株式会社富士通マーケティング 様 本社・営業部門の働き方変革 事例紹介

第28回 日経ニューオフィス賞「ニューオフィス推進賞」 受賞

「変革は、社員の手の中にあって、初めて成されること。」オフィス移転を機会に実施した働き方変革。

業種:
ICTコンサルティング
2014年10月、本社移転に伴い4つの事業拠点を統合した株式会社富士通マーケティング。現在、品川インターシティの本社オフィスでは、約2,000名の社員が、部門を超えたフェース・トゥ・フェースのコミュニケーションによる価値創造に取り組んでいます。「働き方変革」プロジェクトはいかにして進められ、どのような成果を上げているのか、また、内田洋行のサポートをどのように評価いただいているのか、富士通マーケティングの窪田智子様に「働き方変革」をサポートしている当社の平山信彦と瀬川雄介が伺いました。

みんなが一ヵ所に集まったからといって、自然発生的に新しい価値は生まれないと考えました。

株式会社富士通マーケティング_集合写真

平山:本社移転を機会に「働き方変革」を実施されましたが、まず移転の経緯をお聞かせください。

窪田様(以下、敬称略):富士通マーケティングはこれまで、ICT技術の発展に合わせて自社の事業構造の改革や富士通グループのフォーメーション改革など、環境の変化にいち早く対応した組織づくりをしてきました。当社は、中堅・中小企業のお客さまを中心に、情報システム、ソフトウェアサービス、保守サービス、コンストラクションサービスを提供している会社です。中堅・中小企業のお客さまは、意思決定も速く、スピーディーな対応と確実な成果を求められます。そこで、4つの拠点に分散している機能を融合し、そこから生まれる新たなソリューションをスピーディーに提供することで、ビジネスの可能性を広げようと考えました。また社長は、テクノロジーが進化しても、フェース・トゥ・フェースのコミュニケーションに勝るものはないということも考えていました。私たちは、まず本社移転ありきではなく、拠点を統合することを目的に移転を行ったのです。

平山:拠点統合を機会に、「働き方変革」に取り組もうと考えた背景について教えてください。

窪田:単に拠点を統合し、みんなが一ヵ所に集まったからといっても、自然発生的に新しい価値が生まれるわけはありません。働き方と働く場の両方を変えていくことで、私たちが求める理想に近づけると考え、まず「働き方変革」に着手しました。トップは、単なる引っ越しにしたくないと思っていましたし、私もそれに負けないくらい強く思っていました。

平山:トップと現場が、「働き方変革」の必要性について、同じ意識を持っていたということですね。「働き方変革」に取り組むにあたって、コンサルタントを利用しようと考えた理由をお聞かせください。

窪田:移転が決定したのが2014年4月で、実際に移転したのが2014年10月です。働く場に合わせて働き方を変えるのではなく、ありたい働き方を描いた上で、それを実現しやすい場をつくりたいと考えていましたが、与えられた時間はあまりにも短かったのです。一方で、できる限り多くの現場の人間の意見を取り入れたいと思っていました。そこで「働き方変革」から働く場を考え実行するためのワーキンググループ(以下、WG)を立ち上げたのですが、私以外のメンバー全員が本業を持ちながら超短期間で納得できるアウトプットを出すには、自力では難しいという判断のもと、経験が豊富な御社にお願いしました。

瀬川:プロジェクトの中で、印象に残っているエピソードはありますか。

窪田:WGメンバーを集めたキックオフミーティングで、印象に残っていることが2つあります。1つは、複数名から「どこまで本気でやるつもりがあるのですか」という質問があったことです。私がメンバーをアサインした際、個別に説明をしたのですが、そのときも各人から本気でやるつもりなのかと聞かれました。メンバーが本気だからこそ、改めて当社の経営層の本気度を確認されたのだと思いました。そして、リードしてくださる御社にも、「富士通マーケティングは本気で取り組む」ということを伝えたかったのだと思います。もう1つは、「どういう変革にしていきたいですか」ということをプロットしたときのことです。ほぼ全員が「強いリーダーシップをもってドラスティックに変革をしたい」というポイントにプロットしたことが強く印象に残っています。特に印象に残っているのは、この2つですが、分からないことや経験がないことが出てきてもあきらめず、WGメンバー全員がいつも本気で、知恵を出し議論しチャレンジしてきたこと、活動のすべてが印象的でした。

