2011/8/24
内田洋行知的生産性研究所の平山です。まだまだ残暑が厳しい毎日ですが、皆さんいかがお過ごしですか。厳しい電力状況の中で、節電と快適性のバランスに苦労されているファシリティのご担当者も多いことかと思います。しかし、苦労の甲斐もあり、もう一息でなんとか夏を乗り切れそうです。
この夏は、あちこちで節電をしながら涼を取るための工夫が見られました。夕方の打ち水や、昔懐かしい葦簀(よしず)も、ずいぶん見る機会が増えたように感じます。家庭用扇風機が品切れになってしまったのも、エアコンの利用を少しでも控えようというトレンドの現われでしょう。
ワークプレイスで増えたのがUSB接続の小型扇風機。ちょっと前までは「おたくグッズ」(失礼!)的なマニアックな雰囲気を持つツールでしたが、今年は一気にコモディティとしての地位を獲得したようです。
この光景を見て思い出したのが、ずいぶん前に研究した「タスク&アンビエント空調システム」です。これは、「タスク&アンビエント照明システム」同様の考え方で、全体空調を控えめにセットし、パーソナル空調で個人環境をサポートすることにより、個々人の体感温度の違いに対応した快適性と省エネルギーを実現しようという試みでした。コンセプトは素晴しかったのですが、実際に導入するとなると当時の技術ではインプリメンテーションに無理があり、実用化には至りませんでした。
このシステムに限らず、概念は良いのだけど、タイミングが早すぎて技術的に無理があったり、ニーズが顕在化していないといった理由で「お蔵入り」になってしまったアイデアは結構あるかもしれません。「タスク&アンビエント照明システム」も、今ではあまり珍しくなくなってきましたが、少し前までは日本では普及しないだろうと考えていた人が多かったと思います。USB扇風機から一気に飛躍するかもしれませんが、今回のエネルギー危機がきっかけとなり、快適性と省エネを高度にバランスするソリューションの研究が加速すると素晴らしいですね。