第1回 はじめに

2011/4/20

はじめまして、IBM戦略コンサルティンググループの大池と申します。私の方では 企業を取り巻くインフラや環境がどんどん便利になってきたなかで、そこで働く社員の「働き方」という側面に焦点を当ててみたいと思います。

従来、オフィスというと社員が集まり日中の多くの時間を過ごす場であり、いるのが当たり前の場所というイメージが強かったのではないかと感じています。 しかし、日本企業のグローバライゼーションが加速し、イノベーションが益々求められるなかで、その中心にある社員の動き方、働き方はどう変わってゆくべきなのでしょうか。

イノベーションは、どの企業にとっても生命線です。イノベーションによって、効率が高まり、新しい技術やサービスの開発が促進され、新たな価値が創造されます。しかし、イノベーションは、企業としての能力、経験、集合知の総和とも言えるものです。新たなアイデアや知恵、知識を持つ人財をどれだけ保持し、生き生きと活動してもらえるかが、企業としての競争力、革新的な優位性を維持するためには欠かせません。 組織を超えて、また地域や国を超えて、人を結びつけ、組織横断的にアイデアや情報を共有し活用することの重要性は明らかですが、組織間の壁や言葉の壁等によってなかなか進んでいないというのが現状ではないでしょうか。

従来の、単に居ることが大切な場所(House of employee)といった考え方から、より社員の創造性を発揮させるべき場所へ、またより社員のコラボレーションやネットワーキングを加速させるべき場所へ変遷してゆくのではないかと考えています。 そうなってくると必ずしもオフィスは常にいなくてはならない場所という概念から開放され、外にいても、集まらなくても普通に仕事ができる、より生産性の高い働き方ができるといった形になってゆくのではないでしょうか。 そのためには、企業としての風土やそこで働く社員の意識変革といったものも問われてくるかと思います。

私のエッセイでは、これからの働き方のイメージについて、今回の震災からの復興・再生という視点も交えながら、話題と論点を提供してゆきたいと思っています。 今後とも、どうか宜しくお願い致します。
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