第9回 ソーシャル・ビジネス(続)

2012/2/27

IBM戦略コンサルティンググループの大池です。
最近注目されるようになってきた企業向けソーシャルウェアの活用について考えてみたいと思います。それは従来のコラボレーションのあり方を進化させる側面もあるからです。

実際にソーシャルを活用して電子メールの無い世界に生きようとしている人もでてきています。
米国IBMソーシャルメディアチームのある社員は2008年2月から電子メールをほとんど出さなくなりました。彼は電子メールが完全に廃止されるとは思っていませんが、4年目になる実験の結果、自分の生産性は上がったと認識しています。彼の受信箱は98%削減されたとのことです。ほとんどの仕事は現在オープンな形で行われていますが、それには効率的という以上の意味があると語っています。コミュニケーションがよりよい質のものになるからです。

多くの場合、返事が必要なメールにはソーシャルメディアで返事してTwitter, Google+またはLotus Connectionsで話をしたほうがうまくいくと提案しています。コミュニケーションをオープンにするほど時間はかからなくなるということです。質問してきた人物は他の人からも回答を得られる場合も多いし、その回答は公開されているので他の人も読むことができます。社内電子メールの使われ方には戦略的bccや隠蔽工作的なメッセージなど受動的な攻撃性があるとも言われています。逆にコミュニケーションを透明化しオープンに公共化してゆくことで同僚からの信頼を得ることができるのです。彼は電子メールにかける時間が減った結果、ほかの事をする多くの時間を捻出できました。

また、独Volkswagen社は職員の一部について、就業時間外はBlackBerryで電子メールにアクセスできなくすることを明らかにしました。

電子メールに依存しすぎてメールの洪水との格闘を24時間強いられることも珍しくなくなってきた現在、どれだけコミュニケーションの質は改善できたのでしょう。どれだけ創造的な時間を確保することができているのでしょう。
もしかしたら電子メール自体が時代遅れになる日もそう遠くないのかもしれません。

いかがでしょう。企業向けソーシャルウェアの活用がコミュニケーションのあり方も変えてゆきそうです。
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