が、意図や使用事例などを発信することで、さらにオフィスの価値を高める必要があると考えています。

東日本旅客鉄道株式会社 東京建設プロジェクトマネジメントオフィス
企画戦略ユニット 企画戦略・DX(企画)
主務 尾﨑 希美 様

担当営業・デザイナーの声

本プロジェクトでは、空間デザイン、家具・内装、ICT・AV環境、映像コンテンツ、グラフィックアート、木材活用、展示スペース構築など、ウチダグループが持つリソースを全て注ぎ込んだご提案をさせていただきました。 手配リミットの直前まで、お客様や社内メンバーと何度も長時間に及ぶ議論と検討を重ねた時間は、今ではとても良い思い出であり、私にとって貴重な経験となりました。
これからもPMO様、ひいてはJR東日本グループ様のより良いオフィスづくりをサポートさせていただきます。今後ともよろしくお願いします。

株式会社内田洋行
オフィスエンジニアリング事業部 柴田 陽平

PMO様の業務は、私たちの暮らしに常に直結している。そんな思いで向き合わせていただきました。
今回、限られた時間の中で、力をフルに発揮するためコンセプトを共有しながら、レセプションエリア、食堂・カフェエリア、執務エリアで空間設計担当者を分けてデザインを行いました。そのやりとりをご覧になってPMO様が「仲が良さそうでいいね」とおっしゃってくださったことがとても印象に残っています。実際、みんなで力を合わせたことで、オフィス構築へのよりよいご提案ができたと自負しています。私たちにとっても、とてもよい経験でした。ありがとうございました。

株式会社内田洋行
ICTリサーチ&デベロップメント ディビジョン 五十嶋 さやか(プロジェクトプランニング)
パワープレイス株式会社
筧 浩石・小林 健一(レセプションエリア空間設計)/ 家城 知凡(食堂・カフェエリア空間設計)/ 玉置 加渚帆(執務エリア空間設計)/ 谷知 大輔(ウッドデザイン) / 鈴木 有吾(映像制作) / 森 麻衣子(エントランスグラフィック) / 下妻 賢司(食堂鉄道林グラフィックデザイン) / 倉内 慎介(コンテンツデザイン)

お客様について

東日本旅客鉄道株式会社
東京建設プロジェクトマネジメントオフィス

首都圏および上信越エリアで鉄道事業と生活サービス事業、関連施設の建設、改良プロジェクトを担う、建設工事部門のプロフェッショナル集団。それが、東日本旅客鉄道株式会社 東京建設プロジェクトマネジメントオフィス様です。大規模ターミナル駅の推進、鉄道ネットワークの強化をはじめ、「お客様や地域の方の心豊かな生活を実現する」ために、地域と一体となったまちづくりなど、様々なプロジェクトを推進。「究極の安全」を基盤に、品質の高いサービスの提供に努められています。

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※記事内容や役職等は取材当時のものです。(2023年2月取材)

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