中央監視システム 導入事例

中富良野町立「なかふらの学園(中富良野小学校・中学校)」様

北海道の義務教育段階の学校として初となる「ZEB Ready」の認証を取得。理念に掲げる「創る人」を育む優れた教育環境を実現
業種 学校
主な導入効果 光熱費削減への寄与/2つの図書館の一元化/働く場・学ぶ場の革新/施設利用の効率化/環境教育の実現
導入システム 中央監視システム
IT図書館システム(UHF帯ICタグ、UHF帯読取機器)
家具什器

中富良野町は北海道のほぼ中央に位置し、富良野盆地の自然と景観に恵まれ、農業を中心に発展してきました。「農作物の宝庫」として、お米、メロン、玉ねぎ、スイートコーンなど多くの農作物を栽培。今ではラベンダー畑をはじめとする美しい自然景観を楽しみに年間約110万人が訪れます。
同町では、少子化に伴う小中学校の統廃合が行われる中で、小中学校一体の「なかふらの学園」の構想をスタート。今後50年はこれを超える建物づくりは町としてはない、という意気込みで、子どもたちの過ごす環境を最高のものとするべく、高度かつ情報化された、用途変更を前提とした設計など、高スペックな建物の実現を目指してプロジェクトを推進。2026年4月に義務教育学校としての正式開校を控えています。

中富良野町の風景

課題&導入効果

課題
  • 環境に配慮した省エネ校舎の実現
  • 「2050年ゼロカーボンシティ」を宣言する中富良野町は、環境負荷の低減を図りながら、自然と共生する美しく安全なまちづくりを進めているため、新校舎建設にあたっての環境への配慮は重要なポイントでした。特に、高額な冬場の暖房費をいかに抑制できるかが大きな課題でした。
導入効果
  • 北海道の義務教育段階の学校として初の「ZEB Ready」の認定。投資の早期回収にも期待
  • 地熱を利用した冷暖房、太陽光発電、断熱、そして集中管理の仕組みを取り入れることで「ZEB Ready」の認定を取得。その取り組みは、長期的な視点からのランニングコスト(主に光熱費)削減に大きく貢献し、初期投資の早期回収も期待されます。さらに、中央監視システムを通じて収集・蓄積したデータの活用で、さらなる効率化を進めます。結果として2023年には「ZEB Ready」、文部科学省が推進する「エコスクール」、「BELS」の3つの認定を受けました。
課題
  • 理念に掲げる「創る人」を育む教育環境の実現
  • 小中一貫の義務教育学校として開校する「なかふらの学園」は、町の教育基本理念である「心豊かに学び、明日のふるさとをともに創る人を育む」の実践の場です。子どもたちファーストの視点で、先生が一方的に教えるだけの学習方法ではなく、子どもたち同士で考え、教え合うことで生まれてくる新しい学びを可能にするフレキシブルで開かれた空間が必要でした。
導入効果
  • 子どもたちが快適に過ごせる学びの場の実現
  • 学校の限られたスペースを有効活用するため、稼働可能な壁を採用し、教室を拡張して様々な用途で利用できるようにするなどの工夫を取り入れました。併せて、北海道産木材をふんだんに使用した什器、開放感の高い大きな窓など、子どもたちが快適に過ごせる学びの場を実現しています。併せて、デジタルサイネージを活用して「ZEB Ready」等の取り組みを意識させるなど、教材としても取り入れていく方針です。
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導入の背景

環境への配慮からZEB Readyの取得へ
多様な利用を可能にする空間デザイン

――まずは、中富良野町における小中学校の統廃合の背景を含め、なかふらの学園の概要を教えてください。

三谷 和生 様
中富良野町教育委員会 教育課 課長補佐
三谷 和生 様
町では、児童生徒数の減少を受けて、地域の声を聞きながらやむなく統廃合してしまう状況でした。10年前は小学校6校、中学校1校という状況でしたが、昨年度には小学校3校と中学校1校になっていました。なかふらの学園は、この4校を全て統合するもので、新しい学校の誕生です。
2025年8月に小中学校が新しい校舎に移り、2026年4月に小中一貫の義務教育学校として正式に開校し、9年間の計画的な取り組みにより効果的な教育活動を実施します。児童生徒数は小学生約200人、中学生約120人、教職員60人です。町内では一番大きな建造物で、総工費は既存の校舎の解体費用などの関連費用を含めると約70億円という一大プロジェクトです。
三谷氏

