今回はワークスタイル変革のプロセスでよく使われる手法のひとつであるアンケート調査についてお話ししてみたいと思います。
ワークスタイル変革の過程では、変革リーダーや推進者が社員の意識や意見をしっかりと把握することが必要となる局面が数多くあります。そのような時、ワークショップやグループインタビューを開催したり、個別のヒアリングを行ったりするのですが、大きな組織ではどうしても限られた代表者の意見をもとに全体を推し測ることにならざるを得ません。それを補うものとして、アンケート調査がよく使われます。アンケート調査で広く全体の傾向を掴み、グループインタビューやヒアリングで深く要因を探る、あるいはワークショップで仮説をつくり、アンケート調査でその妥当性を検証する、といった組み合わせにより相互補完する訳です。
アンケート調査は、意識調査、課題調査、ニーズ調査、感触調査など様々な目的で使用されます。また回答方法も、択一選択、複数選択、優先度記述、自由記述など多くの手法が使われます。重要なことは、どのような情報を得る、あるいは判断するために調査を行うのかという調査目的を明確にして、その目的に対して最も相応しい設問や回答手法を考えることです。別な言い方をすると、どのような判断をするためにどういった分析を行うのかという事後の扱い方を検討したうえで、調査紙(回答フォーマット)を設計することと言えます。
またアンケート調査はあまり頻繁に行うことは望ましくありません。似たようなアンケートが度々行われると、回答する社員の負担感や忌避感が強くなる恐れがあります。従って、ワークスタイル変革のフレームワークをつくるときに、どの時点でどのようなアンケート調査が必要になるのかを、あらかじめ計画しておくことが重要となります。くれぐれも、思いつきでアンケート調査を行って、「これを忘れていた」「ここも聞きたい」といった感じで短い期間で何回も調査を繰り返すようなことは避けるべきです。
よくあるのが、複数の委員会やワーキンググループでテーマを分担して進めているプロジェクト体制の時に、それぞれのチームから個別にアンケート調査を行ってしまうことです。調査サイドは1回と思っていても、回答者からみると次々と何回もアンケートに答えさせられることになります。このような場合は、事務局がとりまとめて調査を統合し、回答回数やタイミングを整理することが重要です。
アンケート調査では、何を目的にどのような調査を行うのかを決める「調査企画」、どのような分析を行うためにどういった設問や回答方法を用意するのかを考える「調査設計」がとても重要です。せっかく多くの社員の生の声を聴くのだからより大きな成果を出したいと思われたなら、ぜひ専門家にお声掛けください。