セミナーレポート

ワークスタイルと将来の働き方に関する調査研究から見えてきた、従業員満足度を高める未来のオフィスづくり

2024年09月12日

Steelcase 出社率の向上を妨げる要因 変化するウェルビーイングの定義

従業員満足度を高める未来のオフィスとは?
世界的オフィス家具メーカーSteelcase(スチールケース)は、専門の調査研究チームを有し、ワークスタイルや未来の働き方に関するリサーチを得意にしています。最新リサーチをもとに、社員のウェルビーイングを実現するオフィス環境作りについて語っていただきました。

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2024年7月1日~3日に開催した「UCHIDA FAIR in 名古屋」における、スチールケース社のセミナー「Future Work Space」 をセミナーレポート形式で紹介します。

※スチールケース(本社:米国ミシガン州)は1912年に創業された世界最大のオフィス家具メーカーです。

講師



Steelcase アジアパシフィック
社長
Peter Lewchanin 氏




Steelcase ジャパン
セールスディレクター
Robert Lau 氏

世界的オフィス家具メーカー Steelcase社による「フューチャー・オブ・ワーク」調査結果の発表

Steelcase は、1912年の創業以来100年以上の歴史を持つ老舗のオフィス家具メーカーです。世界中に12の製造開発拠点を擁し、グローバルに展開しています。専門の調査研究チームを有し、ワークスタイルや未来の働き方に関するリサーチを得意にしています。そこで得られた知見を活用して様々なブランドとパートナーシップを締結し、広い分野でワークスペースの構築に取り組んでいます。
内田洋行は、1995年に Steelcase と販売提携を結び、日本国内での販売を開始しました。
以来、強力なパートナーシップのもと、エルゴノミクスチェアや高品質なデスクシステムを中心とした Steelcase の魅力的な商品の数々を日本のお客様にお届けしてきました。

セミナー前半では、Steelcase アジアパシフィック社長の Peter Lewchanin 氏が、「フューチャー・オブ・ワーク」に関する各国の調査結果について発表しました。

ワークライフバランスは年々低下傾向
経営層と従業員の間で満足度に大きな差

我々が調査を開始する際には、必ずセントラルクエスチョンを掲げており、今回は「職場でのJOY(楽しさ、豊かさ)を見つけることは本当にできるのか」をテーマに進めました。

その背景には昨今、職場環境におけるストレスが非常に深刻な状態になっていることがあります。
我々 Steelcase では、世界中から集まった約50名の博士で構成される研究部隊を有しています。今回の調査は2020年から継続的に進めており、現在までに約7万6,000人の従業員を対象に、日本を含む11カ国のデータが収集されています。

この調査により、ワークライフバランスに満足していると回答した割合が、グローバルの平均で見て明らかに低下していることがわかりました。
日本での調査結果に関しては、2023年時点で世界平均と比較して約10%高い値を示しています。低下傾向にはあるものの、日本では比較的高いワークライフバランスが保たれています。

コロナ禍により在宅勤務が増加し、定着しつつありますが、世界平均では依然として約66%の従業員が週3日以上出社しているという結果が得られています。
日本では11カ国の中で最も出社率が高く、7割以上の従業員が出社していることが明らかになりました。

また、経営層と従業員の間で、ワークライフバランスやウェルビーイングに関する満足度に大きな差が見られることもわかりました。従業員がワークライフバランスに不満を持っている割合は、リーダー層より16%も高くなっています。

出社率の向上を妨げる要因と、解決の糸口

下記の表は、出社率の向上を妨げる要因のトップパーセンテージを示しています。

例えば、42%の従業員が通勤時間が長いために出社を避けたいと感じています。通勤時間に関しては企業が直接影響を与えられる範囲は限られていますが、職場でのストレス軽減など企業が改善できる要因は他にも多く存在します。

従業員に「何があれば出社意欲が高まり、皆と一緒に働くことができるか」を問いかけたところ、次のような結果が得られました。これは世界平均のデータです。

1位…プライバシーの確保
2位…包括的なウェルビーイングをサポートする空間
3位…リアルとオンラインのミーティングを可能にするハイブリッドコラボレーションスペース
4位…電源へのアクセス
5位…テクノロジーが充実し、1人でこもれる空間


これらの要素が整っていることで、従業員の出社意欲が高まると考えられます。

セミナーの後半では、Steelcase ジャパン セールスディレクターの Robert Lau 氏が、今後のオフィススペースの構築において、どのような考え方や空間設計が必要かについて発表しました。

従業員のウェルビーイングを向上させるオフィスとは

我々は今後、働く環境が大きく変わると考えています。
今後のオフィス環境において、我々は「ネイバーフッド」というコンセプトを導入すべきだと考えています。ネイバーフッドとは、日本で言う「ご近所さん」や自宅周辺のコミュニティをイメージしています。具体的には、プライバシーが確保された空間を持ちながら、外に出てコンビニやスーパーに行ったり、図書館で学んだり、公園で遊んだりといった多様な環境が一つの空間に凝縮されていることを指します。

