第10回 継続こそ命

2012/3/28

IBM戦略コンサルティンググループの大池です。
これまで、より生産性を高め、創造性を発揮できる働き方とはどんなものか、またそれを実現するには何を変えたらよいのかについてITの活用面も含めて述べてきました。今回は10回目のまとめとして、実現に向けたアプローチについて触れておきたいと思います。

最近企業がその価値観やDNAをどうやって社員に浸透させ、行動につなげてゆくか、またグループや海外も含めて、その行動特性をどうやって共有するかという観点でWay Managementと言われるものが注目を集めるようになってきました。行動の源泉となる価値観や理念がぶれていなければ大きな価値を顧客に提供し続けられ、社内のリーダー育成にも寄与するというものです。

ここで重要なのは、そういった行動を言われたからするとか、頭だけで理解しているとかではなく、自然に体現できる、そして継続していけるということです。“腹落ちする”とも呼びますが、頭だけで理解するのではなく、身体で納得するというイメージです。

よく西洋医学と東洋医学の違いに例えるのですが、生産ラインの改善活動やQC活動では具体的な課題と処方箋が明確で、風邪で熱があるなら解熱剤を服用するというイメージに近いかと思います。一方で働き方を変えるというのは実践してみないと具体的な成果が実感できない、または第三者に情熱を持って説明することができないという側面があるかと思っています。まさにヨガや漢方、セラピーのような東洋医学的な性質を持ち合わせています。自ら体験して、効果を実感して、ようやく納得できる。腹落ちしないと行動変容までは至らない、しかしそれを実感できると非常に大きな効果を発揮するというものです。
そのためには組織としてリーダーのコミットメントが重要になるのと同時に、ボトムアップ的なアプローチも極めて重要になります。方向性はトップダウンで明示しつつ、具体的な施策や進め方はボトムアップで検討してゆくというものです。

トップダウンだけでは腹落ちしないし、ボトムアップだけだとつぶされてしまい、継続性が損なわれてしまうということだと思います。特に働き方を変えるというのは、その継続性が非常に重要です。お祭り的に短期間だけできても意味がないからです。そのためには最初から無理せず50点でもよいから継続すること、愚直に繰り返し文化や風土として定着させることです。言うは易し行なうは難しですが、まず最初の一歩を踏み出しましょう。 継続こそ命だといっても過言ではありません。

皆様それぞれの職場において、より付加価値の高い働き方を見出せるよう願ってやみません。これまで読んで頂き、誠にありがとうございました。
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