「丸の内仲通りビル」から「TOKYO TORCH(トウキョウトーチ)」街区内の「常盤橋タワー」に移転された古河電気工業株式会社様(以下、古河電工様)。この移転によって、従業員一人ひとりが「新しい働き方」を実現し、快適なワークプレイスでの対話や多様な人々とのコラボレーションおよびチーム力の向上を目指されています。内田洋行はそれに不可欠なAV・ICT環境整備を多面的にご支援。単なる機器納品に止まらず、これまで数々の企業様の働き方改革、オフィス改革をサポートしてきた実績のもと、システム構築からコンテンツに至るまで運用を視野に入れたご提案をさせていただきました。
「旧本社では、プロジェクターやモニターといったICT機器を部門で購入し、それぞれが保管して使用する都度、持ち運ぶという形でした」と本社移転フォローチーム長の河井健一様。そこで、まずは各部署のICT機器を1カ所にまとめ、小会議室にありもののマイク、スピーカー付きのモニターを設置し、Web会議ができる環境を仮でつくられました。「本社移転によって、ICT機器の使い方が変わるということを従業員のみなさんに認識してもらうところからのスタートでした」と、初期からICT化分科会のメンバーだった足立賢様も振り返られます。
そうして移転の準備を進める中、新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言を受け、出社率が1割ほどに低下。出社前提だったところを、テレワーク前提にチェンジしなくてはならなくなり、当初のイメージよりもはるかにリモートでの会議やミーティングの需要度、重要性が増しました。
「ICT環境整備の要件定義業務」のコンペに内田洋行が参加し、受注をいただいたのはちょうど、そのころ(2020年7月)。それから約2カ月半、新本社で「新しい働き方」を実現するためにはどのようなICT環境、AV機器が必要かについて、ICT化分科会の皆様とさまざまな観点から議論を重ねました。「古河電工の実現したいこと、譲れないことなどを納得いくまで議論した結果、打合せが4時間以上かかることもありましたが、そのディスカッションによって、私たちがやりたいことが明確になり、満足がいく仕上がりにつながったと思います。とことん付き合っていただけたことに感謝しています」とICT化分科会でリーダーを務められた菊田浩平様。
そしてICT実装工事のコンペにおいて、内田洋行はこれまでの取り組みや実績をご評価いただき、一括受注が叶いました。
古河電工様の今回の移転プロジェクトのコンセプトは「MIX! OWN COLORS ~新しい色で共に未来を描こう~」。業務や気分に合わせてオフィス内の場所を自ら選択するワークスタイルであるABW(Activity Based Working)の実践を目指されています。そこで、ICTにおいても、「場」やシーンに応じた提案を行い、例えば、執務室やコミュニケーションゾーンでは、サイネージがコミュニケーションツールとなるよう、配置場所やモニターの大きさにも留意しました。「フリーアドレスになったこともあり、いろいろな場面でリアルでもオンラインででも気軽に情報共有ができるようになりました。この姿は本社移転で目指していたことのひとつです」とICT化分科会メンバーの岸田康隆様。AV制御システムによって、シアターで放映する映像を任意のモニター、プロジェクターに流すことも可能なため、1カ所に人が集中しなくても情報共有することもできます。これもニューノーマル時代のICT構築のポイントといえるでしょう。
一方、役員会議室は性能と重厚感を重視。20数人規模のWEB会議がスムーズに行える装備をしつらえ、さらに映像切り替えや音量調整、カメラの向きやズームなどの操作がタブレットで簡単に行えるシステムを構築しました。「音も映像も鮮明。事業所等どこの拠点ともWEB会議ができるようになったと役員も喜んでいます」(河井様)。ICTは施工後の故障などの対応が心配ですが、内田洋行は信頼できるパートナーと協業することで、一元的な保守の提供を実現しました。来客会議室の運用には、旧本社に引き続き、会議室予約・運用システム「SmartRooms」も導入いただいています。
今回のプロジェクトに関して、内田洋行は本来、AV・ICT環境の構築部分に限ってのご支援でしたが、例外となったのがエントランスです。当初、プロジェクションテーブルの設置のみだったのですが、そこに映し出すコンテンツについても提案する中で、壁面にもモニターを置き、それと連動すれば古河電工様の理念がより強く伝わるのではないかとご提案しました。コンテンツは、自動で繰り返し流れる約1分の待機ムービーと、人感センサーで放映が始まる約2分の2種類の技術紹介ムービーを作成。ナレーションは日本語版・英語版の切り替えが可能です。その世界観に合わせて、壁面のサインも提案。古河電工様の製品が昔も今も社会の人々の暮らしの中で使われていることを、「電線」に見立てた一筆描きで表現し、エントランスのテーマ「未来をつなげる」を具現化しました。
