第5回 働く意識変革(2)

2011/8/24

IBM戦略コンサルティンググループの大池です。
さて、前回に引き続き、初めて社長にプレゼンテーションをする機会を得た際の出来事です。必要な資料や参考データを用意し、きれいに印刷・製本して準備万端で臨みました。
しかし紙の資料を配布して説明するつもりでいたため、プロジェクターでスクリーンに映して説明する準備はできていませんでした。結局つぎはぎ的に資料を投影して説明したのですが、全く説得力に欠けてしまい大失敗に終わりました。緊張と混乱で何をどうしたらよいのか分からなくなってしまったのです。

冷静に考えてみると、以下のような考えに囚われていました。
まず紙の資料で説明するのが、分かりやすいし、書き込めるし当たり前だという認識。
それからそもそもペーパーレスというものが、なんのためのコンセプトでどう対応すべきなのか理解できていなかったのです。例えば普通の会議を電話会議にしようと言っても、そもそも電話会議用にアジェンダを考え、資料の作り方、意思決定の方法を変えていかないと、単に非効率でストレスをフルな会議が増えるだけになってしまいます。
プレゼンテーションについても同様のことが言えます。報告なのか、情報共有なのか、意思決定を行いたいのかで、説明の手順やポイントが変わってきます。また後々の情報共有の効率化や場所を越えた情報活用、新たな価値の創生を考えるとデジタル化、ペーパーレス化は避けて通れないことになります。

しかし、頭では分かっても人間なかなか行動に移せないものです。A4資料で仕事をする文化に長く浸ってきたわけで、紙の持つメリット、つまりいつでも見たいページが確認できる、気づいたことを記入して保存することができる。さらにバインダーに綴じることによって、いつでも確認できポストイットなどを貼ることができるといった長所が実は多くの弊害をもたらしているということに意識が向かないからです。
もっと言ってしまうと働き方そのものに対するこだわりです。紙の資料が増え、バインダーの数が増えることに気づかないところで達成感や仕事をしているというアピールにつながっていたのかもしれません。努力は時間に比例し、それはアウトプット、つまりA4資料の作成量につながる、それが結果的には仕事の成果、評価につながると錯覚していた気もします。

次回は生産性、創造性を高めるために何を変えてゆくべきなのか考えてみたいと思います。
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