2011/6/14
内田洋行知的生産性研究所の平山です。今年は例年より早く、関東地方は早くも入梅してしまいました。梅雨は、じめじめと蒸し暑く、特に外勤が多いひとにとっては嫌な季節です。ちょっと視点を変えて、少しでも雨を楽しむ方法は無いものでしょうか。
以前、プロジェクトでシアトルによく出張していた時期がありました。シアトルは米国西海岸の都市ですが、ここを舞台にした映画の中でメグ・ライアンさん演じるヒロインが「シアトルは年に9ヶ月も雨が降るのよ」という台詞を云っていたように、とても雨が多い街です。
よく通ううちに気づいたのですが、シアトルのオフィスはどこも窓が大きく、雨の日はブラインドを全開にして外の景色を楽しむのです。低層階のオフィスでは雨に濡れて色鮮やかになった木々の緑を、高層階では雨に煙る街を行く車のテールランプを、オフィスを構成する風景の一部として楽しみます。
考えてみると、晴れた日の午後の南西に面した部屋では、とても外の景色を楽しむなんてことはできません。雨だからこそブラインドを全開にできるのでしょう。色彩計画や照明計画の世界では北窓昼光という言葉を使うことがあります。これは直接日光が差し込まない北側に面した窓からの光を、演色性を測る基準とするという考え方です。直接の日差しは明るく暖かく力強いですが、間接的な陽光はやさしく美しく繊細であるということでしょう。
「南向き」という言葉に表されるように、日本の家屋では直接の日差しを大事にする傾向が強いですが、北窓昼光や雨の日の光といった、弱いけどやさしい光を大切にする生活も面白いかもしれません。いかがでしょう、雨の日はオフィスのブラインドを全開にして、外の風景を楽しんでみては・・。