変化するウェルビーイングの定義と、それに対応するオフィス

これまでのウェルビーイングの概念は、身体的健康、精神的健康、そして安心して働けることを指していました。
しかし、ウェルビーイングの定義は変化してきています。
現在、我々が考えるウェルビーイングの定義として、次の6つを挙げています。

●働く意味 ●自己肯定 ●帰属意識 ●楽観的 ●思いやり ●バイタリティ


上記の画像は一見すると普通のオフィスのように見えますが、6つのウェルビーイングを実現する工夫が施されています。
自然光を取り入れることで健康的な働き方を促進したり、仕切りパネルを少し高めに設定することでプライバシーを確保したり、上下昇降デスクを使用することで健康を考慮したワーク環境を整えるなどの配慮があります。

共有スペースも多様なニーズに応じた空間作りが重要に

集中したい時やビデオカンファレンスを行う時のスペースも重要です。最近ではフォンブースの利用が一般的ですが、暗い環境では眠くなる人や、明るすぎる環境では集中しにくい人もいるため、多様なニーズに応じた空間が必要となります。
ビデオカンファレンスに関しては、従来のように四角いテーブルを囲む会議だけが全てではありません。


このスペースは、Microsoft社とLogitech社が共同でデザインした完全ハイブリッド用のミーティングスペースです。
現場にいる人とオンラインで参加している人が円滑に交流できるよう設計されています。例えば、長いテーブルの奥に座っている人がカメラから遠くて疎外感を感じることがないように配慮されるなど、公平に会議を行うことを意識した設計になっています。

また、最近人気があるのがソーシャルスペースです。自然の木材を使用した居心地のいい空間を作ると、従業員が自然に集まり会話を楽しむことができるなど、会社全体の一体感を高める効果があります。
このようなソーシャルスペースは今後ますます重要性が高まると考えられています。

職場におけるラーニングスペースの充実も重要です。弊社ではセミナールームでの学びはもちろん、ソーシャルスペースでの上司との1対1のミーティング、仕事仲間とのディスカッション、若手スタッフからの新しい視点の学びなど、様々な場面で学びの機会を創出しています。

離職率低下の鍵は「自己主張」と「自己肯定感」

デロイト社によるウェルビーイングと離職率についての調査では、自分の存在を自己主張できること、つまり自己肯定感が非常に重要であることがわかりました。
職場には、外交的でよく話す人や、内向的で話をしたくない人など、さまざまなタイプの人が存在します。すべての社員が会社の貴重な人材であり、才能です。そのため、多様な人々をサポートするための空間が重要です。
母親のための搾乳室や、ジェンダーレスのお手洗い、宗教に配慮した祈り室、さらにオールジェンダーの多目的ルームなども重要な要素です。

ジョブチェンジが激しい産業労働界で特に必要とされる多目的スペース

製造業や建設業などの産業部門で働く産業労働者は、世界的にジョブチェンジが激しいことが調査で明らかになっています。これを防ぐためには、多様なニーズに応えられるサテライトブレイクスペースの設置が重要です。休憩や軽食をとれる場所、人と会話や交流ができる空間、荷物を預けられるスペースなどです。贅沢かもしれませんが、アウトドアスペースの設置もおすすめです。

工場などにおいては、コラボレーションスペースの設置も効果的です。海外の異なる拠点と連携しながら問題解決を図るために役立ち、納期やコストに関する問題をリモートで解決するためのテクノロジーの充実が求められます。

年々増加傾向にある「プライバシー」と「デスク以外のワークスペース」の重要性

最後に、現在のトレンドについてご紹介します。近年、「プライバシー」を重視する傾向が強まってきています。また、デスク以外の働く環境、つまり Steelcase が提唱する「アンシラリースペース(補助的スペース)」の需要が増加しています。
Steelcase では、将来のスペースニーズが明確でない場合、小規模なパイロットスペースの作成を支援しています。自社ツールを活用し、従業員のニーズを探ると同時に世界平均と比較することが可能です。日本国内にも専門のスペシャリストが在籍しており、適切なソリューションを提供します。


弊社のウェルビーイングに関する最新のリサーチは、オンラインでもご覧いただけます。興味のある方は、ぜひ弊社ホームページのリサーチセクション(https://www.steelcase.com/asia-ja/insights-research/ ) にアクセスしてください。

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[2024.9.12公開]

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著者オフィス分野 コラム編集チーム
内田洋行オフィス分野のコラム編集チームです。オフィス空間づくりやオフィスデザイン、働き方に関するお役立ち情報やトレンド情報をお客さまにご紹介します。
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