――なかふらの学園は北海道の義務教育段階の学校として初の「ZEB Ready」の認証を取得されるなど、環境への配慮を強く打ち出されています。学園が目指された環境について、中富良野町の「ゼロカーボンシティ宣言」等も交えてお聞かせください。

企画のスタートは2017年頃のことで、当初は校舎の建て替えというハード面が先行しました。その過程で3年ほど前に立ち上がったのが、義務教育学校推進計画「Nプロジェクト」です。新しい学校づくり検討委員会のアドバイザーに就任した尾崎えり子氏の提言を受け、町の教育基本理念である「心豊かに学び、明日のふるさとをともに創る人を育む」をコンセプトに、「創る人」を育む教育環境を実現し、未来を担う人材育成に向けて地域全体で取り組んでいく学校を目指しています。
三谷氏
髙橋 純 様
中富良野町 企画課 参事
髙橋 純 様
町では2022年6月8日に「2050年ゼロカーボンシティ」を宣言し、環境負荷の低減を図りながら、自然と共生する美しく安全なまちづくりを進めています。こうした背景もあり、新校舎建設にあたっての環境への配慮は重要なポイントでした。また、北海道は冬場の暖房費が非常に高額になるため、ZEB Ready に向けた取り組みは、長い目で見た時のランニングコスト、特に光熱費の削減に大きく寄与します。断熱の徹底、自然エネルギーの積極活用で初期投資も早めに回収できると考えました。
髙橋氏
ZEB Ready について当初は、どこまでコストを掛けられるのかという懸念もありました。冬の暖房にはボイラーを使うのが一般的で、燃料のオイルを使うとどうしてもエネルギー消費が大きくなります。そのため、熱を逃さないよう断熱性能を高める工夫が必要でした。一方で、かつては標準ではなかった冷房設備も、温暖化の影響で最近は求められるようになっています。そこで、一部に地熱を利用した冷暖房を導入し、太陽光発電や断熱性の向上、さらに中央監視システムを取り入れることで、エネルギー効率を高めながらも、開放的で大きな窓を備えた明るい校舎を実現できました。
三谷氏

――空間デザインにも工夫をされたと聞いています。

「創る人」を育むための学びには、従来の先生から一方的に子どもたちに伝えるだけの学習方法では困難です。子どもたち同士で考え、教え合うことで生まれる新しい学びが求められます。しかし、学校のスペースは限られるので、そこを最大限に活用するため工夫をしました。例えば、理科室などの特別教室は常時使用するわけではなく、空き時間も多い。そこで用途を限定せずに使えるように理科室の名称を番号にすることで、多目的に使える環境を整え、教室の稼働率向上につなげています。また、廊下部分は「ホームベース」と呼ぶ多目的スペースで、教室を拡張して各種作業にも使えるようにしています。
三谷氏

――サイネージを活用した教育にも注力していく方針のようですね。

新校舎では建物全体のエネルギーがどのように使用されているのかわかるようになっています。太陽光パネルも設置しているので、昼間に電力がどれだけ生み出されて使用されているのかを設置したサイネージで表示していますので、子どもたちが普段から目にすることで意識するようになると考えています。
髙橋氏
多用途に利用ができる吹き抜け空間(多目的ホール)
木のぬくもりが感じられる昇降口と大階段

