第4回 働く意識変革(1)

2011/7/19

IBM戦略コンサルティンググループの大池です。
猛暑の日々が続きますが、前回に続き働き方に関する意識変革について考えてみたいと思います。よくある誤解として、1)努力と結果は直接に比例関係にあるものだ。2)仕事の量が質よりも大切だ。3)権限委譲はしないほうがよい。といったことを紹介しました。
今回はそれらの呪縛からどう解放されるべきなのかについて考えてみます。

私にとっての転換期は、やはり長くオフィスにいて仕事していることが美徳だと思い込み、過労で会議中に倒れてしまったことが大きかったと思います。
気がつくと病院で点滴を受けていたのですが、結局そこまでやって何を守りたかったのか、何を失うことを恐れていたのか、全く分からなくなってしまったのです。
結局、自分の自己満足的なことばかりで、組織・チームから見ればたいした価値を提供できているわけではないなと。であれば、限られたビジネスマンライフを少しでも改善し、楽しめる仕事の仕方があるはずだと思うようになりました。

働く場のあり方を考え直し、そこで働く人の意識も変革をしてゆくべきなのだろうと思い始めました。ちょうど新しい会社に転職して環境も変わり、まさに働き方を変えるには絶好のタイミングだったように記憶しています。
そこではデジタルオフィスというコンセプトのもと、ペーパーレスにも取り組んでいる最中でした。今まで大量の紙やファイルに囲まれて、それを心地よく感じ、デスクで煙草を吸いながら企画を考えるというのが当然のスタイルだった自分にとっては戸惑うことばかりだったのです。

今でもとても印象的に覚えていることがあります。初めて社長にプレゼンテーションをする機会を得ることができたときです。ほとんど徹夜でプレゼン内容を考え、必要な資料や参考データを用意し、きれいに印刷・製本して準備万端で会議室で待っていたのです。
当然自分のPCにそれらのデータは保管されていましたが、卓上の資料をベースに必要なところだけリクエストがあれば写せるようにしていたので、全部をひとつのパワーポイントにはしていませんでした。そこに社長が入ってきたのですが、プロジェクターのスクリーンを見つめるだけで印刷物は見ようともしません。印刷した資料を説明しようとしても、そんなものは要らないから、ポイントだけをプロジェクターに映して説明しろと言われ、緊張と混乱で自分でも何をどうしたらよいのか分からなくなってしまったのです。
(次号につづく)
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