10年後に、やっておいてよかったと思える、そんなプロジェクトにしたかった。

瀬川:WGメンバーを人選するときに、基準はありましたか。

窪田:自分の手で変えようという強い意志のある人、自分の損得感情ではなく心の底からお客さま、パートナー企業さま、社員や周りのことを思い、こうありたいということを既成概念にとらわれることなく考え、声に出せる人、という基準で選定しました。また10年後、あるいは今後10年間、今回の活動やオフィスそのものを振り返ってほしいという思いがあり、若手を中心にメンバーを集めました。女性のバランスは気にしませんでしたが、結果的に11名中5名が女性となりました。

瀬川:何度もワークショップを開催しましたが、 どういう印象を持たれましたか。

窪田:みんなが、予想以上に「富士通マーケティングらしさ」というものを追求したことが印象に残っています。それを実現するために、352の施策が抽出されました。期待以上に「自分ごと」として取り組んでくれましたし、自分たちが手を動かさなければ、会社は変わらないという思いがみんなの中に強くあったのだと思います。

平山:今考えて、特に重要だと思う施策はありましたか。

窪田:地道な施策も重要だと思っていますが、ずっと地道にやっていたのでは周りを巻き込みきれないとも思っていたので、移転してすぐの2014年12月21日に、東京地区で初の従業員家族見学会を開催しました。私たちは理想の姿の1つに、「誇りを持って働ける会社」ということを描いています。そのためには、まず家族に「素晴らしい会社で働いているね」と思ってもらいたい、というところから出てきた施策です。オフィスを訪れた社員の家族や、家族をアテンドしている社員の笑顔は、とても印象的でした。ある役員は、「人の笑顔をつくることが仕事の醍醐味であり、笑顔を見ると、もっと頑張ろうと思える」と言っていました。

「Change Working 戦略マップ」は、思いつきそうで、思いつかないツールだと感服しました。

平山:今回のプロジェクトにおいては、「Change Working 戦略マップ」が重要な役割を果たしたと思っていますが、実際に「Change Working 戦略マップ」をつくってみて感じたことや、成果があればお聞かせください。

窪田:みんなから出てきた数百もの意見を、あのように整然と構造化できることが、気持ち良いと思いました。簡単に言うとPDCAを回すということになってしまうのかもしれませんが、たくさんのアイデアや目的、目標、手段を構造化し、構造化したものを俯瞰しながら施策を展開し、今、自分たちがどの場所にいるのかを知るための、わかりやすく、使いやすい手段だと思いました。これは、思いつきそうで思いつかないツールだと感服しました。今回のプロジェクトは中長期にわたるものであり、しかも、働き方というソフトから、ファシリティーやICTインフラなどのハードまでを、まとめてマネジメントしていく必要がありましたから、「Change Working 戦略マップ」は非常に有効なツールとして機能しました。また、「Change Working 戦略マップ」をもとにKPIを設定することで、説得力のある評価基準をつくることができたと考えています。

平山:「働き方変革」から見たワークプレイスづくりも重要なテーマだったと思います。ワークプレイスのコンセプトづくりや、要件定義において印象に残っていることはありますか。

窪田:印象に残っているのは、時間がないのに、誰も妥協をしなかったことです。設計士・デザイナーも時間的余裕がない中でのプロジェクトでしたが、理想と乖離があったところは、はっきり違うと伝えつつ、イメージの共有を図っていきました。インフラの設計や施工は、当社のコンストラクション部門やICTインフラ部門が担当し、お客さまにご提供しているソリューションの多くを自社実践として取り入れましたから、チャレンジングであった部分もあります。しかし、具体的なイメージを共有しないまま、できあがったものが違うということは避けたかったので、御社とのセッションの中でアウトプットした要件定義書をもとに、デザイナー・設計士、コンストラクション部門、ICTインフラ部門との議論を幾度となく行いました。実際に完成したワークプレイスを見たときには、「変革の始まりとなる舞台は整った」と思いました。