選定のポイント

将来を視野に入れたシステム連携・拡張性を評価

――中央監視システム、およびIT図書館システム、家具什器、それぞれの採用ポイントを教えてください。

三谷 和生 様
中央監視システムの操作パネル
検討のスタートは、先生方の働き方改革の一環として、スマホの操作でどこからでも冷暖房や照明を操作できれば負担が減らせる、と考えたことです。ただ、校内の各設備を1システムに統合するのは、規格等の違いでハードルが高いと考えていました。
その点、内田洋行の中央監視システムは、マルチプロトコル対応のため、規格の違いを乗り越えて連携、統合できる点を高く評価し、2023年6月に導入を決定しました。他社のソリューションは対応製品が限られるなど、将来の拡張には制限がありました。また、いくら優れたシステムも現場に利用されなければ意味がないため、操作性にもこだわりました。設計事務所や内田洋行と何度も擦り合わせして、直感的に操作できるものを目指しました。打ち合わせにおいて要望を上げていく中で、内田洋行から「それもできますよ」と言ってもらえたことも大きなポイントで、とても心強く感じました。
髙橋氏
IT図書館システムについては、私が2022年6月に「New Education Expo」(教育関係者向けのセミナー&展示会のイベント)に参加した際に紹介を受けたことがきっかけです。従来はアナログでの書籍管理や貸出返却処理のため、先生方への負担も大きく、十分に手が回らないことから運営方法を検討していました。小売店の無人レジと同じようにICタグによって貸出返却処理ができることがすごいと思いましたが、コスト面で導入は難しいと考えていました。その後、総務省のデジタル田園都市国家構想交付金を活用できることが分かり、2024年3月に導入を決めました。当初から町立図書館との連携を視野に入れていたので、図書館システムとの連携や将来の機能の拡張性の高さも採用の決め手でした。
家具什器については、子どもたちには授業だけでなく、学校内でのオフの時間も楽しんでもらいたいという、子どもたちファーストの強い想いから選定しています。特に意識したのは、休み時間などに学習エリア以外の場所で一息つける空間づくりで、内田洋行と相談しながら進めました。また、人口減少は今後も続くため、現状の教室の状態が永続するわけではありません。そこで教室の壁自体を可動式にして、空間をフレキシブルに変更できる仕組みを求めました。
三谷氏
子どもたちが一息つけるスペース

――クラウドやスマホへの対応を要望された理由を教えてください。

三谷 和生 様
プレイコートの防球ネットの操作もスマホから
当初からスマホ対応を検討しており、従来ならば先生が職員室に足を運ばないと操作できなかった冷暖房、トップライト、照明の管理・操作を、場所に縛られずに可能にしたいと考えていました。最初はカーテンの開閉、校内放送なども検討対象でした。特に、中学校は教科単位で先生が移動するので、いずれは子どもたちの出欠情報をリアルタイムで確認できるようにしたり、時間割と教室内の設備管理の連携、学校行事のリアルタイムの更新などもしていければと考えています。
三谷氏
運用面を考慮すると、オンプレミス環境と比べて、サーバーの更新など保守のコストや手間を削減できる点は大きなメリットになると考えています。
髙橋氏

効果と展望

子どもたちファーストの視点で、楽しく過ごせる空間を実現

――導入されたシステムの導入効果について教えてください。

8月の登校初日から、子どもたちの多くが新しくきれいな環境にワクワクして、楽しんでいるという印象です。中には、広すぎて戸惑ったという声もありますが、子どもたちの適応力は高いので、過ごしやすい居場所をすぐに見つけ出していくものと考えています。
三谷氏
具体的な効果としては、中央監視システム等の活用により、大きなテーマとした ZEB Ready の認定が取得できました。省エネに関しては、すでに校務センターから空調や照明の稼働状況が分かるので、消し忘れ等の防止につながると思います。冷暖房はタイマー設定で、自動運転にしています。
図書室は、学校の出入り口付近に配置したという動線の工夫もあって、児童生徒が気軽に立ち寄るようになりました。司書の方も、図書室に足を運ぶ人の数はかなり増加したと話していました。さらに利用が高まり、本に触れる機会を増やしてほしいです。
髙橋氏
書籍を台に置くだけで貸出返却が終わるので、子どもたちも楽しいと思ってくれているようです。図書館システムの導入で司書や先生方の負担が減り、楽になったと実感できていると思います。これまで司書は、教員委員会にいて、各学校を曜日ごとに回って対応していました。そのため司書が不在の日や時間帯がありましたが、学校の統合で専任となり、いつでも対応できるようになりました。
三谷氏
児童生徒の利便性が高まり、司書も各学校を回る移動の手間と時間が無くなり、その分の時間を別の業務に充てることができるなど、メリットは大きいと思います。
また、すでに図書室と町立図書館の書籍を一元管理し、貸出返却情報も一元化を終えているので、様子を見ながら相互利用をスタートする予定です。
髙橋氏

