はじめまして。
知的生産性研究所は、クライアントのワークスタイル変革を支援するコンサルティング・サービスをご提供しています。このコーナーでは、私たちコンサルタントが、いろいろな変革の現場で経験してきたこと、学んできたことをもとに、「働き方」の変革やそのための「働く場」の整備に関するトピックスをご紹介したいと思います。
第1回目は、日ごろあたりまえに使っている「働き方」という言葉について考えてみたいと思います。最近いろいろな場面で「働き方」あるいは「ワークスタイル」という言葉を聞く機会が増えてきました。トレンド雑誌に「ワークスタイル」という言葉が当たり前のように出てくるなど、30年近くこの言葉と付き合ってきた私から見ると隔世の感がありますが、それだけ「働き方」に対する一般の関心が高まってきたということでしょう。
これは、ICT(情報通信技術)の進化により仕事の仕方がどんどん変わってきた、ビジネススピードが加速し生産性が高い「働き方」を考えないと仕事が追いつかない、ワークスタイルが多様化し自分も「働き方」を変えることができるかもしれないという機運が生まれてきた、などいくつかの理由が考えられますが、いずれにせよ「働き方」に対する関心が高まっているということは間違いないと感じています。
ただ、この「働き方」あるいは「ワークスタイル」という言葉はとても広い意味を持っていて、ワーカー個人の視点で語られている場合、経営改革の視点で語られている場合、ICTやデバイスのユースケースのなかで語られている場合など、文脈によって様々な解釈で使われています。
このような広義な言葉ですので、企業の中で「働き方」変革という表現を使うときには注意が必要となります。「働き方」とは何を指すのか、どこまで含んでいるのか、といった言葉の解釈を共有しないと、お互いに解ったつもりで実はまったく噛み合っていないコミュニケーションになってしまいます。
私たちも、コンサルタントとして「働き方」変革のお手伝いをするときは、クライアントや関係される方々が、どのような想いや意味を込めて「働き方」や「ワークスタイル」という言葉を使っているかを必ず確認するようにしています。プロジェクトに関わる方々が異なる想いを込めてこれらの言葉を使っていることも多いため、言葉の定義の共有からスタートすることも多くあります。
逆に、その言葉の定義や共有のプロセスで、「働き方」変革に関わるメンバーの相互の理解が深まったり、経営者や変革リーダーの想いが共有出来たり、といった成果を生むことも多いです。
「働き方」変革を考えてみようと考えている方々には、ぜひこの「働き方」という言葉に込めた意味を考えてみることをお勧めします。