季節は入梅を迎え、夏へとまっしぐらに進んでいます。梅雨の時期は、じめじめと鬱陶しく、多くの人にとって嫌な季節かもしれません。しかし、そんな季節を逆手にとって、インドアであるオフィス空間の居心地を良くして、快適に働ける職場づくりを考えてみるのはいかがでしょう。ちょうど春から夏に至るこのシーズンは、草花がまさに百花繚乱となる時期です。オフィスを花でいっぱいにして、気分を一新するのも手かもしれません。
オフィスに植栽を置く光景はめずらしくありません。受付や接客スペースには生花を活けてあるケースもあるでしょう。屋内の植物は、空間に潤いを与え、私たちに安らぎや快適感を提供してくれます。これは、自宅のリビングであれ、オフィスであれ、変わるものではありません、ただ、オフィスが自宅と違うのは、その樹木や花の手入れを、誰が行うのかという点です。多くのオフィスでは、植栽の手入れは決まった担当者や専門業者に任せていることが多いと思います。
効率性や植栽のメンテナンスという視点では、それは間違いのない方法だと思います。ただ、生き物である樹木や生花とやりとりをする喜びは味わえません。ちょっと発想を変えて、各職場に社員が自分たちでメンテナンスをする植栽を置いてみてはどうでしょう。面倒をみるひとと、見ないひとが出てくるかもしれません。当番制を割り当てられて「この忙しいのに…」と苦情を言うひとが出てくるかもしれません、なかには枯らしてしまう職場もあるでしょう。しかし、植栽の手入れというちょっとしたことでも、自分の仕事場を自分たちで居心地が良い場所にしていくという行為は、職場の風土を変えるきっかけになる可能性があります。
実際に、働き方変革の施策のなかで、参画意識の醸成策として書類の廃棄や職場の整理整頓といった活動とならび、この植栽のメンテナンスが登場することがあります。これらはクイックヒット施策と言って、さほど大きな成果は期待できないが、やろうと思えばすぐできて成果が実感しやすい取り組みとして登場するものです。クイックヒットで変化を実感することにより変革の土壌を作ったうえで、重点施策に取り掛かるといった方法を採る際に議論されるものです。クイックヒット施策は数多くありますが、植栽のメンテナンスは、簡単なことだけに、参画を醸成しやすい職場か大変な職場かを判断するための解りやすい「リトマス試験紙」と見なすこともできます。
まあ、梅雨空のもとでも居心地よく過ごす、というテーマの話ですので、そんな方法論的な話は横に置き、オフィスを植栽や花々で埋め尽くし、職場の仲間を笑顔にする、なんてことを企んでみてはいかがでしょう。