2011/9/20
内田洋行知的生産性研究所の平山です。ようやく朝夕秋の気配を感じる季節になってきました。猛暑の中、通勤ラッシュに揉まれ、炎天下、営業に走り回るビジネスパーソンにとっては、やっと一息つけるシーズンです。しかし、夏が大好きな子供たちや、そんな子供ごころを無くしていないオトナに取っては、一抹の寂しさを感じる季節とも言えるでしょう。
私もそんなオトナの一人と自負していますが、この祭りのあとの侘しさとも似た季節感は嫌いではありません。それは季節に限らず我々の生活には祭事と日常があり、日々の暮らしがあるからこそ祭りの高揚が際立つ、という経験を繰り返しているからだと思います。いわば「ハレとケ」の時間軸が染み付いた経験知によるものと言えるでしょう。
このケ・ハレの関係は私たちのワークスタイルにも当てはまると思います。ビジネスのハレの舞台である大きなイベントやプレゼンテーションの前後では、関わっているメンバーのテンションやモチベーションの様相も大きく違うかもしれません。心血を注いだプロジェクトの後、無事に難関を乗り越えた達成感とともに、終わってしまったという虚脱感を味わった経験を持つ人も多いと思います。
そんな振幅が大きなものだけではなく、日常の仕事のなかに小さなケ・ハレを盛り込めないか、それが「サザエさん症候群」が決して嫌いではない私の興味のひとつです。そういう視点で見ると、ワークプレイスのデザインや情報システムの運用にも、これはケ・ハレをうまく活かしているなあ、と感じられるものも少なくありません。
四季を持ち、季節の移ろいを感じることが出来る日本の風土だからこそ、「ハレとケ」という概念が育ったという見方もあるそうです。せっかくの古人からの知恵ですので、ややもするとただ忙しいだけで流れていくビジネスの時間軸にメリハリを与える「方法」として、祭事的時間、祭事的空間を盛り込んだ「ハレとケ」の活用を考えてみる、というのはいかがでしょう。