早稲田大学 様 コラボレーションの場の構築 事例紹介

次世代リーダーを育成する「工房」という名の舞台。

課題:
コラボレーションの場の構築
業種:
大学
文部科学省の「平成25年度博士課程教育リーディングプログラム」に採択された早稲田大学の「実体情報学博士プログラム」。同プログラムは、産官学にわたりグローバルに活躍するリーダーを育成することを目的としており、その「学びの場」として2014年4月にオープンした「工房」では、現在、20数名の大学院生たちが、それぞれの専門分野を超えたコラボレーションを展開しています。内田洋行は、「工房」づくりを支援させていただき、オープン後も、工房での活動が研究の成果に繋がっているかを評価することをお手伝いしています。
お客様の課題
  • ・ 「工房」が、自然発生的にコラボレーションが生まれる舞台になること
  • ・ 「工房」での活動が研究の成果に繋がっているかを客観的に評価すること
UCHIDAの支援
  • ・ 「シーンメイキング®」手法による工房での活動の「在りたき姿の抽出」
  • ・ 「Change Working 戦略マップ®」の応用による「評価方法の確立」と「評価の実施」

ポイント紹介

そして自然発生的なコラボレーションが生まれ始めた

内田洋行がプロジェクトに参画した2013年の秋には、SF映画に出てくる作戦司令室など、いくつかの「工房」のイメージがすでにつくられていました。しかし、イメージをそのまま空間設計に落とし込んでも、コラボレーションが自然発生するわけではありません。そこで、「シーンメイキング®」という手法をご提案し、異分野の人々がコラボレーションするためには、どのような活動が求められるかをテーマにワークショップを開催しました。例えば、「機械系の学生が実験をしていたら、それを情報系の学生が見て自分の研究の参考にする」など、「工房」で起きることが望ましい活動を洗い出していったのです。

2014年4月、工房がオープンすると、学生が自由にプロジェクトを立ち上げたり、お互いにプレゼンテーションをしてディスカッションをしたり、自然発生的にクリエイティブなコラボレーションが生まれ始めました。次世代リーダーが育つ舞台として「工房」は機能し始めたのです。

今後の課題は、評価方法の確立

「工房」は今までにない場所ですから、その評価についても、確立された方法論はありませんし、客観的な評価方法をつくり上げていくことは容易ではありません。しかし、「工房」の存在意義をアピールするには、第三者に対して説得力のある説明材料が必要になります。

私たちは、「Change Working 戦略マップ®」を応用して、客観的な評価方法の確立に取り組んでいます。例えば、情報の共有化が図られているかを評価するために、「工房」の情報共有システムにアップロードされた情報の数を評価指標として設定しました。また、コミュニケーションが活性化できているかを評価するために、ディスカッションがどれだけの時間行われているかだけでなく、誰と誰がディスカッションをしているかなど、少し踏み込んで設定した評価指標もあります。

ご担当者様の声


早稲田大学
創造理工学部長・創造理工学研究科長
総合機械工学科教授・工学博士
菅野 重樹 様

「工房」は、ハードウェアなど機械系のセンスと、ネットワークやプログラムなど情報系のセンスを融合させ、モノを実際に機能させることを目的とする「実体情報学」を実践するための舞台であり、研究やビジネスの第一線でイノベーションを起こせる人材を育成することを目的としています。機械系と情報系の学生を集めてクリエイティブなコラボレーションを自然発生させることができれば、お互いにより広い視野を持つことが可能になります。そのためには、今までにない空間をつくりあげる必要がありました。

担当コンサルタントの声


株式会社内田洋行
知的生産性研究所
井口 泰幸

一般的に「Change Working」を取り入れる場合は、「ありたき姿」を描き、ハードルとなる問題を特定し、それを解決するための課題を設定して、施策を実施するというスタイルが多くなります。しかし今回は、「次世代リーダーを育成する」という発想が出発点にあり、そこから「コラボレーションが自然発生的に生まれる舞台」という「ありたき姿」をつくっていきました。「工房」の「ありたき姿」は通過点であり、ゴールではありませんから、継続的に評価を行うことで、今後も「ありたき姿」をバージョンアップしていく必要があると考えています。

(2015年4月取材)

お客さまについて早稲田大学 様

コラボレーションの伝統

1980年代、早稲田大学では、4つの研究室が1つの部屋に集まり、鍵盤楽器演奏ロボットの開発に取り組んでいました。早稲田大学は、研究室や学科の壁が低く、自由にディスカッションし、コラボレーションを行える文化があります。当時、機械工学科の博士課程の学生として、このプロジェクトに参加されていた菅野教授は、電気工学科など分野の異なる人々と交流しながら共同研究を行うことで、機械や情報といった技術を単に組み合わせるのではなく、融合することが重要であるという経験を得られました。「工房」は、このときの経験がもとになって生まれたものです。

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