ファーマエッセンシアジャパン株式会社様は、台北に本社を置くPhamaEssentia Corporationの日本法人として2017年に設立され、特に血液疾患を重要領域として、患者の方々に寄り添った治療薬の開発から販売を行われています。
ファーマエッセンシアジャパン様が現在のビルに従業員数約20名で入居されたのは2021年4月のこと。事業の成長が見込まれていたため、人数に対してゆとりあるスペースを確保してオフィスを構築した上で、2025年以降にさらに広いオフィスを取得する計画でした。それが、2022年の晩秋に、現オフィスとほぼ同じ面積の隣室が空くことが判明。従業員数もすでに入居当時の3倍に増えていたことから予定を大幅に早め、増床によるオフィスの再構築を決定されました。
新しいオフィスに求められたキーワードはコミュニケーション。従業員各自が、それぞれの業務や状況に合った働き方を実現しながら、自然に集いたくなるオフィスを目指し、プロジェクトをスタートされました。内田洋行はそのパートナーにお選びいただき、空間設計から工事に至るまで全力でサポートさせていただきました。
今回、増床したスペースは、もともと別の企業様が入居されていた部屋なので、既存オフィスとは完全に分断していました。その2部屋を1社で使うにあたっては、リアルな「壁」という大きな障害がありました。当初、ビルの所有者や管理会社に許されたのは壁にドアを設けること。
「しかし、それでは既存オフィスと連続的につながる、コミュニケーションを強化した増床の実現には繋がらないので、交渉を重ねました」と代表取締役社長の米津克也様。その席には、内田洋行も同行。躯体への影響の有無や消防法に抵触しないかなど、あらゆる面を調査・確認し、仕切り壁のほとんどを撤去する許可を得ることができました。
壁を取り除けたことで、社内エリアの行き来への制限がなくなり、よりつながりが生まれるオフィスを実現。西側の窓を遮るものが一切ないため、このオフィスの大きな魅力の一つである景観が存分に楽しめる空間を得ることができました。また、壁の撤去によりゾーニングの自由度が高まったことで、エントランスドアの手前と奥とで来客ゾーンと社内専用ゾーンを分け、セキュリティも強化されました。
「人々の価値観が多様化する中、働く場所やワークスタイルを個々のワーカーが決め、より充実した生き方を実践しようという考えが主流となりつつあります。それにつれオフィスにも人と人のつながりを生み出して深めるという役割が強く求められてきています。事業の生産性、会社の成長はコミュニケーションあってのこと。リモートワークが多い当社では、以前から月に1回、コミュニケーションデーとして、可能な人に出社してもらってイベントを行ってきました。これからは、そんな特別な日でなくても、みなさんに自主的に出社してもらえるような魅力あるオフィスをつくらなければならない。今回の増床におけるポイントはそこでした」(米津様)
ファーマエッセンシアジャパン様のオフィスは、赤坂御所一帯の自然の先に新国立競技場、西新宿のビル群、遠くは富士山まで見える素晴らしい景観が魅力です。内田洋行は、この景観を最大限に活かすべく、まずは窓辺をラウンジにゾーニングしました。既存オフィスのカフェカウンターと近いため、飲み物を片手のクイックミーティングやランチなど、さまざまなコミュニケーションがここで生まれるようなしかけです。さらにその背面にはハイテーブルの作業スペースを設置。壁には複合機に加え、共有の備品や本などが置けるシェルフを設置することで、自然に人が集まり、あいさつからちょっとした立ち話、そして業務の相談などがしやすい環境をカタチにしました。
また、執務エリアの窓辺には、リラックスしてソロワークができる一人用のカウンター席やチェアも設置。窓辺だけでも、さまざまな席を用意し、従業員の方々の選択肢を広げました。「既存オフィスとのつながりも大切なテーマでしたが、違和感なくつながる空間設計で、既存にはないファクターもいろいろ添えてくださったので、ワーカーの行き来が増えるオフィスに仕上がりました」とプロジェクト責任者の島津昭彦様。
執務エリアは通常の高さのテーブルデスクとハイテーブルを併用し、ふと顔を上げたときなどにアイコンタクトなどが取りやすいように縦横に配置。一人で集中したい業務や、オンラインミーティングに対応するため、セミオープンとクローズという2タイプのブースも複数設置しました。
執務室の南側には、社内用の大・小の会議室を設置。「会議室名は社内でディスカッションし、サイエンスドリブンの会社であることの象徴として、医学の発展に貢献した偉人たちの名前をつけました」と米津様。それによって、ワーカーのみな様にとっても思いのこもった会議室になったことと思います。
同じゾーンには、1on1ミーティングなどに活用するハードルルーム、部長室なども並べて設置。その間仕切りはスチールパーテーションで構成し、個室の増減やスペースの変更が用意にできるようになっています。「既存オフィスでかねてからあった音の問題についても、防音や吸音、逆に環境音楽を流すなど、いろいろな施策を出してくださいました。その効果については今後、検証して、よりよい状態になるようご相談を重ねていきたいと思っています」と島津様。
オフィスにおいて重要なのはこれからの運用。「当社のメンバーは主にサイエンスとビジネスの2つのバックグラウンドに分かれていて働き方が異なり、その違いに適応しながらも、両者がうまくコラボレーションできる環境を提供できるかが、キーポイントだと思っています。単に人が増えるだけでなく、多様性が広がる。その受け皿として、オフィスも常に変化していかなくてはいけないと思っています」と米津様は、すでにこれからの働き方を見据えていらっしゃいます。
オフィスに関するプロジェクトで最も大事なのは、自分たちのニーズをしっかり汲み取り、変化する状況にも対応しながら、ゴールを共有して最後まで並走してくれるパートナーを見つけることだと思います。その点、内田洋行さんはBeyond expectations、期待以上の働きをし、成果を導いてくださいました。壁の撤去をはじめ、B工事に関する部分にも対応いただき、スケジュール通りに納品くださったお力に感謝しています。
ファーマエッセンシアジャパン株式会社
代表取締役社長 米津 克也 様
今回の増床はもともと、ビルのB工事の問題、予算、タイムスケジュールなどさまざまな制約があったので、正直なところ7割満足できたら十分だろうと思っていました。しかし、うれしいことにその予想を超える結果で、タイムラインのマネジメントも素晴らしいと思いました。今後のオフィスの運用についてはバトンタッチしますが、私自身、思い出深い経験となりました。
ファーマエッセンシアジャパン株式会社
経営企画本部 本部長 島津 昭彦 様
実は、ファーマエッセンシアジャパン様が2021年にこのビルに入居される際のプロジェクトのコンペが、私が内田洋行に入社して初めてのものでとても印象的でした。その時は力及ばすでしたが、2年の時を経て今回、このようにお役に立つことができて感慨もひとしおです。今後も、全力でご支援を続けさせていただきますので、何卒よろしくお願いします。
株式会社内田洋行
エンタープライズエンジニアリング事業部 浅野 友輔
「永遠に患者志向であり続ける」ことを理念に掲げ、主に血液疾患および皮膚科の領域で、日本の医療および患者さんへの貢献のために活動しているファーマエッセンシアジャパン様。2023年6月には、真性多血症(血液がんの一種)の治療のための新薬の提供をスタートし、営業体制、販売体制を整えて、企業としても目覚ましい成長を遂げています。目標は、2026年に血液領域でNo.1になり、2030年には日本で最も尊敬されるバイオテック企業になること。今回の新オフィス構築も、その成長の後押しです。
ファーマエッセンシアジャパン株式会社 企業サイト※記事内容や役職等は取材当時のものです。(2023年10月取材)