UCHIDAの「新川Change Workingプロジェクト」の1年目の成果。
数値化に拘り、自身の働き方改革のためのKPIを設定して取り組んだ結果をご報告いたします。
営業担当者の最も大切な仕事は、お客様とお会いしお話を伺いご提案すること。しかし現実には会議や資料作成などの社内業務が多いのも事実で、変革前は営業担当者の顧客対面時間は業務時間の24%しかなかった。それが、「Change Working」以降は36%と1.5倍の伸び。一方、書類作成などの個人業務は46%から34%まで削減できた。
「紙文書の利便性は否定せず必要に応じて活用するが、保存文書はすべてデジタル化し紙を極小化する」というコンセプト「ペーパー・ストック・レス」。この導入で、それ以前の営業部員1人当たり6.1mあった紙文書を個人書類30cm+共有書類1.5mまで減らすことができた。オフィス全体では70%の削減である。紙の削減以上に、デジタル化による情報共有と携帯性(ポータビリティ)の強化が大きなメリットである。
ドキュメントの電子化により収納庫の設置面積は82%削減できた。賃料で換算すると、年間1830万円。さらに捻出した空間はより創造的なスペースとして使える。一方、実施前の「書類印刷量」は増加しているが「収納庫」は増えていない。まさに「ペーパー・ストック・レス」が機能している証左だ。
ペーパー・ストック・レスの実現により、様々な情報がデジタル化されサーバーに保存された。しかし必要な情報をいつでもどこでも瞬時に見つけることが出来なければ意味がない。そこでドキュメントからマルチメディアにいたるまで、様々なデータを探し出す全文検索サーバーを導入。これにより情報の共有と再利用が進み、資料作成時間が13%短縮し、お客様対面時間も12%伸長。共有される情報の数は日々増え続けている。
固定的な“会議室”ではなく、思い立ったらすぐに“会議ができる場所”を2倍増。パソコンやタブレットの情報が簡単に共有できるモニター、壁が無く周りから見られる会議空間、「ちょっと5分」といったクイックなミーティングができる場所、そんな工夫で会議のスタイルが変わりつつある。会議時間全体では11%の削減に過ぎないが、報告型会議と討議型会議の比率が逆転するなど、中身は大きく変化した。
会議室予約システム「Smart Time Share」を活用し、会議開始時に押す「入室ボタン」が予定時間から10分過ぎても押されなければ、予約は自動的にキャンセルされるしくみを導入。これにより、月平均457件のうち24%が自動キャンセルされ、うち半分が別の会議に有効利用された。これは貸会議室利用料に換算すれば年間1000万円の削減に該当する。
「Change Working」実施後、「クイックゼミナール」を活用した社員の自主的な勉強会や各自がテーマを持つ研究会に参加する時間が3.4倍に増えている。1人あたり1週間に1時間、年間にすると50時間。社員への意識調査では「新しいことへのチャレンジやスキル向上に自発的に取り組んでいる」という数値が実施前から20%も増加している。
気温や天候によって開閉される外壁ブラインド「エコ・シェード」や全館LED照明設置など、徹底してエコを追求した建物、「働くために最適な環境」を社員が端末で調整できる「マイ・コントローラー」、電力の消費状況の“見える化”による社員のエコ意識の醸成など、様々な取り組みで快適性と省エネのバランスを追及している。
「Active Commons」の採用、壁が無い会議室、社内SNSを活用した知識共有のしくみなどにより、95%の社員がコミュニケーション機会の増加を実感している。そこには、ワークスタイル変革のために全員で検討した「在りたき姿」に変わる意欲が推進力となっていることはいうまでもない。
ワークスタイル変革が継続する最大のポイントは、社員が変革の必要性を納得して取り組むこと。何のために、どのように変革に取り組むのかを自ら考え出したワークショップや、「Active Commons」をはじめとする様々な「しかけ」や「しくみ」が奏功し、92%の社員が“腹落ち”している。働き方変革と働く場の変革が相乗効果を生み、スパイラルアップを始めているのだ。