昨年、内田洋行では、日本音響エンジニアリング社と大建工業社との協業で、日本音響エンジニアリング社の商品「Meleon」をベースとした、オフィスの会議室に向けた音響デザインの最適化ができるプロダクトを発表しました。
具体的には、柱状拡散体(AGS)と吸音体(Filler)の組み合わせの特性を踏まえ、会議室や、セミナー・配信ルームなどの閉じられた空間での利用を想定し、音環境の改善による、会議室の快適性を向上させることを目指しています。
一般的な会議室は、長方形のテーブルに対面で座り、短手にモニターとホワイトボードがある形式が多く見られますが、近年のオンライン会議室では、長方形や扇型(シェル型)のテーブルに、横並び又はハの字に座り、その正面に大型モニターと会議用のスピーカー、マイク、カメラが一体となったデバイスが置かれるという、今までとは違う形が現れてきました。
このような空間では、一般的な会議室で起きる音の問題と、オンライン用のデバイスの使用によって起こる音の問題に加え、会議室や配信ルームに必要な機器類を、どのように空間にレイアウトしていくかという問題についても解決する必要があります。
AGSとFillerは、部屋のどこに置くかでその部屋の音響特性が大きく変わるため、部屋の壁面への設置がある程度自由である必要があります。
また、先程の説明のようにオンライン会議をするためには、モニターやカメラ、マイクスピーカー等が必要なため、AGS+Fillerとそれらデバイスを壁面にどうレイアウトするか考慮する必要があります。そこで、それぞれを設置するための会議室のインフラとなる壁面棚のシステムをデザインしました。
このシステムの利用によって、AGS、Fillerの設置は、部屋や用途の音響特性に合わせ、後からでも置く場所を変更することができます。また、モニターの取付けや、デバイスの設置、それぞれの配線も、システム内で完結し、既存会議室の壁面への加工は最小限に抑えられます。
つまり、音響が良く快適な会議室の構築と、オンライン会議に必要な設備が常設された会議室へのアップデートを、同時にフレキシブルに行うことができるというものです。
AGSとFillerは一般的な棚のモジュールに合わせたサイズ設計をしているので、今回デザインした棚以外のオープンシェルフなどにも流用することが可能となり、今後は、会議室だけではなく、プロジェクトルームなど、様々な空間への展開も見据えています。