「よい提案をいただけて感謝しています。コンテンツやサインを最終的に決めるまではたいへんでしたが、プロジェクトメンバーのみならず、従業員一同とても満足しています」(河井様)。これから、このエントランスを何百人、何千人の方が行き交い、それが古河電工様の発展につながっていくことでしょう。
私も含めて、ICT化分科会メンバーにはICTに対する知見、理解度があまり高くないメンバーもいましたが、彼らの、ぼんやりとした「こんなことをやりたい」という思いを内田洋行さんが質問を通じて引き出し、明確にしてくれました。会話を重ねるごとに考え方を飲み込んで、我々に理解できる言葉で、また誰とでも共有できるよう具体的に数字などで示してくれたので、HUBの立場にある自分はとても助かりました。
古河電気工業株式会社
リスクマネジメント本部 総務部 本社移転フォローチーム チーム長 河井 健一 様
正直なところ、最初はこちらの思いと内田洋行さんの提案が合致しない部分も多々ありました。しかし時間の経過とともに、我々がやりたいことをきちんと汲み取って、理解を深め、再提案をしてくださった。その結果、最終的に新しい働き方をするうえで必要なICT機器を過不足なく入れることができました。大変でしたがやりがいのあるプロジェクトでした。
古河電気工業株式会社
ビジネス基盤変革本部 ICT戦略企画部 情報基盤システム課 菊田 浩平 様
ICT化分科会には途中からの参加でしたが、新しいものをつくることにワクワクしていました。ただ、多くの人が参加していて、それぞれ考えていることが違うケースもあった。そういった意見を汲み取ったうえで、できることと、できないことを考え、対処していく工程はとても有意義でした。この協働の経験が日常的に体感できる本社になったと思います。
古河電気工業株式会社
ものづくり改革本部 設備部 設備戦略部 設備企画課 岸田 康隆 様
ICT環境の要件定義コンサルを内田洋行さんに決定した理由のひとつが、製品選びにしがらみがなく、こちらの立場になって公平に提案してくれたところでした。まだ出社率が低く、運用はこれからですが、設備業務を行っている一個人としての思いもあるので、さまざまな声を聞き、改善すべきところには手を入れ、よりよい「場」にしたいと思っています。
古河電気工業株式会社
ものづくり改革本部 設備部 設備戦略部 技術管理課 主査 博士(工学) 足立 賢 様
私はICT化分科会のメンバーではないので内田洋行さんと直接的なやりとりはありませんでしたが、1回の提案で終わらずにブラッシュアップしてくださる活動方針がうれしいと思いました。今回、プロジェクトに参加して、今まで接点のなかった部署の人と関わり、担当業務が異なると、物事の捉え方や感覚が違うと改めて気づきました。プロジェクト活動からすでに協働という新しい働き方の一歩が始まっていると感じました。
古河電気工業株式会社
財務・グローバルマネジメント本部 経理部 経理第3課 田貝 りつこ 様
「移転を成功させよう」というプロジェクトメンバーの方々の思いの強さをとても感じたプロジェクトでした、その熱い気持ちにお応えできるよう、弊社のパートナー企業ともタッグを組み懸命に努めました。これを機に、古河電工様と働き方改革のパートナーとして長いお付き合いをさせていただきたいと思っています。これからもよろしくお願いします。
株式会社内田洋行
営業本部 オフィスエンジニアリング事業部 板垣 和弥
8面のマルチモニターなどを備えた20数人規模のWeb会議室や、オンラインセミナーが可能な装備など、ニューノーマル時代の働き方が実践できるICTの環境整備をご提案することができました。デジタルとアナログが融合した、エントランスも個人的に思い入れがある空間です。今後も保守などのサポートで古河電工様のお役に立ちたいと考えています。
株式会社内田洋行
営業本部 オフィスマーケティング事業部 関根 洋一
1884年の創業より、エネルギー、情報、熱を伝える、繋げる、蓄えることを事業の柱に、「メタル」「ポリマー」「フォトニクス」「高周波」の4つの技術力を核として、情報通信やエネルギーなどのインフラ分野や自動車部品分野、エレクトロニクス分野と、多岐にわたる製品を世界中に展開している古河電工様。今回の本社移転で「新しい働き方」を実現することにより、SDGs達成への貢献と古河電工グループ ビジョン2030の達成に向けた取り組みも加速されます。
古河電気工業株式会社 企業サイト※記事内容や役職等は取材当時のものです。(2021年10月取材)