いま、働き方が再定義されようとしています。テレワークから出社回帰、働く場も多様化し人とのかかわり方も変わっていくなか、自分らしく、よりハッピーに働くにはどうしたら良いのでしょうか?連載コラム「働き方の再定義 ~なりたい自分になるためのヒント~」では、株式会社圓窓 代表取締役 澤円(さわ まどか)さんと一緒に「はたらく」について考えていきます。
こんにちは、澤です。
今回はマネージャーの仕事について考えてみたいと思います。
ボクは2005年からマネジメント職になり、15年のマネージャー経験をすることができました。
また、マイクロソフト在職中は副業でスタートアップのマネージャー育成の手伝いをさせてもらったり、独立した今でも顧問先でマネージャーのメンタリングなどをさせてもらったりしています。
そんな自分がマネジメントをした経験と、マネジメント未経験者が抱く疑問、現在マネジメントに携わっている人たちの苦悩などを踏まえて、いろいろお伝えしましょう。
ここまでですでにお気づきの人もいらっしゃると思いますが、ボクは「管理職」という言葉を使いません。
組織上中間に位置する人たちのことを、この記事では「マネージャー」で統一することにします。
「またカタカナ語かよ!」ってお思いになる方もいるでしょう。
しかしながら、「管理職」という言葉そのものが、日本の失われた30年を作ったんじゃないの?っていうくらいに疑問視している言葉だからです。
マネージャーの仕事は管理だけではない、というのがボクの持論です。
もっといえば、あらゆる管理業務はできる限り自動化して、人手を介さないようにするのが大事ではないかと思っています。
ほぼすべての管理に関するタスクは、おそらくAIのほうが正確にこなせるでしょう。
人がやるとミスやムラが起きるものです。
製造業や流通業で、在庫などの管理をすべて目視でやっていては回らないことはたいていのビジネスパーソンなら理解できると思います。
なので、「管理が可能であること」は、「自動化をする」と変換するのが、昨今の流行しっぱなしのキーワードである「DX」の必要条件です。
(なお、管理を自動化したとしてもDXが実現できたとは言いません。その話はまた別の機会に・・・)
では、マネージャーの仕事は何なのでしょうか?
この問いをビジネスパーソンに投げると「部下のモチベーションを上げること」という答えが返ってくることが多くあります。
この答えに対して、ボクは「それは結果であって、マネージャーの仕事そのものではありません」とお答えしています。
大体、「部下」って言葉を使っているのもちょっと引っかかるんですよね。
「下」って言葉がついてる言葉を安易に使うのは、人間関係を作るうえでリスクがあるなと思うくらいです。
あくまでもフラットに考える必要があるとボクは常々思っているので、この記事では「メンバー」で統一しておきましょう。
メンバーのモチベーションを上げるのが仕事ではないのであれば、何が仕事なのでしょうか。
それを語る前に、メンバーがモチベーションを上げるためのメカニズムを考えてみましょう。
モチベーションが上がるのはどんなときか、想像してみてください。
マネージャーから「モチベーション高く仕事をしなさい!」って指示された時ですか?
そんなわけないですよね。
多くの方にとってモチベーションが高まるのは
「自分に課された仕事をやり遂げた」
「顧客からポジティブなフィードバックを得られた」
「マネージャーや同僚から感謝された」
「社長賞を獲得した」
こういった体験をした時ではないでしょうか?
マネージャーの仕事は「メンバーのモチベーションが上がるコンディションを整える」ことです。
モチベーションが上がるコンディションとは、すなわち組織全体に対してプラスとなることにつながっているはずです。
もしそうなっていなければ、これは完全に組織構造や制度設計に大きなミスがあります。
「課された仕事をやったら損失が出た」
「顧客からポジティブなフィードバックが来ているけれどコンプライアンスに反している」
「マネージャーや同僚から感謝されたけど株主は激怒している」
「社長賞をとったけど倒産した」
もはやこれはコントです。
では、マネージャーの仕事は何でしょう。
これは「メンバーが全力で仕事に向き合えるようなコンディションを整える」ことに他なりません。
メンバーに必要なリソースを集めたり、他部署の協力得るための調整をしたり、経営層の承認をとったりすれば、メンバーは自分の仕事にどんどん集中できるようになります。
マネージャーは、自分のチームだけではなく、他のチームとのつなぎ役としての役割も重要です。
そのためには、普段から会社の中の各部署との関係に着目し、利害が一致するために何ができるかを考えておくことが大事です。
切磋琢磨できるような健全な競争は素晴らしいものですが、足の引っ張り合いをするような行為は、最低最悪です。
「他部署とうまくやっていく」ための役回りは、マネージャーにとって最も大事な仕事だと心得ましょう。
次回は、マネージャーにとって大事な「もう一つの仕事」についてご紹介します。
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[2025.2.4公開]