第36回日経ニューオフィス賞「近畿ニューオフィス奨励賞」受賞
スマートフォン向けのゲームの開発・運営を手掛けられているHappy Elements株式会社様。数々の人気タイトルを展開され、2010年の設立以降、めざましい成長を続けていらっしゃいます。5年ほど前に移転した京都本社「カカリアスタジオ」も、事業拡大による人員増加で手狭となり、業務効率の向上、そして社員が安心して快適に働ける場を求めて新築ビルへの入居を決定されました。その移転に際しての最大の課題は、社員はもとより外部からも高い評価を得ている現状のオフィスを超えるオフィスをいかに創造するか。コンペの結果、受注がかなった(株)オービックオフィスオートメーションとウチダグループは、持てるリソースを最大限に発揮し、Happy Elements様が理想とされるオフィスの実現に向け、しっかり寄り添わせていただきました。
コロナ禍でのリモートワークの普及でオフィスを縮小する動きもある中、Happy Elements様は700坪ほどだったオフィスを約1000坪に拡大されました。「世の中に逆行しているカタチかもしれませんが、そこには創業者である社長の強い思いがあります」と、今回の移転プロジェクトの責任者を務められた酒井大輔様がお話くださいました。
「当社には、ユーザーの皆さんに熱狂的に愛されるゲームを開発するというポリシーがあります。それには、ちょっとした温度感のすり合わせなど、顔が見える形での密なコミュニケーションが不可欠です。そうした選択肢を取るなら、行きたくなる会社、出社した方がよい1日が過ごせると思われる場所にしなくてはいけない。前のオフィスの評判が良かっただけに、今回はそれ以上のものにしなければ誰も納得してくれないだろうという強いプレッシャーがありました」(酒井様)
まずは、社員へのアンケート調査などを実施し、「Happy Elementsのオフィスに対する考え方」をまとめられました。ポイントは、「グループの自治は認めつつ、社内コミュニケーションが自然に育める環境」をつくることです。そのほか、グループごとの個室化と固定席(自分だけの空間)へのこだわり、社内では靴を脱いで過ごす文化の継続、さらに会議室や癒しの空間の不足といった課題解消に向けた条件をまとめ、数社でのコンペを実施されました。
プレゼンテーションの機会を得た内田洋行の販売店である(株)オービックオフィスオートメーション(以下オービックOA)は、ウチダグループ(内田洋行、ウチダテクノ、パワープレイス)と連携して、新オフィスの設計デザインを提案しました。「1000坪のオフィスを当社ならではのオリジナルなスタイルでつくる!という、本来なら数年単位で取り組むべき案件ですが、時間は工事期間含み9カ月だけ。そこでパートナー選びに重視したのは信頼性、どこまで自分たちに真摯に向き合ってくれるかでした。最初の提案はもとより、我々の投げかけにどう応えてくれるか。その反応で、この人たちなら信頼できると確信し、依頼をしました」と酒井様。
限られた時間を有効に使うため、設計デザインに関しては、執務エリアはオービックOA、カフェエリアはウチダテクノと担当を分け、そこにパワープレイスの大阪デザイン部のトップである山室が統括監修として参加。さらにオービックOAと内田洋行の営業担当ががっちり手を組み、移転完了までの全工程においてHappy Elements様をサポートする体制を整えました。
そうして完成したのが、5フロアからなる新オフィスです。特徴的なのは、前オフィスでは3つのフロアごとにあったカフェスペースを1フロアに集約し、社員ほぼ全員が集える大空間を構築したことです。「飲み物を飲んだり、ランチをしたりと1日のうちに自然に複数回カフェスペースに立ち寄ることで、部署間や社員同士のコミュニケーションを、特に意識せずとも取れる仕組みにしたいと考えました」と酒井様。ちなみに、カフェのペットボトル自販機やコーヒーサーバーのドリンクはすべて無料です。
カフェスペースをつくる際に大事にしたのは、みんなでワイワイ過ごしたい、1人でゆっくり過ごしたい、静かな空間が好きなど、多様性のあるメンバーそれぞれに合った、自分にとってお気に入りの場所を見つけてもらえる空間を提供すること。その追求は、イスやテーブルの多彩さにとどまらず、防音対策を施したライブラリールームの構築にもつながりました。
