内田洋行が2010年から毎年開催している働き方変革をテーマにしたイベント「Change Working Forum 2018」より、パネルディスカッション「働くひとの視点からみた働き方改革」に関するセミナーレポートです。昨年に引き続き、株式会社アイ・ティ・アール取締役の舘野真人氏、『月刊総務』編集長の豊田健一氏、『Works』編集長の石原直子氏をお迎えし、「働くひとの視点からみた働き方変革」をテーマに、IT、総務、人事とそれぞれの専門分野での気づきをディスカッションしていただきました。
ここ数年で、企業が支持や共感を得る手段やプロトコルは明らかに変化して います。例えば、ホームページ上に掲載された社長のあいさつ文よりも、何かが あったときにツイッターでつぶやく担当者の短文の方が共感を呼ぶといったこと も起こり得る時代です。また、コラボレーションツールの進化により、人を褒める、 あるいは感謝を伝えるといったことが、「いいね」やスタンプで手軽にできるよう になりました。これらの機能は社内コミュニケーションの活性化にもつながります。
その一方、自由な働き方の推進により、会社に集まる時間が減り、組織とし ての一体感がなくなってきているという話も耳にします。そこで、ディスカッショ ンしていただきたいのが、強みや弱みも含め自分たちの文化は何かということ。 それを共有認識として持っているのと、前提なしでバラバラに働くのでは、同じ ツールを使っていてもコミュニケーション効率が違ってきます。自分たちの組織 文化は何か。ぜひ、そこに着目してほしいと思います。
行動を変えることで、意識を変える。平山さんのお話でもありましたが、今、 行動を変えるための大きな要素の1 つとして、イノベーションのきっかけとな る偶発的な出会いの場、何か気になることがあるとすぐに打ち合わせができるス ペース、働く場を自由に選べるフリーアドレスなど、オフィスのあり方が注目さ れています。この部分は、働き方改革の中で、総務部門が最も活躍できる部分で す。このときに、スタイルだけを追わず、会社、社員の姿を正しく把握し、目指す 方向などの本質を捉えることが重要。そのうえで、みんなが将来、ハッピーにな れる働き方を実現できるステージをつくり上げてほしいと思います。 その他にも、現場が本業に専念できるように業務を効率化するなど、総務の役 割はたくさんあります。そのためにも、総務自身が業務を効率化すること。まずは、そこから始めてください。
今、ノーレイティングが1 つのムーブメントになっています。年度単位の業 績で社員をランク付けするのではなく、何かよいことをした、逆によくなかった というときに、リアルタイムにフィードバックをどんどんしていく方が、成果に 結びつく確率が上がります。それにより、社員がよい行動を積み重ねていくこ とが会社のためになっているというメッセージになるのです。 今後、在宅ワーク、テレワークはますます加速することでしょう。そのとき に、サボっているのではないかと疑い始めると切りがなく、疑念を強めること で、有形無形の何か大事なものが失われる可能性が高まります。疑うのではなく 信じる。会社の理念に共感して働いているメンバーだから安心して任せられると いう信頼が、社員に自立心と責任感を芽生えさせ、成果で応えるきっかけになるはずです。