本年もどうぞよろしくお願いします。昨年は、働き方変革の3つの切り口である「Knowledge」(情報や知識の扱い方)、「Organization」(組織の風土)、「Process & Communication」(プロセスとコミュニケーション)という視点から「働き方」について考えてみました。新しい年を迎えたことですし、このコラムは月1回の更新ですので、今年は雰囲気を変えて月々の季節感をテーマに「働き方」について考えてみたいと思います。
1月といえばお正月。日本の多くのビジネスパーソンにとって年に数回の長期のお休みの機会です。今年はカレンダーの関係で9日間の休日を取られた人も多かったのではないでしょうか。9日間というとずいぶん長い休みのように感じますが、今回はより長い休暇、いわゆるバカンスについて考えてみたいと思います。せっかく正月気分から抜け出しエンジンがかかった時にバカンスはないだろう、とお感じになるかもしれませんがご容赦ください。
このテーマは、以前別なコラムでも書いたことがあるので、タイトルを「再び…」とさせていただきました。お時間がある時に、そちらのコラムもご笑覧ください。
⇒以前のコラムをご覧ください
そのコラムでも触れましたが、もう20年以上前ですがカリフォルニアの米国企業で働いていた時に、とても面白い光景を目にしました。それは、年に1度の長期休暇の順番や期間を決めるミーティングです。皆、一月近く休みますので、同じプロジェクトのメンバーの休みが重ならないように調整するわけです。同僚たちは皆、そのミーティングにはどんな会議より真剣に臨んでいたと思います。
いざ休暇を取る段になると、1週間前くらいからクライアントとの調整や社内の引継ぎで慌ただしくなります。そして休暇に旅立っていき、数週間後にちょっとしたお土産とともに職場に復帰します。2,3日もすると、何事もなかったような日常に戻ります。若い社員も幹部も、皆こんな感じで、とても自然に長期休暇を楽しんでいました。
なぜ、私たちにはなかなかハードルが高い長期休暇が、このように日常的に運用できるのでしょうか。それはご想像の通り、仕事の構成や役割分担の明確化、仕事のプロセスの可視化、ドキュメントやデータの共有、ビジネスパートナーとの接点の複数化といった、いわば仕事全体の整理ができているからに他なりません。すなわち「バカンスが取れる働き方」ができているからです。
「バカンスが取れる働き方」の効用は長期休暇だけではありません。退職や異動時の引継ぎや新しいメンバーを迎えたときのオリエンテーションもスムースですし、何より、プロセスが整理・可視化されているのでムリ・ムダ・ムラが少ないとても効率的な仕事が実現できています。
最近「時短」というテーマがよく話題になりますが、残業を減らすという目標だけではなく、いっそ全員1か月の長期休暇を取る、ということを目標にしてはいかがでしょう。「何を夢みたいことを言っているんだ」と笑われるかもしれませんが、残業を減らすために労働時間を1割削減するということでしたら小さな改善の積み重ねでも可能かもしれませんが、1月の休暇のためには「働き方」を根っこから変えなくては難しく、まさに「変革」の良い目標となるのではないでしょうか。
新年早々、夢のような話をしてしまいましたが、この夢を実現できるよう、働き方変革のご支援をしていきたいと思います。では本年もどうぞよろしくお願いします。
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