働き方への理解が進み、少しずつ新しい働き方が生まれています。

平山:今回のプロジェクトは、移転後も変革を継続していくことが重要なポイントだと思います。現時点での評価や、今後の取り組みについてお聞かせください。

窪田:移転後に働き方と働く場に関する意識調査を行いました。ワークスタイルについては、84%の社員が「業務の内容や状況に応じて最適な場所やツールを選び仕事をするよう意識・実践している」と回答しています。また、働く場については、全9項目中8項目で満足度が向上し、コミュニケーションの活性化についても手応えを感じています。会議室の数は増やさず、予約がなくても使えるミーティングコーナーを増やした結果、打ち合わせ場所に関する満足度は20%から70%に向上しました。ミーティングコーナーは特に午前中は満席ですし、リフレッシュスペースとしても使えるラウンジで気分を変えてミーティングする人も増えてきました。いろいろな場所をうまく使って、役員から若手まで、「ちょいミーティング」している姿を頻繁に見かけます。みんなが少しずつここでの働き方や、ファシリティーの使い方がわかってきたので、場所を利活用して有機的につながる新しい働き方が生まれているのだと思います。

また、来訪者数が前年同月比で1か月あたり約1000人増加しました。移転後の一時的なものもありますが、ここに来ていただくお客さまやグループ社員が増えたことで、社員の意識も変化していると感じますし、社内にとどまらず有機的なつながりが広がっていると感じています。2015年度は、現状に安住するのではなく、働き方と働く場の ”両方“をさらに進化させたいと考えています。

平山:経営層からの評価はいかがでしょうか。

窪田:ある役員は「若手メンバーがたくさんの意見を出し、普通では考えられないようなアイデアを取り入れて、本当にプロジェクトがうまくいくのかと思っていたけれども、やってみて良かった」と言っています。固定観念や既成概念にとらわれず、みんなでこだわった仕上がりに満足してくれていると感じています。「働き方変革」についても、従業員家族見学会や、お客さまへ自社実践をご紹介するオフィスツアーの実施など、今までの当社ではできなかったことを提言するだけにとどまらず、WGが実行者となり変革を進めていることを評価してくれています。

平山:富士通グループの中や、お客さまやパートナー企業からは、どのように見られていると感じていますか。

窪田:富士通グループ内での当社の役割や状況を考えると、富士通グループ内外から注目されていたと思います。富士通グループの中では、「コストのメリハリが効いた、細部にまで思いの詰まったオフィスである」という声をいただいていますので、実質が伴う投資をしたと評価されているのだと思います。

オフィスを訪れるお客さまやパートナー企業さまは、開口一番「以前と全然違いますね」とおっしゃいます。そして、オフィスツアーなどを通して、新しい働き方と働く場(自社実践)をお見せすることにより、これまでの延長線上では生まれてこなかったであろうビジネスも出てきました。ツアー自体もさまざまな部門と連携して実施することで、一体となった価値を感じてもらえていると思います。

平山:変革プロジェクトの中心で取り組んでこられた窪田さんから見られた評価はいかがですか。

窪田:変革はスタートしたばかりなので、まだまだこれからも進めなくてはならないことがたくさんありますが、これまでの活動だけでも、私にとって苦労以上の充実感がありました。このような貴重な経験をほかの社員にもしてほしいです。これからは、より多くの社員に、プロジェクトの中心となって関わってもらえるような仕掛けをしていきたいと思います。

平山:内田洋行の知的生産性研究所のコンサルティングの力量や、ツールの有効性はいかがでしたか。

窪田:「Change Working 戦略マップ」もそうですが、ツールの骨組みがしっかりしていて、ややもすると煩雑になりそうなことを、コンセプチュアルに構造化し、ロジカルに展開するための骨組みがしっかりしていることが素晴らしいと思いました。また、自分たちだけで考えていると行き詰まってしまう場面で、コンサルタントの方々の知見と経験に基づいたアドバイスは大変ありがたかったです。

変革は、社員の手の中にあって、初めて成されることだと思います。

平山:「働き方変革」を考えている方々に、メッセージをお願いします。

窪田:私は、変革というものは社員の手の中にあって初めて成されることだと思っています。ですから、変革を他人に預けては、何も変わらないと思っています。「働き方変革」は、誰もが「自分ごと」として取り組みやすい切り口ですし、一方で会社としては全体最適の抜本的な変革を実行できる有効な活動だという点で、非常に価値のある取り組みだと実感しています。

「第28回 日経ニューオフィス賞」 受賞
受賞オフィス

KEY PERSONS


株式会社富士通マーケティング
BPR推進本部 プロセス改革推進室
窪田智子 様

株式会社内田洋行
執行役員 知的生産性研究所 所長
平山信彦

株式会社内田洋行
知的生産性研究所
瀬川雄介
※記事内容や役職等は取材当時のものです。(2015年4月取材)

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