――「創る人」の育成に向けてはどのようなことを期待されていますか。

現段階は100%の完成ではなく、今後も変化が続いていきます。「Nプロジェクト」で謳うように、「つながり」を活かして、心豊かに生きがいを感じながら学べるような環境と育成プランを設計することを目指しています。それだけに通常の授業はもちろん、学校全体の空間をうまく活用し、新しい学びを実践していってほしい。
授業内容は学習指導要領で決まっていますが、それ以外の時間が、いかに子どもたちにとって過ごしやすく、楽しい場所であるかを考えて校舎を設計しています。工夫の一つが回遊できる多目的廊下で、教室と廊下という場を分断せずにつながりが感じられるようになっています。
三谷氏
当初は、オープンスペースになることで隣の教室の音が気になるかと考えましたが、今のところは危惧するほどのことはないようです。今後は干渉しないよう、使う学年、クラスをどうしていくかを検討していきたいと思います。
髙橋氏
広々とした多目的廊下
今回、通常は校外に設置することが多い不登校児童生徒の学校復帰を支援する「教育支援センター」も、あえて校内に設けました。学校に入る心理的ハードルを少しでも下げるため、動線にも工夫を凝らしています。実際、教育支援センターを核として、児童生徒と学校との繋がりも増えています。今後も明るい兆しが見えてくるのではと期待しています。
三谷氏
不登校の児童・生徒を支援する教育支援センター。安心して過ごせる動線設計、目線の高さも配慮。畳の小上がり、漫画コーナーなどリラックスできる居場所づくりを実現
教育支援センター内の木製個別ブース
学校の各施設やデザインに優れた空間については多くの町民が「もう一度、小学生に戻りたい」という感想を語るほど好評です。交流の場となる多目的ホールは窓を大きくとり、運動や集会に使用するプレイコートに天窓を設けるなどしており、とても明るいという声も聞いています。
髙橋氏
校舎の明るさや開放感といった空間デザインは、快適性の向上だけでなく、エネルギー利用の「見える化」ともつながっています。サイネージを見ると学校のエネルギー生産、消費等の情報が分かります。先生方がアプリを含めた中央監視システム等の使い方に慣れていくことで、今後、ZEB Ready のレポート提出に向けて、よりエネルギー情報への意識を深めていくことになると思います。8月は想定していたより、使用電力は少なくて済みました。
三谷氏
校舎の中央に位置するプレイコート
太陽光発電や消費電力の分かるサイネージ画面
むしろ子どもたちが常に目にすることで、どうすればエネルギー消費を減らせるのかなど、自分ごととして考える機会になってほしいですね。同時に、町が取り組んでいるチャレンジについても知ってほしい。そうした考えを巡らせることで、大人になった時に省エネを実現するための開発に従事するようになるなど、「創る人」につがなることを期待しています。
髙橋氏
三谷 和生 様
中富良野町の特産物等がモチーフとして飾られた吹き抜け空間
家具什器には北海道産の木材を使用したテーブルのほか、旧小学校で代々受け継がれてきた学校林のカラマツを使用して、校内の内装を仕上げてもらっています。学校林は私達にとっても個人的な思い入れの強いものなので、このような形で残せることになり、とても満足しています。
三谷氏

――今後については、どのような展望を描かれていますか。

教職員に校舎管理ツールとして管理用スマホを配布し、現状の空調や照明のほか、施設予約、電気錠、内線電話、校内放送等も操作できるようにしたいですね。まず、運用を続けながら、徐々に実現を目指していきたいと思います。
三谷氏
中央監視システムを通じて取得している各種データを活用して、効率的な施設運営に役立てたいと考えています。また、ZEB Ready の目標達成を目指してはいますが、達成を優先して快適性を犠牲にすることなく、無理なく実現できるバランスがとれる値を、1年間の実運用を通じて見出していきたいと思います。
髙橋氏

学校の様子

小学校向け理科室
デジタル顕微鏡
校長室
音楽室
中学校向け理科室
多目的スペース
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お客様プロフィール
中富良野町立 なかふらの学園(中富良野小学校・中学校)
開校 2026年4月
所在地 北海道空知郡中富良野町南町
URL 北海道中富良野町
※記載されている学校名、各製品名は各社の登録商標または商標です。
※記事内容や役職等は取材当時のものです。(2025年9月当時)

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