第2回 これからの働き方~震災からの復興・再生支援
2011/5/17
IBM戦略コンサルティンググループの大池です。
今回のエッセイでは、これからの働き方のイメージについて、3/11の震災からの復興・再生という視点も交えながら、話題と論点を提供してゆきたいと思っています。
さて、震災だけでなく緊急時でも機能する働き方やコミュニケーションのあり方とはどうあるべきなのでしょうか。
迅速な安否確認だけでなく働き方そのものの見直しが求められているように感じます。オフィスに出勤し、仕事を行うことが困難な状況下においても、業務の継続性を高めるためには働き方の変革を通じたより柔軟な業務形態を実現することが必要になりそうです。単なる在宅勤務という視点だけでなく、業務の生産性向上やワークライフバランスの推進に貢献する本格的な働き方変革の実践が求められてくるのではないでしょうか。
さて、一言で働き方の変革と言っても、様々な観点がありますが、ここでは以下の4つの視点からのアプローチを考えてみます。
1.働き方に関する社員の意識変革の促進
在宅勤務を含めた新しい働き方を定着させるための意識改革・制度改革を実践していきます。ここでは在宅勤務制度のガイド・ルールの整備だけでなく、人事制度や管理プロセス、ITインフラなどの設計も含まれてくるでしょう。また、勤務環境を円滑に移行し、社員が不安を感じずに業務を続けていくためにきめ細かい情報提供も欠かせません。
2.遠隔地同士のオンライン会議等を含めた会議の抜本的効率化、削減
従来の会議をそのままの形で電話会議やWebカンファレンスでやるだけでは効果がなかなか出せません。会議のペーパーレス化やオンラインを前提とした場合に会議の進め方はどう変えていくべきなのでしょうか。双方向コミュニケーションが効果的に行える仕組みの構築が求められます。また、業務生産性を高めていくためには各種ツールの使用スキル向上や会議プロセスの可視化、ルール化なども有効と言えます。
3.働く場所の分散化によるリスク低減
ワークスペース・オフィスデザインの見直しによるリスクの分散化を図ります。自宅などのオフィス外からでも、インターネット経由で社内システムにアクセスし、通常業務を安全かつ円滑に行えるIT基盤が必要となります。オフィス外から社内システムを利用する際の仕組みの整備も求められるでしょう。
4.分散した各拠点のコラボレーションの促進
コミュニケーションやコラボレーションの仕組みを刷新して、活性化させる取り組みを実践します。
これらの視点を通じて、働き方の最適分散化と論理統合化が求められているとも言えそうです。次回はさらにこれを深堀してみたいと思います。