Happy Elements様のオフィスにおいて特徴的なのが執務室です。近年、部署を超えたフリーアドレスが主流となりつつありますが、Happy Elements様ではグループごとに部屋を仕切って、そこで生まれる個性を大事にされており、新オフィスでもそれを踏襲されました。その上で、オービックOA&ウチダグループは、職種の特性に応じた執務室を提案。企画系など会話が重要になる職種の執務室は、L字型の机を突き合わせ見通しのよいスタイルに、イラスト系など目の前の業務に個々が没頭することが大事な職種には半個室のように囲ったデスクをご提案しました。さらに、廊下を挟んだ場所にクイックミーティングやオンラインミーティングなどに使用できる防音ブースタイプの会議室を設置と、とことん集中できる環境を整えました。
また、靴を脱ぐ文化を大切にされているHappy Elements様。前オフィスでは、フロアごとの入口で脱ぎ履きが必要でしたが、新オフィスではビルの管理者の了解のもと、出社して一度靴を脱げばオフィス内はそのままでフロアの移動もできるゾーニングを実現しました。それによって、カフェやライブラリー、ミーティングルームなどへの移動がしやすくなり、偶発的なコミュニケーションも増えているそう。「思う存分にものづくりをしてもらうためには、オフィスの安全性もとても大事です」(酒井様)ということで、ビルオーナーへの交渉により、エレベーターにカードキーを設け、各フロアにも自動ドアでセキュリティを確保されています。
「一人一人のものづくりを最大化するには、オフィスの環境をいかに整えるかが重要で、そのために投資する価値は高いと思います。ハードとしては、ひとまず、クリエイターファーストの具現化ができたので、あとは運用、ソフトの部分をどう醸成していくかがこれからのテーマです。入居してまだ日は浅いですが、新しいオフィスを好きだと言ってもらえることが多く、理想のオフィス追求に手ごたえを感じています」(酒井様)
第36回日経ニューオフィス賞「近畿ニューオフィス奨励賞」受賞
近畿ニューオフィス奨励賞
限られたとても短い時間の中であっても、理想とするオフィスづくりに妥協するわけにはいかず、みんなが高いレベルで満足するものを提供したいと強く思いました。そのため、最初の提案から図面を固めるまで3カ月強かかりましたし、もう工事に入らないと間に合わないという段階になっても、別案を出してほしい、やっぱり前の案に戻したいなど、相当な無理を言いました。このオフィスができたのは、そんな我々に最後まで全力で向き合って一緒に悩み、どんどん提案もしてくださったオービックOAとウチダグループの皆さんと組めたからこそだと思っています。パートナー選びの重要性をあらためて感じた案件でした。
Happy Elements株式会社
執行役員 財務責任者 酒井 大輔 様
Happy Elements様が追求されるオフィスの実現に向け、オービックOA含め、ウチダグループの持てるリソースを総集して臨みました。私自身、ここまでこだわり抜かれたオフィスを担当できたことを誇りに思っています。また、それを高く評価いただきましたこと、厚く感謝申し上げます。新オフィスでHappy Elements様がますます成長されますよう、今後もぜひウチダグループを頼りにしてください。
株式会社内田洋行
オフィスマーケティング事業部 小西 正俊
カフェスペースやライブラリー、執務室、また廊下の壁面の植栽部分まで、意匠を凝らしたデザインを実現できた楽しい案件になりました。今回のプロジェクトが成功したポイントの1つはHappy Elements様の体制にあると感じています。さまざまな検討事項が発生するたびに、新井社長と酒井様の連携で素早く決定をいただけました。そこに時間が割かれていたら、プロジェクトがうまく進まなかっただろうと思います。すべてにおいて「クリエイターファースト」のお考えが徹底していることにも感銘を受けました。
パワープレイス株式会社
西日本デザインセンター 大阪デザイン部 部長 山室 光弘
京都オフィスを拠点とした「カカリアスタジオ」でゲームの開発・運営を行っているHappy Elements様。「MAKE THE WORLD HAPPY」をビジョンに、「ゲーム」を通じた喜びや感動をお届けすることで、たくさんの人にほんの少しでも幸せを感じてもらうことを目指されています。社名が示す「幸せのもと」は、一緒には働く仲間やユーザーの皆様、そして社会全体に向けての思い。熱狂的に愛されるコンテンツを継続的に生み出し、育むことに情熱を注いでいるクリエイター集団として、ますますの成長が期待されています。
Happy Elements株式会社 企業サイト※記事内容や役職等は取材当時のものです。(2023年2月取材)